プロジェクトの工程管理に役立つのが、ガントチャート工程表です。作業スケジュールや進捗を可視化できるため、プロジェクトを円滑に進めるうえで役立ちます。ガントチャート工程表の特性と工程管理の相性が良いこともあり、タスク管理にも最適と言えます。
本記事では、工程管理とガントチャート工程表の概要やメリットについて、わかりやすくご紹介します。
また、ガントチャート工程表を作成する方法や、コツ・注意点もまとめました。ガントチャート工程表の無料テンプレートもご用意していますので、ぜひご活用ください。
目次
工程管理に役立つガントチャート工程表とは
ガントチャート工程表とは、各工程の作業進捗を可視化するために用いる表です。
縦軸に工程や細分化されたタスク、作業項目、横軸には日・週などの期間が記載されています。
各タスクの進捗率を示すバーや進捗度(%)を記載して、進捗状況の可視化や工程管理の正確化、効率化を目的に導入されることが一般的です。
工程管理では、計画が重要であり、その計画と実際の進捗状況によって、適切な対応をするための統制が必要となります。
正確な工程計画や管理を実施するうえで役立つのが、ガントチャート工程表です。
ガントチャート工程表の具体的な役割
ここでは、ガントチャート工程表の具体的な役割について解説します。
役割1:プロジェクト全体の可視化
ガントチャート工程表は、プロジェクト全体を視覚的に捉えるためにも使われます。
ガントチャート工程表では管理項目名・開始日・完了日(完了予定日)・作業内容・担当者・マイルストーンなどを項目別に記載します。
管理項目の最小単位であるタスクを洗い出し、メンバー同士でイメージできる細分化を行い、細か過ぎる場合は調整するようにします。
ガントチャート工程表を見たときに、プロジェクトの全体像をイメージできることが大切です。一覧で視覚化できるよう考慮しながら、できるだけシンプルになるよう、具体化と抽象化を図ります。
役割2:タスクの整理
ガントチャート工程表は、タスクの整理にも役立ちます。ガントチャート工程表では、各タスクが実行されるために、必要となる日程やなど、時間を割り振ります。このとき場合、なるべく実行に無理がないよう、計画を立てるようにします。タスク状況を示す代表的なステータスは、着手前・着手・順調・遅れ・完了などです。
役割3:クリティカルパスの特定
ガントチャート工程表には、タスク間の依存関係を明確にし、クリティカルパス(プロジェクトの最長期間)を特定する役割もあります。
プロジェクトでは、それぞれのタスクが独立しているわけではありません。タスクAでの成果物によってタスクBが行われる、といったタスク同士に依存関係があります。
この依存関係を明確にすることで、はじめてクリティカルパスを特定できます。
プロジェクト全体を通して、重大な経路となるクリティカルパスが遅れると、作業全体に影響を及ぼすため、クリティカルパスの短縮、コスト削減となる方法を考慮した管理を行うことが大切です。
バーチャート工程表との違い
バーチャート工程表とは、縦軸に工程・横軸に日数を記載し、各工程の作業完了に必要な日数を、大まかにバーを用いて可視化する工程表です。
一目で工程スケジュールを把握できるメリットがある一方、進捗率の管理は行わないため、各工程の遅延検知が困難というデメリットがあります。作業同士の依存関係性についても管理しないため、精密な工程管理には向いていません。
一方でガントチャート工程表は、進捗率や作業依存関係まで管理するため、バーチャート工程表よりも正確に工程管理を行えます。
ガントチャート工程表のメリット
ガントチャート工程表のメリットは主に以下の2つです。
プロジェクトの進捗状況の見える化
ガントチャート工程表を運用すると、プロジェクトの進捗状況を見える化できます。
プロジェクトメンバーや上層部への進捗状況の共有が容易となるほか、作業工程が明確化されることで、工程管理も正確になるメリットがあります。
作業進捗遅れの検知
プロジェクトの遂行においては、一つの工程の遅延がプロジェクト全体の遅延につながるため、遅延発生時にはスピーディーな対応が必要です。
ガントチャート工程表では進捗率を管理するため、遅延を迅速に検知できます。
ガントチャート工程表の作り方
続いて、ガントチャート工程表の作り方について、ステップごとに詳しく解説します。
ステップ①:作業の洗い出し
まずは、プロジェクトの完了に必要な作業工程を洗い出しましょう。
