裁量労働制とは何か!そのメリットとデメリットとは!?

裁量労働制 みなし労働 離職率 デメリット裁量労働制という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
一方で、その内容について細かく知っているという方はどのくらいいるでしょうか。

制度が一人歩きすることなく、その内容を知ることで、より仕事とプライベートの充実を図ることができるようになれば、それに越したことはないでしょう。

本記事では、裁量労働制の基本的な考え方から、メリット、デメリット、裁量労働制とそれ以外の働き方による給与や離職率の違いなどに焦点をあてて、裁量労働制についてご紹介していきます。

制度の内容を理解することで、働き方や仕事に対する考え方の幅も広がってくるので、改めてビジネスライフについて見直すきっかけになれば幸いです。

※2018年2月21日更新

 

裁量労働制とはどのような制度なのか?

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企業に雇用されて働く場合、通常であれば労働基準法によって1日8時間・週40時間という勤務時間が決められた働き方になり、出勤時間と退社時間もきちんと決められた中で労働を行うことになります。

これは、多くの企業で用いられている雇用形態と言えますが、こういった雇用形態ではどうにも効率が悪く、非常に仕事がやりにくいといった特殊な業種というものも存在します。

そういった特殊な環境下で働く場合に用いられるのが、裁量労働制と呼ばれる労働形態です。
この場合、通常の雇用形態とは異なり、企業側が労働者の労働時間を縛らずに働く環境を与える雇用形態となります。

裁量労働制の場合は、出勤時間や退社時間という概念が元々設定されておらず、労働者の裁量に任せて労働を自由に行えるようにしているため、比較的時間を自由に使うことが可能な雇用形態となります。

もちろん、基本的な労働時間は企業と労働者側で決定することになり、8時間労働や9時間労働といった基本となる労働時間が定められていることが前提です。
ただし、これはみなし労働時間というものが適用されるため、例えば5時間の労働しか行っていない場合でも、裁量労働制では決められた8時間の労働を行ったとみなされることになります。
したがって、一般的な労働者とは、その労働時間に対する認識も大きく異なる働き方となります。

これは、裁量労働制に求められるものが仕事の成果=アウトプットであるためで、仕事に対する成果さえきちんと上げていれば、労働時間が短くても問題ではないという考え方に基づいています。

反対に、定められた時間内に成果を上げられない場合は、それ以上の労働を強いられることもあり、みなし労働時間が8時間であっても、10時間労働や12時間労働となることもあります。
この場合、一般的な労働基準法で定められた1日8時間を超過していても、それは労働基準法違反にはなりません。

なぜならば、裁量労働制ではみなし労働時間での契約となるためです。
みなし労働時間では、1日8時間と決められた場合には、決められた時間(8時間)以上働いても、8時間の労働とみなされ、それ以上の給与が支払われることはありません。

反対に、5時間労働でも3時間労働でも成果を出せば、決められた時間分の労働をしたことになるので、能力があれば常に時間が短い労働でも問題ないため、個人の能力が問われる雇用制度と言えます。

つまり、能力が高ければ高いほど働き易い雇用制度となりますし、反対に、能力が低ければ働きにくい雇用制度となる二面性がある特殊な雇用制度であると言うことができます。

 

裁量労働制のメリットとデメリットとは?

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裁量労働制のメリット

裁量労働制は、労働時間の縛りが無いため、時間の融通が利くことが最大のメリットとなります。

例えば、通常の雇用制度の場合は、決められた時間内に出勤しなければ遅刻という扱いになり、給与に影響を及ぼすこともあります。
遅刻が続けば、勤務態度が悪いと見なされ賞与などに影響を与えることもあるでしょう。

一方で、裁量労働制の場合は、出社時間も退社時間も一般的には決められていないため、お昼に出勤しても問題とはなりませんし、反対に午前中で退社しても早退扱いにもなりません。

要するに、1日の時間を労働者の自由に利用できるため、その人のライフスタイルに合わせた時間の使い方ができますし、やりやすい時間に仕事を行うということも可能です。
朝よりも夕方のほうが働きやすい場合はそれでも構わないですし、早朝の方が仕事をやりやすい場合はそれも勤務時間として問題ありません。

時間にとらわれない自由な働き方は、クリエーター系の仕事にはうってつけの雇用制度であり、時間に縛られると仕事の効率が悪くなるといった業種にも最適な雇用制度と言えるでしょう。

