プロジェクトマネジメントを行っていく上で、プロジェクト管理手順の実行や報告書の作成がポイントとなってくる場面が多くあります。
管理手順が確立されていないまま、プロジェクトを開始するのはとてもリスキーなことであり、何らかの手順に従ってプロジェクトを進めていくことが、プロジェクトの安定稼動につながります。
また、プロジェクト報告書に関しても、どういった意味や目的があって書くのかわからないまま、何となく書いていたのでは時間の無駄になってしまう可能性も否めません。
そうならないためにも、プロジェクトチーム内で、報告書の内容に関する議論を行い、その意味や目的を共有した段階でプロジェクトを進めていくのが得策でしょう。
いずれにしても、チーム内で何らかの形で意見を集約することが大切であり、そのための管理手順であり、プロジェクト報告書です。
本記事を参考に、改めてプロジェクト管理手順を立てることや、プロジェクト報告書を書くことの重要性を認識していただければ幸いです。
プロジェクト管理手順を確立することが重要
プロジェクトチームのメンバーには、時に報告書を書くといったことや経費清算をするなどといった管理業務も行ってもらう必要があります。
こういう類の作業が好きな人は少ないかもしれませんが、それでも適切な作業環境が整っていれば、プロジェクトマネージャーの指針に従ってもらうことも可能です。
当然、そのためには、要求事項をあらかじめはっきりとさせておくことが大切です。
情報の収集は実際に使うものに限定することがポイントです。
特に、プロジェクト開始当初の段階では、必要以上に報告書や更新情報を集めてしまう傾向にあります。
データの集めすぎに気付いたら、そのことを的確にメンバーに伝え、報告書は簡潔で短いものにしてもらうことが大切です。
そうすることで本当に必要なデータをしっかりと保管し、必要な時にいつでも取り出せるようにしておきます。
同じ組織内で類似プロジェクトを数多く稼動させていて、確立した管理手順がある場合は、それを活用するのが良いでしょう。
例えば、報告書の様式や進捗会議の開催頻度、監視手順など、踏襲できるものは使い回すことで効率的なプロジェクト運営につながります。
進捗についての検討方法や報告書についてしっかりとした体制ができていない場合は、作業開始前に基本的な管理手順を決めておくことが大切です。
手順が決まっていないと、作業開始後にメンバー間に混乱が生じ、円滑なプロジェクト運営をこなしていくために支障が生じる可能性が高まってしまうので、そういった意味でも、管理手順を決めておくことが求められます。
特に報告書に関しては、できるだけ日報を重視してもらうことが大切です。
日々の記録をとっていないメンバーが書く週報や月報ほど、あてにならないものはありませんので、日報をいかに適切に記録してもらうかに重点を置いた管理が必要です。
プロジェクト報告書の意味と目的
ステークホルダーや他のマネージャー、顧客にはプロジェクトの情報をタイムリーに知らせる必要があります。
ステークホルダー向けの定期的な現状報告書には、プロジェクトの進捗状況やスケジュール変更があればその部分について、予算等を盛り込みます。
チームメンバーへの報告とモチベーション維持のために、別途メンバー向けの報告書を作成するのも良いでしょう。
大規模プロジェクトでは、プロジェクトチーム向けの日報や週報を発行することもあります。
報告書を更新する際には、優先順位や課題、締切り期日を強調することが重要です。
報告書を更新する目的は、そこで取り上げなければ見落としがちになってしまう事項を、改めて関係者に認識してもらうことにあります。
報告書を上手く活用することで、プロジェクトチームはプロジェクトのロードマップ(道筋)に沿って、軌道上を進むことができます。
定期的な情報収集のためには、プロジェクトマネジメント用ソフトウェアと簡潔な報告書の活用がお勧めです。
特にスケジュール更新の際は、理由のいかんに関わらず、その都度、チームメンバーに知らせ、必要な調整をしてもらうことが大切です。
以下に、報告書記述の際に必要な要点のサンプルを列挙します。
- 前回の報告以降に完了した作業と期日
- 現在進行中の作業と完了見込み期日