さらにWBS(Work Breakdown Structure)を用いて、細かい作業・タスクに細分化することで、漏れなく作業工程を抽出できます。
ステップ②:作業者の決定
各工程の作業者を決定します。作業負荷を作業者単位で平準化するよう、タスクの割り振りを調整することが大切です。
また、作業者ごとに能力が異なるケースがあるため、割り振りの際には能力も考慮しましょう。
ステップ③:ガントチャート工程表に落とし込む
ステップ①②で決定した内容をもとに、ガントチャート工程表を作成します。
ガントチャート工程表の作成には、エクセルや専用ツールを用いることが一般的です。各ツールの特徴やメリット・デメリットについては後述します。
ガントチャート工程表の作成時のコツ・注意点
ガントチャート工程表を作成する際のコツ・注意点は以下の通りです。
ポイント1:工程表の作成・管理に時間をかけすぎない
ガントチャート工程表を作成する主な目的は、工程管理の正確化・効率化です。
工程表の作成や、情報入力・メンテナンスなどの運用・管理業務に時間がかかると、逆に効率が悪くなるため注意しましょう。
ガントチャート工程表を効率よく作成できる専用ツールを導入することで、作成・運用にかかるコストを削減できます。
ポイント2:メンバーが見やすい工程表を作成する
工程管理者として、メンバーや上層部への説明を行う機会は多いでしょう。
誰でも一目見ただけで、プロジェクトの状況や進捗率がわかるガントチャート工程表を作成することも大切です。
ポイント3:工数管理も合わせて行う
プロジェクトの進捗管理を適切に行うためには、ガントチャート工程表の活用だけではなく、工数管理もあわせて行うことが重要です。
工数管理の概要や重要性については、以下の記事をご確認ください。
関連記事:工数管理を徹底解説!目的や重要性、簡単な始め方から分析方法まで
工程管理でガントチャートを応用的に利用する
事前に決められた製品を製造する工程管理において、ガントチャートは最適と言えます。
マイルストーンの設定によっても、さらに、有効化を図ることが可能となります。
努力次第で、達成できるイメージを持てる設定が望ましいと言えます。
マイルストーンをクリアし、成果物の品質も基準をクリアした状態にするため、成果物における品質の基準も設定しておきます。
タスク完了時に、成果物の品質が事前に設定した基準をクリアしていることを確認します。
これらの作業は、ツール活用によって同時に実現可能となります。
工程管理に役立つガントチャート工程表が使えるツール4選
エクセル / Microsoft
手軽にガントチャート工程表を作成したいのであれば、エクセルの活用がおすすめです。
フォーマットを一から作成する必要はありますが、自由なレイアウトで作成できる、無料でガントチャート工程表を作成できるメリットがあります。
<メリット>
無料で手軽にガントチャート工程表の作成が可能です。
また、自由なフォーマットで作成できます。
<デメリット>
作成に時間がかかる点や、工程表の更新に手間がかかる点に注意が必要です。
また、入力方法を誤るとフォーマットが崩れる危険性があります。
エクセルでガントチャート工程表を作成する方法については、以下の記事をご確認ください。
関連記事:
エクセルのガントチャートで「プロジェクト管理」する5ステップ
エクセルでガントチャートのつくり方!無料エクセルサンプル付き|プロジェクト管理・工数管理「クラウドログ」
Brabio! / ブラビオ株式会社
組織全体において、誰がいつ、どんな作業を実行しているか、一目で把握できるビュー機能を備えています。
疑問点が残るタスクについては、メンバーに対して報告依頼を出すことができます。
マウス操作で、スピーディーにガントチャートが作成できます。
ガントチャートをExcelやCSVファイル形式に出力することも可能で、マイルストーンはガントチャート画面から入力できます。
ToDo管理をスケジューラーのように利用することも可能で、一覧として管理することができます。
ユーザーモードの設定により、情報の公開・非公開を明確にし、セキュリティを強化します。
クラウドの基盤はGoogleサービスを使用し、 iPadやiPhoneにも対応することが可能となります。
10ユーザーまでの場合、月額3,240円で、50ユーザーまでは、+10ユーザーまでにつき+3,240円となります。
100ユーザーまでの場合、月額32,400円で、300ユーザーまでは、+100ユーザーまでにつき+32,400円です。
<メリット>
