プロジェクトに問題が発生して毎日夜遅くまで働いた、そんな経験をした方は多いのではないでしょうか。プロジェクト管理の失敗が原因と言えばそれまでですが、そもそもプロジェクト管理というのはどういったものなのでしょうか。
プロジェクト管理と一口に言っても、その手法はさまざまです。そこで今回は、プロジェクトを成功させるために必要な5つのポイントを紹介していきます。
プロジェクト管理とは?
プロジェクトとは、決められたゴールに向かうために、特定の関連する作業やタスクを実施していく活動のことです。人材・スケジュール・資金・設備・物資等 を適度に調整しつつ、プロジェクト全体を管理していく必要があります。しかし、全ての要素が明確になっていることは稀で、常に多くの不確定要素=リスクが存在します。
プロジェクト管理とはつまり、リスクをコントロールするための活動と言っても過言ではありません。そして、綿密な計画管理によってそのリスクをいかに予測し、対処できるかが大きな鍵となってくるのです。
1.予算管理
予算をオーバーしてしまったプロジェクトは成功したプロジェクトとは決して言えないでしょう。適切な利益を得るために必要不可欠なのが「予算管理」です。プロジェクト管理においては、プロジェクト開始時や受注前段階で作成する「計画予算」と、受注後の原価・経費・工数などを含めた「実行予算」の2つを作成することが一般的です。 それぞれの予算管理のポイントを説明していきます。
計画予算
プロジェクト開始時や受注前に作成します。受注型プロジェクトの場合は見積書作成時に費用を算出しますが、これが計画予算と言えるでしょう。 ソフトウェア開発のプロジェクトにおいては、設計に○人月、製造(プログラムの作成)に○人月、テストに○人月というように、業務の種別ごとに作業量を算出していきますが、この段階では担当者は決定していませんので、設計、製造、テストそれぞれにおいて、平均単価を掛け算して見積を作成します。
また、プロジェクトにリスクが有る場合は、リスクを計画予算に組み込む必要があります。例えばデータベースに未経験のバージョンなどを使う場合、旧バージョンとは違う動作をする可能性がありますので、多少の調査費用を見積に含むべきです。
実行予算
プロジェクト受注後に作成します。 例えばソフトウェア開発のプロジェクトであれば、実際の作業にアサインされたSEごとの単価を予算に登録します。 仮に途中でSEが変更になれば、実行予算も修正するのが望ましいでしょう。
2.データ管理・書類管理
プロジェクトを進める中で、プロジェクトに関する資料が日々加速度的に増えています。プロジェクトメンバーがそれらに素早くアクセスできるようにする必要があるために、効率的なデータ管理が必要となります。
コンピュータの普及により、プロジェクトに関する資料はデジタルデータで管理するケースがほとんどだと思います。プロジェクトに関わるメンバーが容易に参照できるように、社内のファイルサーバやクラウドサービスなどを利用して、一元管理するのが望ましいでしょう。
社内のファイルサーバ利用にあたっては定期的なバックアップの保存が必要不可欠です。社内システム担当者がいない場合は、社内システムを利用せずクラウドサービスを利用すべきでしょう。
また、大容量ファイルのやり取りが必要、社外からデータにアクセスしたい場合など、扱うデータの状況に応じてシステムを選定していく必要があります。社内システム担当者がいる場合は担当者と都度相談し、いない場合は各種クラウドサービスを積極的に活用しましょう。
データ管理においては、会議などで紙ベースの資料しか手に入らない場合も多々あります。紙ベースの資料はバインダーなどで一元管理し、日付や種別ごとの見出しラベルを貼るようにするなどして、プロジェクトメンバーが参照しやすい環境を作りましょう。
また、見積書、契約書、発注書、納品書、検収書などの書類は、デジタルデータと紙ベースの両方を保管することが一般的です。プロジェクトメンバーだけでなく他部門の社員も見る書類もありますので、社内ルールに沿って書類ごとに適切な管理を行いましょう。
こういったデータを効率的に管理することが、プロジェクトをスムーズに進めるための大きな要素になります。
3.工数管理
工数管理で最も重要なのは、プロジェクトごとの作業時間の管理です。プロジェクトは人が動くため、その人材の作業時間の管理はプロジェクトを進めるうえで大変重要です。プロジェクトにおける工数管理は「作業時間の管理」と位置づけることができます。これは利益を上げるために非常に大切なものですが、管理がきちんと細分化されている会社はそう多くないのが現状です。
ある社員が3つのプロジェクトを同時に担当していたとすると、どのプロジェクトにどれだけ時間を使ったかを毎日残す必要があります。そうすることで、実行予算に従ってプロジェクトが進捗しているかどうか、プロジェクトの健全性が見えてくるからです。