- 今後予定している作業と完了見込み期日
- 予算の消化状況
- ボトルネックになりそうな課題
- プロジェクトを改善するための推奨案
- 疑問や質問、確認事項、他のメンバーからの承認や回答を要する事項
チームメンバー全員が書式を統一することで、現状の要約や統合、分析を素早く行うことができ、プロジェクトマネージャーが公式の現状報告書を作成する際にも便利です。
報告書を発行する際には、発行責任者や、発行内容、発行頻度などをチーム内で話し合って、あらかじめ決めておくのが良いでしょう。
プロジェクト報告書を発行することの大きな目的としては、進捗の実績を当初の予算と比較することで、リスクを把握することにあります。
プロジェクト稼働中は常にリスクと隣り合わせであり、そのリスクを把握しないまま日数を重ねることはかなり危険なことと言えます。
比較的リスクが小さい段階で、それを取り除いておくことがプロジェクトの安定稼動につながるので、そのための報告書作成であり、関係者に展開することが大切です。
なぜプロジェクト日誌をつけるのか
会議で記録をとる、プロジェクトの参加者から情報収集をする、報告書を作成するといった日常業務に加え、プロジェクト日誌をつけるプロジェクトマネージャーもいます。
プロジェクト日誌にはプロジェクトの進捗記録や問題点のほか、プロジェクトにプラスやマイナスの影響をもたらす課題を盛り込むことが大切です。
1日1ページなどと目標を決め、プロジェクトメンバーとの話し合いの論点や、決定事項、行動項目やそれに対する期限などを明記しておきます。
さらに、主要な会議の結果、達成事項、対立点やプロジェクトの健全さを脅かす出来事なども記録しておきます。
プロジェクト日誌を書くことで、時間が経ってすっかり頭から消えていたことを思い出させてくれるという効果もあります。
特に、プロジェクト終盤に差し掛かって何かしら結論を下す際の判断に迷った時に、プロジェクト日誌を見返すことで、冷静に物事を考えるためのきっかけとなることもあります。
また、プロジェクト日誌を作成することで、以下の3つのメリットがあります。
- プロジェクトの進捗を記録し、事後レビューの基礎としておく。例えば、チームのあるメンバーがなかなか成果を上げられないなどといった長期的な問題は、プロジェクト日誌を見返すことで早期発見につながりやすい。万一、該当メンバーにチームから外れてもらう場合にも、詳細を記録しておけば説明しやすくなる。
- プロジェクトの予算オーバーや納期遅れについて経営陣に不平を言われても、プロジェクト日誌に細大漏らさず記録してあれば、正確な記録をもとに実態を説明できる。
- プロジェクト日誌は次のプロジェクトを改善するための最善のツールとなります。前回のプロジェクト日誌に目を通すことで、上手くいったことや上手くいかなかったことを見直すことができる。上手くいったことは次のプロジェクトでも活用し、上手くいかなかったことは繰り返さないように気をつけることが重要。
プロジェクト日誌には定番の日記帳でも構いませんが、昨今ではiPadのようなタブレット端末を利用するのも悪くないでしょう。
タブレットには紙と鉛筆による記録手法にはない入力のしやすさや、日付を自動的に記録する、各種ホルダーを作る、分類や検索がしやすいなどの利点もあります。
そういった意味で、ニーズに合わせて紙とタブレットを使い分けることもお勧めです。
まとめ
プロジェクト管理手順、プロジェクト報告書、プロジェクト日誌について3段落構成で記載してきましたがいかがでしたでしょうか。
いずれにしても、何となく行うのではなく、確立したベースのもとで管理や実行することが大切であり、それが次のプロジェクトに受け継がれていく資産となります。
適切な形で何らかの記録を残しておくことが大切であり、常に改善の意識を働かせていくことで、次のプロジェクトへとつながっていきます。
プロジェクトマネジメントは出口のない迷路のようなもので、どこまで行っても正解はありませんが、改善していくことで、正解に近づくことは可能でしょう。
そのための手段としての管理手順であったり、報告書であったりします。
今からでも、何かしら改善できる部分があれば修正していくことが大切です。