プロジェクト予算管理は容易ではありません。「会社全体では利益が出ているけど、個別プロジェクトの損益は不明」というように、どんぶり勘定になってしまうことが多いのではないでしょうか。
そこで今回は、予算を、(1)売上、(2)外注費、(3)経費、(4)工数、の4つに分類し、受注型のプロジェクトを具体例に上手なプロジェクト予算管理の方法をお教えします。
1.売上予算
プロジェクトが開始された時点で売上は確定している、もしくは、確度が高いことが多いので、これを売上予算とします。
なお、受注確度が高かったにもかかわらずその後失注してしまったケースも有ると思いますが、そういったプロジェクトであっても後の分析のためにいったん売上予算を登録したほうが良いでしょう。
受注型プロジェクトの場合、売上予算と売上実績がずれることは少ないですが、検収時もしくは入金時に売上実績を登録するようにしましょう。
余談ですが、受注型のプロジェクトにおいては「検収」をもって売上が確定し、支払いが行われます。逆に考えると、検収が終わるまでお金を受け取れません。未回収リスクを減らすため、プロジェクトをいくつかのフェーズに分け、分割で売上を獲得すべきです。
分割の方法としては、以下の様な方法が一般的です。
- 1.工程ごとにフェーズ分割
- プロジェクトの企画、設計書納品、といったように工程ごとに分割します。
- 2.機能ごとにフェーズ分割
- 複数の機能を開発する場合、機能ごとに納品します。
大きなプロジェクトの場合は、1,2の両方を組み合わせるとベターです。なお、分割にする場合リスクは低減しますが、その分作業が増えますので注意が必要です。プロジェクトの規模や特徴からリスクを想定し、適切に判断しましょう。
クラウドログでの売上予算管理
売上予算登録
- 予算と実績の登録が可能
- 入金日を登録することでキャッシュフロー管理が可能
- 売上データのCSVインポートが可能
- 登録した売上データはCSVダウンロードが可能
売上予実分析
- 予算・実績の推移がグラフで表示される
- 顧客ごと、部署ごとの集約が可能
2.外注費予算
売上予算同様、外注費についてもプロジェクト開始時に予算と発注先が決まっていることが多いでしょう。正確な値をプロジェクトの初期段階において登録することができます。
なお、外注に関しての詳細が決定しておらず、これから発注先企業を探すような場合でも、おおよその金額を予算として登録します。
売上予算の管理方法と同様、受注確度が高かったにもかかわらずその後失注してしまったケースがあったとしても、今後の分析のために一時的に売上を登録しておくことをお勧めします。
外注費実績の登録は、発注先の業務終了・検収受入といったタイミングで登録します。
3.経費予算
プロジェクト開始時に想定される予算を登録します。プロジェクトごとに管理するべき項目としては、交通費、出張費、物品購入、接待交際費等です。
実績は発生の都度登録がポイントです。そうすることでリアルタイムに予実管理が可能になります。
クラウドログでの経費予算管理
経費予算登録
クラウドログでは、「小口交通費」「出張費」「接待交際費」などあらかじめ費目が設けられており、必要経費を簡単に登録できます。
- プロジェクトごとに予算作成が可能
- 費目ごとの予算が作成可能
- 消費税別・消費税込の表記はマスタで設定できる
経費実績登録
- プロジェクトとの紐付けが簡単
- 消費税は自動計算される
4.工数予算
プロジェクト予算管理でも最も重要なのが工数です。予算と実績が乖離しやすく、どんぶり勘定になっていないか細心の注意が必要です。
工数の予算は、月次で管理するのが望ましいですが、細かく管理したい場合や、プロジェクトの期間が短い場合などは、週次や日次での予算管理でもいいでしょう。一般的には、プロジェクトの期間と総工数で管理の長さを決めます。
工数予算を作る上で大切なことは、他プロジェクトとの集計値です。例えば、あるメンバーの全プロジェクト工数予算合計値が1人月の場合、これ以上新しいプロジェクトにアサインすることができません。その場合は、他プロジェクトのコミットを減らすか、当プロジェクトに別のメンバーをアサインするかといった措置が必要になってきます。
次に、工数実績は毎日登録するのが望ましいでしょう。時間が経つと記憶が曖昧になり正確な時間の登録が難しいからです。
工数実績登録の単位は、15分、30分、60分などの単位が望ましいでしょう。1分単位だと細かすぎてしまいますし、割り切れる数(15分だと0.25時間)の方が計算上便利です。
クラウドログの工数予算管理
工数予算登録
- 人ごとに工数予算の登録が可能
- 工数の単位は、分・時間・人日・人月から選択可能
工数実績登録
- プロジェクトごとに工数実績を登録できる
- 登録単位は、1分・15分・30分・60分から選択可能
工数原価の実績を金額で登録
工数原価実績は金額で入力することも可能です。
工数予実分析レポート
工数(人日や人月といった時間での視点)による分析です。作業負荷や空き工数の把握がポイントです。
- 工数の予実を一覧で見ることができる
- 予算オーバー(つまり、働き過ぎ)の場合には警告色になる
- 特定のメンバーに対するプロジェクトごとの表示も可能
工数原価予実分析レポート
工数と単価から算出される金額による分析です。プロジェクト予算管理では、メンバーの稼働をコストと見なして採算管理を行います。
- 工数×単価で算出した工数原価の予実が見れる
- 工数実績の原価は、直接登録も可能
- 工数によるコストは、工数原価ではなく原価への計上もできる
以上、プロジェクト予算管理についてまとめてみました。自社のプロジェクト管理にぜひご活用ください。