また、社員のコストは給料だけではなく、本人の福利厚生費・交通費、それに電気代・水道代・オフィス家賃等も必要になります。作業時間に社員のコスト(給料だけではない!)を乗算してプロジェクトのコストを管理しないと、あっという間に赤字になってしまう可能性があります。
工数管理の一番のメリットは、プロジェクトごとの収支が明確に分かるようになることです。あるプロジェクトは黒字、別のプロジェクトは赤字ということがわかれば、顧客・事業セグメント・部署ごとといった切り口での損益の把握も可能になります。
工数管理では、予算と実績の両方管理が重要です。プロジェクトが遅延しているからと言ってすぐに人を増やすのは難しいため、工数予算がどれだけ高い精度で作られているか、また、それに沿って進捗しているかが、プロジェクトの成否を分けると言っても過言ではありません。
工数管理では、以下の様なリスク管理も重要です。
- 有給休暇、欠勤
- 平均で月に2日程度は、有給休暇の取得や体調不良で休むことがあります。あらかじめ予算に組み込んでおく必要があります。
- 超過勤務
- 超過勤務による残業代(コスト)の増加、過度な労働による集中力の低下やそれに伴うミスの発生、病気リスクの増加等、さまざまな問題が引き起こされる可能性があります。
4.工程管理・スケジュール管理・進捗管理
工程管理では、プロジェクトをいくつかの作業手順に分割し、それぞれにおいて小さなプロジェクトのごとく管理していきます。主に製造業を中心とした“ものづくり”企業においては、一つ一つの作業プロセスを経て製品が完成されていきますが、この作業プロセスの管理が工程管理になります。
工数管理は「人」の軸、工程管理は「作業」の軸で管理するため、工数管理と工程管理を複合的に行うことで、よりプロジェクトのリスクを低減することができます。工程に関するデータとして主に以下の点が挙げられます。
- 人材
- もちろんその工程に誰をアサインするかを選ぶ必要があるのですが、その人材の適性、能力、技術等をしっかりと見極める必要があります。
- スケジュール
- 各工程の開始日および終了日、場合によっては1日の細かな時間を計画します。
- 工数
- その工程にどれだけ時間がかかるかを予測します。判断材料として、仕事量、本人の能力、過去のデータ等が挙げられます。
- 進捗
- 工程が実行され、現在どこまで進捗しているかを把握します。
- タスク
- 工程を完了させるために、更に詳細なタスクをリストアップすることがあります。タスク管理については次章に記述します。
- 工程の関連性・クリティカルパス
- 関連性とは、B工程に進むためにはA工程の完了が必要というケースです。例えば建設業であれば、建物が完成しないと内装工事を始められないというような場合です。常にクリティカルパスを意識しなければなりせん。
工程管理では、どの工程が現在どこまで進んでいるかという進捗管理が重要になります。少しの遅れが全体に影響してしまうこともあるため、常にスケジュール管理やクリティカルパスの見極めが重要です。各工程の担当者が進捗を報告するケースが多いですが、管理者は担当者任せにせずに、自ら進捗チェックを行いましょう。
工程管理では、WBSやガントチャートと言われる手法を使うことが一般的です。エクセルで簡易的に行う方法から、専用のツールを利用する方法まであります。管理の粒度によって必要な機能が異なりますし、業種別に工程管理の特徴がありますので、そのあたりを考えながらツールを検討すると良いでしょう。
5.タスク管理
タスク管理とは、詳細な業務管理のことです。例えば「契約書の修正」「不具合の修正」というような、比較的短時間で完了するものを指します。これらのタスクはプロジェクト開始時にリストアップすることは難しく、実際にプロジェクトの進捗の中で出てくる項目です。
また、タスクの多くは一人で作業しますが、そのタスクの完了には複数名が関わっているため、タスクの終了をプロジェクトメンバーに知らせる必要があります。
例えば「契約書の修正」は法務部門で行いますが、修正された契約書を営業担当が顧客に送付するようなケースです。タスク管理では非常に小さなタスクも発生するため、忘れてしまわないように、都度書き留めておくと良いでしょう。エクセルや紙ベースで簡易的に行う方法から、プロジェクトのタスク管理ツールを利用する方法まで様々です。
プロジェクトメンバーであれば、出社時にタスク一覧を見て1日の業務設計をしたり、また、プロジェクト管理者やプロジェクトリーダーであれば、プロジェクトメンバーや関連するメンバーを集め、定期的にタスク完了の確認のための会議をすると良いでしょう。
今回は“プロジェクト管理を成功させるために絶対に必要な5つのポイント”を紹介しました。いかがでしたか。
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