工数管理ツールについて、その製品選びの際にポイントとなる点や実際のツールについてご紹介していきます。
工数管理に取り組む企業や組織も増加傾向にある中で、システムを導入して管理を行うことを検討する機会も増えていくでしょう。
そういった中で、どういった視点でシステム選びを進めていくと良いのかについて、わかりやすく解説していきます。
工数管理に限らず、管理ツールを導入する際は、組織の規模や環境に左右される部分もあるので、そういった副次的な部分も考慮しつつ、システム選びを進めていくと良いでしょう。
今後、工数管理ツールを導入する機会がある場合は、本記事を参考にしていただければ幸いです。
また、本記事の他に「工数管理ツールの選び方」をまとめたホワイトペーパーも配布しておりますので、是非ご活用ください。
目次
1.工数管理ツールを選ぶ際に比較するポイント3点
工数は、アメリカ合衆国のフォード・モーター社が生産性の向上を図るために発案されました。
作業時間と人数が深く関係し、それぞれの工程において、従業員を無駄のないポジションに配置することにより、生産効率を高めることを目的とします。
工数は、企業の利益を左右する重要な概念となります。
これらを管理するため、様々なツールが開発されています。
その中でも、勤怠管理やコストの算出と連携したスタイルが一般的になりつつあります。
現在では、従業員のモチベーションも大切に考えられる傾向にあります。
どのようなツールを導入する場合でも、チームや社内での議論が重要と言えます。
導入後に気づいた問題点は、改善に向けた課題となるでしょう。
1-1.初期費用や提供形態による比較
そこで、製品となる工数管理ツールを選ぶ際に、比較を行うケースが想定されます。
何に重点を置くかは、企業によって異なりますが、共通点として多く考えられるものとしては、初期費用やユーザー数による費用、最低利用期間などが挙げられるでしょう。
例えば、ハイブリッドクラウドの場合、オンプレミスの構築費用などが必要となり、初期費用の比較を行うケースが考えられます。
SaaS型で最低1か月という利用期間もあれば、最低1年は利用することが条件、という場合もあり、ユーザー数と併せて比較を行うケースもあります。
1-2.機能面における比較
機能面に関する比較では、ポイントとして、プロジェクト・レポート・工数予算・工数実績、そして、勤怠管理や原価管理などが挙げられるでしょう。
人気を集めている製品は、見やすさと使いやすさに焦点があてられています。
デザイン性もユーザーにとって大切なポイントとなります。
ミスが減少する、迅速な意志決定につながるなど、業務におけるメリットが考えられます。
1-3.使いやすさによる比較
使いやすさは、マニュアルを熟読する前に、自然と操作につながっていくようなツールを意味します。
例えば、CUI(Character User Interface)を比較して、WindowsのようなGUI(Graphical User Interface)が広く普及したことも、見やすさと使いやすさがユーザーの心をつかんだと言えます。
タイムシートのように、レイアウトを崩したくないページにコメントを記述した場合、改行などでレイアウトが乱れるケースがありますが、アイコンにマウスオーバーさせた時にコメントが表示されるような設計であれば、レイアウトが崩れることはありません。
費用や機能だけでなく、見やすさや使いやすさも含めて、自社に合った製品が作業効率を上げ、業務改善につながります。
工数管理ツールを提供する企業によっては、こういった比較対象を吟味してもらうための無料試用版を設けているケースもあります。
2.工数管理ツールとして利用できるフリーソフト
企業・個人向けにフリーで提供されるソフトウェアをご紹介します。
主にプロジェクトを管理しますが、工数管理ツールとしてフリーで利用できることを考えた場合、他のフリーソフトと比較して優れた点が多いことが特徴です。
工数管理ツールとして開発されたフリーソフトもありますが、入力画面が英語表記であったり、Excelが必須であったりと、機能も特化しているため、少人数で運営を行う場合やデータ量が少ないケースに適していると言えます。
ご紹介するソフトウェアは、汎用性が高く、幅広く使用されているツールです。
プロジェクトやタスクマネジメントを支援する参考書籍としても紹介されています。
ドイツのPlanio GmbHでは、このツールをベースに、SaaS型のPlanioを日本向けに提供開始しました。
プロモーションとサポートを実施するのは、日本のファーエンドテクノロジー株式会社です。
Redmine.JP / ファーエンドテクノロジー株式会社
オープンソースソフトウェアで、不正なプログラムや脆弱性などの確認を行うことができます。
ガントチャート・カレンダー・ロードマップなどによって、作業管理機能であるチケットが表示されます。
チケット番号の入力欄をブランクにすると、プロジェクトに対する工数を入力できます。
時間管理機能によって、特定のチケットやプロジェクトに対する工数の記録・集計を行うことができます。
過去の工数との比較や、予定工数の入力も可能です。
リポジトリ機能によって、Subversion(ソースコード管理システム)やGit(分散型バージョン管理システム)など、連携が可能となります。
リポジトリ画面で、”コミット時に作業時間を記録する”をチェックすると、コミットメッセージに作業時間を入力し、チケットに作業時間を記録することができます。
wikiは共同でメモを作成できる機能、ニュースはメンバーへのお知らせを掲載する機能となっています。
