労働者の生産性を高めて効率良く働くような動きが強まってきていますが、実際に1日6時間労働という働き方も実例としてあります。
スウェーデンをはじめとする北欧の企業では、1日6時間労働制への移行がトレンドになりつつあるようで、実際に生産性がアップしているという事例もあります。
過重労働が多い日本の労働者にとっては、1日6時間というのは短すぎるという考え方が一般的かもしれませんが、短時間で効率よく働いて、プライベートの時間も充実させるというライフスタイルも悪くはないでしょう。
まずは、どんなことに対しても疑問を持つことが大切で、今やっていることが本当に必要なのか、もっと短時間で効率的にできるのではないかといったことを考える習慣をつけることが大切です。
小さな時間の積み重ねでも1年を通してみれば、まとまった時間になります。
本記事が、少しでも働き方に対する考え方が変わるきっかけになれば幸いです。
1日8時間労働は本当に正しいのか?
日本人は世界的に見てもよく働く国民の一員に入りますが、その労働時間が本当に正しいのかという疑問から入ってみたいと思います。
日々の仕事に何の疑問も持たずに、なんとなく過ごしていくのはとても危険なことであり、ビジネスが停滞する可能性すらあるでしょう。
スウェーデンなどの北欧諸国では、1日6時間勤務の週5日で30時間労働を採り入れている企業もすでにあり、それでも今までと何ら変わりなくビジネスが上手く回っています。
スウェーデンの首都ストックホルムにあるアプリ開発会社のCEOは米ビジネス誌「ファスト・カンパニー」でのインタビューで、「8時間労働というのは一般的に考えられているほど効率的ではない。8時間も仕事に集中し続けるのは大変なので、ちょっと他のことをしたり休憩したりすることになるし、プライベートの時間の調整にも苦労することになる」と述べています。
皆さんも思うところがあるのではないでしょうか。
8時間(お昼休憩を入れれば9時間程度の拘束時間)をやり過ごすために、とりあえず席に座っていたり、タバコ休憩に行ったりする時間もあるでしょう。
本当に集中して働ける時間は3~4時間程度という考え方もあり、8時間というのはとても長い時間だということがわかります。
8時間で終われば良い方で、9時間、10時間以上働く人も多いのではないでしょうか。
仕事が好きで仕事をしている時間がとても幸せだという人であれば、長時間労働を無理に否定する必要もありませんが、そうではなく、仕方なく残業しているという人がいるのであれば、それは労働時間を短縮するための打開策を検討する必要があるでしょう。
そこで、短時間勤務につなげるためのヒントとなるものを、次のテーマでご紹介していきたいと思います。
会議の必要性を判断することが重要
どの会社でも、どの部署でも、会議は欠かせない仕事の一つなのではないでしょうか。
ピンポイントで事業に関する会議を行うのであれば、それは必要な会議かもしれませんが、毎週行うような定例会議は、要検討が必要な類の会議と言えましょう。
同じチームのメンバー全員が何時間も部屋に集まり、リーダー層が独演会を開催するというような会議も少なくないでしょう。
例えば、チームメンバー8人で1時間の会議であれば、それだけで1人日分(8人×1時間)の工数を使ってしまうことになり、会議の時間が2時間になれば2人日とさらに工数が増えていきます。
当然ですが、人数や時間数が増えれば増えるほど、会議にかかる工数は増加します。
果たして、それだけの工数をかけてまで行う必要がある会議なのか、もっと短時間で効率的に行うことはできないのかなどを考えるだけでも大きな意味があります。
そういったことをしっかりと議論・検討した上で、今まで通り会議を継続していくという結論に至ったのであれば、それは問題なく続けるべきでしょう。
一方で、何の議論・検討もせずに、「毎週決まった時間に会議が開かれているからなんとなく参加しています」というようなメンバーが多い会議は、リスク以外の何物でもないでしょう。
「1時間の会議を45分や30分に短縮できないか?」、「毎週の会議を隔週にできないか?」などといった議論をして、各メンバーに主体的に考えてもらう場を設けることが大切でしょう。
15分削減するだけでも、年50週程度を掛け算すれば750分(12時間30分)の時間を捻出することができます。
そういった時間短縮を積み重ねていくことで、本当に必要な作業により多くの時間をかけられるようになるので、十分に議論に値するテーマと言えます。
また、会議のためのプレゼン資料作りに躍起になって取り組む人もいるでしょうが、伝えたいことを端的に伝えられれば、それで十分なのです。
仕事をしていく上では、ある程度の自己満足感を得ることも大切かもしれませんが、大切なのは他者が会議の内容を理解することです。
そういった意味でも、資料作成に割く時間も費用対効果を踏まえて取り組むことが大切と言えます。
組織は「2:8」の法則などといって、2割のメンバーが8割のメンバーを支えているという考え方もありますが、その2割を2・5割、3割と増やしていくことができれば、もっと組織は上手く回っていくのではないでしょうか。
一定程度の序列は必要かもしれませんが、主体的に考え、アクションを起こそうとする意識を全員が持っていれば、よりレベルの高いビジネスの創出につながります。
そういった意味でも、まずは日常的な会議やちょっとした作業を短縮することはできないのかなどの疑問を持って、自分なりに考える習慣をつけることが大切です。
1日6時間労働でも生産性は上がる
実際に北欧を中心とする企業の一部で1日6時間勤務が行われており、スウェーデンのFilimundusというアプリ開発会社では2014年より1日6時間勤務を採用しています。
その結果、同企業では社員の集中力や意欲がアップし、ストレスも緩和され社内の雰囲気も良くなったという総括をしています。
また、社員の勤務時間を短縮しても、会社として業績がマイナスになるということはなかったとも断言しています。
同社のCEOは、1日6時間勤務にいたった経緯を「思うほど生産性が上がらず効率が悪い」と述べ、短時間勤務に踏み切ったようです。
会社として具体的にとった策は、「社内会議の数と時間」を段階的に減らしていったことと、仕事中の「SNSチェック」の規制させたことだけということです。
つまり、短時間勤務にすることで集中力が上がり、仕事の効率化にもつながるという結果が出た事例と言えるでしょう。
他にも、米国のニュージャージー州にあるレザーカンパニーという企業でも、2012年に1日6時間勤務を採用し、3年で生産性が最大15%アップしたとの見解を示しています。
同企業では短時間勤務により、従業員たちが「会社のために働きたい」というモチベーションの向上につながったと考えているようです。
実際に短時間勤務の導入ということになれば、さまざまな分析指標が必要となってきますが、1日6時間でも結果を残している企業が世界にはあるということを理解しておくことも大切でしょう。
1日8時間以上の労働が悪いというわけではなく、従業員一人ひとりが生産性を高めて働くことで、いろいろな可能性が広がるということを認識することが大切です。
まとめ
生産性を高めて働くことで、短時間勤務が可能となり、その分プライベートや他のことに使える時間が増えることになります。
その分より豊かな人生を送ることができる人が増えるのであれば、社会としても積極的に短時間勤務を推進していくべきでしょう。
とにかく先入観を持つことなくトライするのも大切なことで、試験的に短時間勤務を導入してみるのも一つの案としては悪くないでしょう。
実際にチャレンジしてみて上手くいかなければ、元に戻せば良いのです。
仕事もプライベートも充実させることができれば、それほどすばらしい人生はないでしょう。