みなさんは原価管理ついて、どのくらい重要視しておりますでしょうか。
原価管理とは簡単に言うと、製品一つ当たりにかかった費用を割り出し、それを元に原価を引き下げる取り組みのことです。
利益は一般的に「売上ー原価」で算出されるので、プロジェクトの利益を向上させるためには、売上を上げることと同時に、いかにして原価を抑えることが出来るかが、ポイントとなってきます。
これはあらゆる企業の課題であり、原価を抑えるために、原価に関わる「無駄や効率性」をしっかりと把握する必要があります。
原価管理を行うことによって、この「無駄や効率性」を把握することができ、コストパフォーマンスを向上させ自社の利益を最大限まで引き出すことが出来るのです。
しかし、利益目標達成に向けた原価管理には、さまざまなデータの収集や整理、分析といった処理が必要になります。
全てを手作業で行ってしまうと、大量に工数がかかってしまったり、データの整合性が取れなくなってしまったりと、様々な問題が発生する可能性が高いので、原価管理システムを利用するのが確実な打開策であると言えるでしょう。
そういった中で、まずはどういったシステムがあるのかを認知することが大切であり、その中から自社に合ったシステムを選択するというプロセスを形成していくことが求められます。
そこで今回は原価管理の概要と共に、低価格で優秀なシステムに的を絞り、原価管理システムを4つ紹介します。
いきなりシステムの導入は厳しいという企業も、まずはシステムの存在を知っておくことで、次につながるものが見えてくるでしょう。
本記事をご覧いただき、システム選びの参考にしていただければ幸いです。
目次
原価管理により最適な意思決定が可能に
低価格競争によって、生産拠点のグローバル化が進み、原価計算や原価管理といったコストマネジメントが重要となってきています。
企業単位で行われる原価管理から、連結ベースでの原価管理が必要となります。
原価管理方法の標準化を行い、国内外における生産拠点の原価情報を見える化するなど、成功につながる仕組みを築くことがポイントです。
ITの進化により、低価格で優れた原価管理システムが生み出され、最新の原価を意思決定に活用できる可能性が高まり、管理対象が広がる中において最適な意思決定にもつながります。
各製造拠点の原価情報を取得し、為替や賃率変動の影響をシミュレーション条件によって分析するなど、連結原価管理を行い、最終的には、製品別の採算や収益の分析を行います。
原価管理は経営層・ミドル層・現場で、意思決定に必要となる原価情報が分けられます。
経営層で必要な原価情報
経営層の間では、製造中止の決定や工場の増設、または閉鎖といった重大な意思決定が行われます。
製造の継続・中止に関する判断は、時系列における製品別の原価についての情報が必要となります。
工場の増設、あるいは閉鎖を判断するために必要な情報は、工場別・製品別の原価情報です。
ミドル層で必要な原価情報
ミドル層では、担当する事業や製品群に対して意思決定が行われます。
どこの工場で、どの製品をどれだけ生産するかを判断するには、工場別・製品別の生産能力に関する情報が必要です。
コストダウンの方法を決めるには、工場別・工程別または工場別・費目別の原価差異に関する情報が必要となります。
現場で必要な原価情報
現場で必要となる情報は、経営層やミドル層が必要とする情報に対して、さらに細かくなります。
部品や外部の協力者を調達するために必要な価格交渉での意思決定には、それぞれの時系列による価格情報が必要となり、販売を実施する際の値引き額を決定するには、各製品の原価情報が必要となります。
各階層による意思決定が可能となれば、その精度は向上します。
製品のライフサイクルが短い業種の場合は、原価情報を取得するタイミングが遅れると、利益予測が的確に判断できず、減産または中止を行うケースであっても、生産を続ければ多くの在庫が生じてしまいます。
新しい製品が市場に出ると、著しく価格が下がる製品の場合、生産量の制御やコストダウンを行うことが重要となるため、原価情報を素早く取得することが望ましいでしょう。
市場での変化が少なく、安定している業種の場合であれば、前月の実績を把握することが可能となったタイミングで意思決定を行う、というケースもあります。
必要となる意思決定のタイミングを見極めることで、確かな原価情報を取得することが大切です。
低価格でグローバルに利用できる原価管理システム
●GENESISS
海外拠点と日本国内の企業が、クラウドでつながります。
日本語・英語の切り替え機能があり、マルチ通過運用も可能となっています。
社内チャットであるトークボードが備わっています。
ユーザー全員のアカウントを、無料で作成することができます。
複雑な原価管理をシンプルにし、プロジェクトごとの原価が把握でき、受注額に対する利益金額・利益率が各種レポートに反映されます。
ネームスイッチャーにより、項目名を変換可能で、例えば、製造業における製造指示であれば、建設業での施工指示に変換可能です。用語は、あらかじめ登録しておきます。
生産管理機能がつかないSIプランは、ユーザー数が3~50人で25,000円/月~120,000/月、生産管理機能が備わっているMIプランは、同じ人数の範囲で 30,000円/月~150,000/月 となっています。
ユーザー数が無制限の場合は、別途問い合わせが必要です。
メリット
導入後すぐに利用でき、月々の利用料金で運用を行うことができます。
データセンターの保守や定期バックアップは、月々の利用料に含まれ、低価格で原価管理を行うことができます。
