
ビジネスにおいて、時間をうまく使えるかどうかは成果に直結します。
今回はタイムマネジメントに焦点をあてて、いかに働き、いかに成果を出していくかという点をご紹介します。
タイムマネジメントの意味やメリットのほか、タイムマネジメントが上手い人の働き方や、ハイパフォーマーの1日の過ごし方などの具体的な事例も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
1.タイムマネジメントとは

管理者には時間の有効活用が求められます。
複雑で多岐にわたる業務を、円滑に運営するための計画と実行が大切です。
主体的に計画を立て、それを忠実に実行していくことで時間の価値を高めます。
管理者は、自分に合った実践をパターン化するよう心がけることが大切です。
ワークスタイルとライフスタイルが自身に適していれば、無理のないタイムマネジメントが可能となります。
まず、持ち時間を仕事に割り振り、無駄と考えられる時間を除いて、仕事の効率化を図ります。
改善点を洗い出し、不測の事態に対処できる時間を増やすようにします。
計画と実績を比べて問題があれば課題点とし、次に計画を立てる際に活用できるようにしておきます。
目的を明確にすることから始め、制約条件などを考慮に入れ、いつまでに何をどのようにして、といったように段階的に目標を設定するようにします。
そして、最終目標やマイルストーンを設定します。
予定と実績に差があれば、それに対処できるように施策を考える必要があります。
考えた施策を評価し、あらゆる角度から優先順位を決め、工数・期間の見積りを立てます。
期間は、自分で決めなければいけないケースと、自動的に決まるケースの両方を検討しておきます。
順序構成を確立させて、時間の見える化を行います。
1-1.タイムマネジメントにおける優先順位の考え方
着手・期間(投入時間)・完了という時間の三要素と、目標の整合性が重要です。
優先順位に着目した場合、時間軸と価値軸を合わせた4つのエリアで考える方法が一般的です。
時間軸を左から右へ水平方向に、価値軸を垂直にとり、右上のエリアが緊急性と重要性が高く、左下が両方とも低くなるようにします。
タイムマネジメントでは、緊急性より重要性で優先順位を考えます。
つまり、通常の発想では右上の方が優先順位が高いと考えられますが、時間管理では納期に余裕のある間に着手する考えによって、左上の方が、優先順位が高くなります。
また、余裕を持って取り組むことで、想定外の状況になった場合でも、落ち着いて対処することができます。
やるべきこと、優先順位が確定すれば、使いやすいツールを利用して業務の管理を行い、効率的な業務管理とミスを防ぐことが可能となります。
常に考えておくべきことは、業務を振り返り、時間を有効に使えていたかどうかということです。
立てた計画に沿って仕事を進めることがどれ程できていたか、見直すようにします。
計画的に時間を使えていた比率が高くなると、時間価値も高くなります。
不測の事態に備える時間を、予め作っておくことも忘れないようにします。
タイムマネジメントは、管理者が身につけておくべき重要なスキルと言えます。
2.タイムマネジメントのメリット

タイムマネジメントによって得られるメリットは、大きく分けて3つあります。
2-1.モチベーションの維持につながる
時間が足りず、仕事に追われているという感覚ではなく、時間を仕事に活用しているという気持ちで業務に携わることができます。
ビジネスパーソンのモチベーションを維持することになります。
2-2.リスク想定ができる
様々な条件や制約を考慮した計画に沿って仕事を進めているため、リスク想定ができるようになります。
ここで、不測の事態に備えた時間を有することで、実際に何か起きた場合でも、冷静で適切な判断を行うことができます。
2-3.プライベートの時間を確保できる
余裕を考えた仕事ができるため、余分な残業の必要がなくなり、学習や情報収集、休息のために利用する時間ができます。
2-4.取りあえずやってみることも重要
時間の制約が厳しい環境の場合、8割までは仕事を仕上げるように心がけます。
まずはとにかく着手して、ある程度まで進めます。
その過程で、仕事の全体像が明確に浮かび、残り時間などの感覚が冴えてきて、仕事を進めるメリットが生まれます。
特に、難易度の高い仕事は着手自体が難しいと言われます。
“取りあえずやってみる”、という行動も時間の有効活用が望めます。
完成度が8割に到達して、可能であれば、別の重要な仕事に着手する方法もあります。
しばらくの時間、異なる作業を手がけて元の作業に戻ると、効率が良くなるケースもあります。
例えば、受験生が最初に英語を学習し、途中で別科目の学習をしてから、再び英語の学習に戻ると、ずっと英語の学習を続けている場合より捗るケースと同じと言えます。
別の仕事に着手することが難しい場合、8割を基本としたまま、時間を見つけて残りの2割を手がけるようにします。
ここで、残りの2割は、仕上げのフェーズと考えておきます。
仕事を複数抱えるケースにも有効で、精神的な重圧を軽減することができます。
タイムマネジメントでは、以下のような考え方で仕事を進める方法も挙げられています。
すぐに終わらせることができるような割り込み作業であれば、その場で片付けることもタイムマネジメントにおいては、有効とされます。
余分な仕事を残さないことで、重要な仕事に集中することができます。
これは、ある程度の経験が必要となる場合もあります。
明らかに時間がかからないとわかるような作業であれば着手し、完了させることが望ましいでしょう。
スキルアップすることで、より早く仕事を完了させることが可能で、時間に余裕を持たせることができます。
所要時間や仕事に不正確な箇所があった場合、予定を入れていない時間を充てる対処法があります。
そのため、スケジュールが空いているからといって、何か他の予定を入れるのではなく、空けておくようにします。
リスクに備える対処法と同様です。
スケジュール管理だけでなく、タイムマネジメントの考え方も広がりつつあります。
3.タイムマネジメントが上手い人の仕事の進め方