担当者・期限・優先度などを同時に記録することができます。
また、ガントチャートが自動生成される機能もあります。
<メリット>
オープンソースソフトウェアであるため、他のフリーソフトウェアと比較して、信頼性を判断することが可能となります。
マネージャーはメンバーの進捗状況を一目でチェックすることが可能で、メンバーはそれぞれ優先すべき作業が明確にわかります。
<デメリット>
十進化時間を使用した場合、少数第3位で四捨五入を行うため、わずかな誤差が生じることがあります。
公式サイトが英語表記のため、翻訳が必要な場合は、その時間を設ける必要性が生じます。
3.多くのユーザーが比較する工数管理ツール3選
3-1.TeamSpirit / 株式会社チームスピリット
工数管理と勤怠管理・就業管理・経費精算・電子稟議を連動させることで、一体化・自動化を実現しました。
スライダーを使用することで、1日の勤務時間による各作業の割合を登録すると、自動的に工数が計算されます。
Salesforceの標準スケジューラーに入力した予定を、工数として取り込むことが可能です。
モバイルアプリから工数を登録することもできます。
また、工数登録・SNSによる作業報告・退社打刻を同時に行うことができます。
登録された工数は、TeamSpiritと共有のワークフローによって、日次や月次における承認申請ができます。
承認申請を利用することで、勤怠管理で記録された勤務時間と整合性のとれた工数登録となります。
工数管理で利用するプロジェクトは、経費精算で共用され、工数と経費を一つのプロジェクトとして管理することができます。
初期登録料は150,000円、月額利用料は1社につき30,000円からとなります。
これらは、Salesforceプラットフォーム利用料を含んだ月額利用料となっています。
利用するユーザー数に応じて利用料は変動します。
<メリット>
タイムレポートで、経費精算を同時に行うことができるため、作業が手軽になります。
TeamSpirit Leadersと連携させることで、個別原価管理が可能となります。
<デメリット>
工数実績が1ヶ月分、縦に表示されるため、他の工数管理ツールと比較して全体像が見えにくいと言えます。
比較的、規模が大きく、長期的な利用を検討する場合は、費用を高額に設定しておくことが望ましいでしょう。
3-2.クラウドログ / 株式会社クラウドワークス
クラウドログは操作の簡易性、レポートの豊富さが特長のクラウド型工数管理ツールです。
機能としては工数管理の他に、勤怠管理・ガントチャート・売上管理・原価管理・経費管理が搭載されているので、入力された数字から、レポート画面でプロジェクトの採算を見える化することが可能です。
ドラッグアンドドロップでの工数入力など、操作がとにかく簡単なため、はじめてプロジェクト管理を行う方や、IT系リテラシーが高くない方でも十分に使いこなすことが出来ます。
また、レポート機能やExcelダウンロード機能が豊富に搭載されているため、上長やステークホルダーへの報告も簡単に行うことが可能です。
障害管理やチケット管理、ドキュメントのアップロード機能などは持っていないため、数億円規模の大規模プロジェクトではなく、数百万~3千万円規模が対象ゾーンとなるでしょう。
<メリット>
ドラッグアンドドロップで簡単に工数登録やガントチャートの作成が可能です。
工数レポートや、プロジェクトサマリなど、レポート機能が豊富なため、一目でプロジェクトの採算を確認することができます。
<デメリット>
経費・勤怠の電子承認機能が搭載されていません。
ドキュメントがアップロードできません。
3-3.Time Krei / 株式会社テンダ
工数の予定時間と実績時間の入力は、ドラッグアンドドロップで行うことができます。
工数計画は、プロジェクト管理画面から登録を行います。
タスク毎の工数を登録することが可能で、WBSの履歴を残すことができます。
個人別作業割当状況・稼働率分析・EVM分析・原価構成比分析といったレポートが備わっています。
各レポートは、グラフィカルで全体像を把握しやすいデザインとなっています。
予算額はプロジェクトの予定単価と予定数量を入力することで、実績額は実績単価と実績数量を入力することで、自動計算されます。
他の工数管理ツールより、手動入力回数が、比較的少なくなっています。
<メリット>
初心者にもわかりやすい工数入力となっています。
WBSを修正する際、履歴を残すことによって、WBSの差異をチェックすることができます。
初期費用が無料です。
<デメリット>
特段ありませんが、実績欄の12~13時は、休憩時間として設定されているようです。
この時間帯に作業を行った場合、他の時間帯に入力することになる可能性があります。
4.まとめ
工数管理ツールについて、比較のポイントと実際の管理ツールを3製品ご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
工数管理という考え方が普及してきている中で、実際に工数管理に取り組んでいる企業や組織も増えてきているのではないでしょうか。
そういった中で、システムを利用するという段階に至った際に、どういった視点で製品を探せば良いのかなどを思案することもあるかと思います。
そんな時の参考として、本記事の内容を思い返していただければ幸いです。
生産性向上が声高に叫ばれる中で、企業に合ったシステム選びを行うことが必須と言えるでしょう。
工数管理ツールの選び方についてさらに詳しく知りたい方は、ホワイトペーパーを配布しておりますのでぜひご活用ください。