忙しいメンバーを把握することができるため、タスク管理の改善に役立ちます。
ガントチャートをExcelシートへ一括出力し、レポート作成の工数を大幅に削減することができます。
掲示板が更新された場合、メール通知が連動するため、リアルタイムでの状況把握を行うことができます。
<デメリット>
無料プランの場合、5名までとなり、Excelへの出力は1日につき3回まで、メンバー登録はCSV非対応など、様々な制限があります。
Backlog / 株式会社ヌーラボ
ガントチャートは、課題の登録を行う際に、開始日・完了日・マイルストーンなど、いずれかの入力によって作成されます。
課題の変更を行うことによって、自動的にガントチャートに反映されます。
マイルストーンを設定した場合、バーンダウンチャートが自動生成され、進捗状況の把握を可能とします。
課題の完了によってバーンダウンチャートに反映され、最新の状況がわかります。
iPhoneやスマートフォンから、最新の情報を入手できるようになっています。
メンバーのモチベーションをアップさせるメッセージ機能を備えています。
レポートは、Excel形式で出力することができます。
プランによって利用料金は変動し、2,000~50,000円/月となります。
<メリット>
課題に変更があった場合でも、手作業でガントチャートを作り直す必要がありません。
日本語をはじめ、英語・中国語・韓国語、ベトナム語に対応し、タイムゾーンを選択することができます。
<デメリット>
アクセスログの閲覧はオプションとなり、申込み時点より過去1年以内の提供となります。
月額5,000円、スポットでは15,000円です。
セキュリティチェックシートへの回答は、個別相談となります。
クラウドログ / 株式会社クラウドワークス
クラウドログは工数管理に特化したクラウド型プロジェクト管理ツールです。
他社のガントチャート工程表はタスクの進捗管理が主体ですが、クラウドログはタスク管理と同時に工数管理、予実の管理が可能です。
先述した通り、プロジェクト管理において工数管理は非常に重要です。
クラウドログを導入すれば、ガントチャート工程表の作成ツール、工数管理ツールを別で導入する手間がなく、コストも削減できます。
ガントチャート工程表やカレンダー形式で工数の登録や確認ができるほか、プロジェクトに応じたテンプレートが豊富に用意されているので効率的に工数を登録できます。
作業別や工程別、企業別、商品別などカテゴリに分けて工数を登録できるのも嬉しいポイントです。
また、出力できるレポートも豊富なのでプロジェクトの進捗報告やプロジェクトの評価が容易になります。
5ユーザーまでの場合、月額3,000~5,000円で、50ユーザーまでは、+5ユーザーまでにつき+3,000~5,000円となります。
100ユーザーまでの場合、月額50,000~80,000円で、300ユーザーまでは、+100ユーザーまでにつき+250,000円~400,000円です。
<メリット>
ドラッグ・アンド・ドロップで簡単にガントチャート工程表を作成することが可能です。
日本語・英語・中国語(簡体字)に対応し、タイムゾーンを選択することができます。
工数管理に特化した製品であるため、ガントチャート工程表での工程管理と工数管理を合わせて行うことができます。
<デメリット>
他の工数管理ツールに比べると価格が高くなっています。
しかし、プロジェクト管理や工数管理の機能も備わっていることを考えると妥当な価格であると言えるでしょう。
プロジェクト管理ツールの重要性についてはこちらの記事も是非お読みください。
関連記事:
【プロジェクト管理ツール5選】プロジェクト管理にはツールの導入が不可欠!プロジェクト管理ツールのメリットと選び方を理解して導入しよう!
まとめ
工程管理におけるガントチャート工程表利用の概要やメリット等についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
工程管理に取り組まれる際には、ガントチャート工程表を利用することで、より一層効率的な管理を行うことができるようになるということをご認識いただければ幸いです。
さまざまな管理ツールも登場する中で、本記事で取り上げた製品は代表的なものであり、使い勝手も良いので、初めてツールを導入する際には特に利用する価値があると言えます。
まずは、作業やタスクを見える化して、プロジェクトの進捗度が良くなる実感を得られるように、取り組みを開始することが大切でしょう。