裁量労働制のデメリット

一方で、裁量労働制にもデメリットはあり、基本的に労働時間がみなし労働として扱われることになるため、朝から夜中まで働いた場合でも残業手当は一切支払われないという問題があります。

もちろん、深夜10時以降から翌朝5時までに働いた場合や法定休日に働いた場合には、裁量労働制でも残業手当や休日出勤での割増賃金が適用されます。
しかし、裁量労働制を取り入れている企業では多くの場合、夜中や早朝の勤務を禁止しているケースも多く、結果的に残業代がカットされただけとなることも考えられます。

つまり考え方次第では、裁量労働制は残業代をカットできる雇用制度となる可能性もあります。
裁量労働制だから時間を自由に使えるというメリットが、反対に裁量労働制だから、いくら働いても給与の総額が変わらないというデメリットになる危険性もはらんでいるわけです。

もちろん、能力があって仕事の成果を短時間で出せる人であれば、デメリットになる可能性は低くなります。
一方で、仕事が立て込んでいる場合には、労働時間が無制限に延長してしまうことも起きやすいため、雇用制度に対する従業員の理解がなければ採用することが難しい制度であると言えましょう。

そのため裁量労働制で働く場合には、そのメリットとデメリットをしっかりと理解した上で、自身の能力を伸ばし仕事を円滑に進められるかが重要なポイントとなります。

 

裁量労働制の離職率や給与、対象となる業種か否かの問題

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裁量労働制の離職率と一般的な雇用制度での働き方の離職率を比較すると、最も離職率が高いのは宿泊業やサービス業で、次いで教育関係、小売業といった具合になっています。

裁量労働制は弁護士やデザイナー、クリエーターやプログラマーといった11種類の専門的業務のみに適用される雇用制度のため、一般的な業種とは簡単には比較できませんが、離職率に関してはそれほど高くはないと言えるでしょう。

もちろん11種類の専門的業務といってもその業種は様々ですので、それぞれの業種で離職率は異なりますが、どれも専門的な仕事という側面があるため、やはり離職率に関してはどの業種でもそれほど高くないのが現状でしょう。

ただし、中には専門的な業務ではないのに裁量労働制を導入している企業もあり、その場合には残業代の支払いを行わないことを目的とした無茶な労働を強いているケースも見受けられます。
そういった企業の場合は、離職率が高くなる傾向にあります。

給与に関して裁量労働制の場合は、年棒制とセットで導入しているケースや、専門職のためもともと高めに設定されているケースも多く、一般的な仕事と比べてもさほど給与が安いということは少ないようです。

しかし、裁量労働制の場合は、みなし労働時間によって残業代をカットされやすいという問題があるため、一定の給与水準以上にはならないことが多いです。
残業時間に当たる部分をカットされてしまうため、通常業務で働く雇用制度と比べた場合には給与に大幅な差が出てきてしまうといった可能性もあります。

裁量労働制と年棒制の組み合わせの場合は、一定の給与は担保されているので、あとは自分の能力次第で残業時間を減らすことがポイントとなります。
仕事を効率良く行うことで、裁量労働制ほど自由に仕事ができる環境はありませんので、仕事への考え方が最も重要なものとなるでしょう。

ただし、裁量労働制が認められていない業種での裁量労働制の導入は、根本的な労働法違反となります。
それを知らないまま働き続けることで、本来支給されるべき残業代などがカットされていることになるので、自身の仕事が裁量労働制の対象なのかどうかを認識しておくことも大切です。

万一、裁量労働制対象の業種ではない場合には、それを是正することも必要なので、裁量労働制のことを企業側も労働者側も正しく知っておくことが重要です。
一歩間違えれば、裁量労働制はブラック企業を生み出す温床にもなり得る雇用制度であるということを、認識しておくことが求められます。

 

まとめ

裁量労働制の基本的な考え方や、そのメリット、デメリット、対象となる業種や給与に対する考え方などをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
さまざまな働き方が広がっている中で、裁量労働制を採り入れている企業も一定程度ありますが、大切なのは企業側も労働者側もその制度についての理解を深めることです。

働き方に対して何か問題が発生してから対応するのでは遅く、定期的に企業側と労働者側で裁量労働制に関する説明会を行うなど、必要なコミュニケーションを取っておくことで解決される部分も多いでしょう。

専門知識や自身の能力を最大限に活かせる働き方は魅力的な制度であり、制度に振り回されるのではなく、制度を利用して、ビジネスパーソンとしての能力を発揮することが大切と言えましょう。

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