トークボードにより、現地スタッフとのコミュニケーションが容易になり、ビジネスを加速させます。
デメリット
大規模な利用になる場合は、利用に関していくつかのケースを検討しておくことが望ましいでしょう。
●MCFrame online
SaaS型クラウドとして提供され、月額利用料ベースで利用可能となります。
機能を使いながらシステム導入の検討ができます。
実際原価・標準原価・予算原価・実績原価などの機能を備え、製品別・工程別・取引先別などによる原価分析ができます。
また、既存の生産管理システムや会計システムなど、連携が可能です。
BI機能を利用した様々な資料を作成することができます。
シミュレーション機能による差異分析ができるため、設計・工程・仕入先・発注方法など、見直しが可能となります。
言語は、日本語・英語・中国語などに対応しており、B-EN-G原価コンサルタントによって、システムの立ち上げから定着までサポートを行ってもらえます。
パスワードやアクセス権限の管理、監査証跡、Excel出力可否設定などの内部統制対応のための機能が備わっています。
メリット
まとまった初期投資やライセンスの購入は必要ありません。
必要な原価管理機能を、必要な期間だけ利用することが可能なため、低価格で原価管理が実現できます。
自社におけるITシステムのTCO(総保有コスト)を削減することができます。
デメリット
日常的な問い合わせは、専用のメールアドレスを使用するため、回答までのタイムラグが生じる可能性があります。
低価格で利用できる国内の原価管理システム
●レッツ原価管理Go!
見積もりから回収管理まで、建設業に必要となる業務全体を支援します。
土木・建築などの総合工事業や、電気・通信などの設備工事業、内装・塗装などの職別工事業といった全ての建設業に適したシステムとなります。
機械製造やソフトウェア開発など、個別原価管理が必要な業種にも適しています。
現場の状況が容易に把握でき、各部署との連携もスムーズになり、各業務データを一元管理し、作業の効率化を図ります。
グラフィカルな画面構成によって、得たい情報が見つけやすくなっています。
予定利益と実際利益をリアルタイムに把握することができます。
項目名が表示されたExcelクリエート機能によって、出力したい帳票のデザインが可能です。
ログ管理やアクセス制限など、内部統制を強化するセキュリティが備わっています。
価格はスタンドアロン型で、600,000円からとなっており、別途保守契約(30,000円 / 年~)が必要です。
メリット
取得したい情報がリアルタイムに把握できるため、疑問点に対する回答がスピーディーになります。
帳票がデザインできるため、出力時に誤りがないか確認しやすくなります。
デメリット
中小企業向けのため、大企業への対応は難しくなります。
人数が増えると価格が上がるため、見積りが必須となります。
●haruca
IT企業向けの低価格システムで、原価管理の他に、販売管理・購買管理・勤怠管理機能を提供します。
IT業界特有の契約形態に対応しています。
要件定義・設計・開発・テストといった工程別の収支管理を行うことができます。
販売情報や購買情報をCSV形式で出力した場合、既存の会計システムとの連携が可能となります。
月別/案件別の売上・原価・利益一覧など、経営層に向けたアウトプット機能を備えています。
利用者や所属・得意先・仕入先など、運用に必要となる各種マスター情報の設定が可能です。
利用料金は一般ユーザー(SE・PG)が1人につき月額100円と低価格で、管理ユーザー(総務・営業・PM)が5,000円となります。
ただし、一般ユーザーは勤怠管理のみ利用が可能です。
初期費用は1企業につき100,000円となります。
メリット
契約形態に応じた入力フォームが表示されるため、入力しやすくなります。
現場に常駐する従業員向けとして、スマートフォンからの入力フォームも提供しています。SE・PGの利用料金が低価格となっています。
デメリット
ブラウザは、最新版のGoogle ChromeとMozilla Firefoxのみ動作が保証され、Internet Explorerなどは検証されていません。
管理ユーザーは、3人以上からの契約となります。
1年単位の契約で、契約途中で利用人数が追加された場合、契約終了月までの差額が必要となります。
まとめ
低価格で利用できる原価管理システムと題して、原価管理の概要から、実際のシステムの紹介にいたるまで解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
原価管理というフレーズは聞いたことがあっても、実際に取り組もうとするとなかなか難しいものもありますが、システムを導入することで、取り組み開始に向けて一歩前進することができます。
まずは、どういったシステムがあるのかを理解し、その中から自社に合ったシステムを導入していくことがポイントとなります。
運用を続けていく中で、改善できる部分を見つけて改善策を実行していくという流れを構築することができれば、原価管理の成功に向けて前進と言えます。
現在はグローバル化も進み、企業の経営の在り方が多様化しています。原価管理を適切に行うことで、作業の無駄を無くし効率性を向上させることは、自社の今後の経営に大きな影響を与えます。
原価管理をまだ行っていない企業は、ぜひ原価管理の重要性をもう一度考え直してみて下さい。そして、今回紹介したツール以外にも様々な原価管理の方法がありますので、まずは無料お試しツールやExcelなどで原価管理を始めてみてはいかがでしょうか。