タイムマネジメントが上手い人は、パフォーマンスが高いことが特徴です。では、どのように仕事を進めているのでしょうか。ここでは、ハイパフォーマーの仕事のやり方をいくつか紹介します。
不要な仕事を減らす
ハイパフォーマーは仕事を始める前に、まずは不要な仕事を減らしています。
仕事に時間がかかってしまう理由には、「仕事の段取りができていない」「余計な手間をかけている」といったケースも少なくありません。
不要な工程を省いたり、後回しでも問題ないタスクを一旦横に置いておいたりすることで、今やるべき業務が明確になります。
また、タスクの取捨選択を行えば、業務過多にならないようにスケジュールを調整でき、集中力が必要なタスクに時間をかけることができます。
仕事を効率化する
タイムマネジメントが上手い人は、仕事の熟練度だけで業務効率を上げているわけでありません。
仕事を効率化することで、作業の処理スピードを上げています。
例えば、自分用の作業マニュアルを作ったり、タスクをスムーズに進めるためのポイントをメモしたりして、仕事の工程や手順を分かりやすくしています。
仕事を効率的に進める流れを自分なりに理解しておけば、着手中に考えることが減り、より業務に集中できる環境を構築できます。
仕事をグループ化する
ハイパフォーマーは、類似した仕事をグループ化して効率を上げています。
例えば、プロジェクト単位でタスクを整理したり、似た成果物のタスクをまとめたりすると、タスクを切り替える回数が減って業務に集中しやすくなります。
同じタイミング・同じ場所で進められるタスクを組み合わせることで、二度手間を防ぐことができ、効率的にタスクを処理することができます。
仕事の優先順位を決める
タイムマネジメントが上手い人は、仕事の優先順位やタスクの重要度を常に把握し、意識しながら動いていることが特徴です。
スケジュールには変更がつきもので、突発的な仕事が入ったり、納期が早まったりするケースも多々あります。
その点、仕事の優先順位を明確にしておけば、状況に応じて柔軟に対応できるだけでなく、「どの仕事から進めるか」と考える手間も減るため、業務効率化につながります。
適切な休憩をとる
タイムマネジメントを向上させるためには、適切な休憩をとることも重要です。
ハイパフォーマーは、休憩時間もタスクのひとつとしてスケジュールに入れています。
タスクが片付いていない状況だと、焦って仕事を詰め込んでしまいがちですが、脳には休息が必要です。
休憩をとらずに仕事を進めると「燃え尽き症候群」になりやすく、一時的に仕事を効率化できたとしても長続きはしません。
休憩をとるのが難しい場合や休憩を忘れてしまう場合は、プッシュ通知やアラートを設定するなどして、休息の時間を設けるとよいでしょう。
4.「タイムマネジメント」における事例紹介
CEOとして、ある企業に勤めるビジネスパーソンの1日をご紹介します。
出勤してまもなく着手することは、短時間で終了できるタスクです。
内容は簡単なもので、重要度の高くないものを選ぶことにしています。
そういった作業を幾つか手がける間に達成感が生まれ、モチベーションも向上し、1日の仕事効率が上がります。
そして、仕事の基本と考えているのは、取りあえず着手してみるということです。
あえて完璧であることを目指さず、少しずつでも進めていくという考えを大切にしています。
着手するまでは気が重いと感じていても、取り組んでみれば、思ったよりも仕事を進めることができるケースは多くあります。
余裕のある時間配分で仕事が進む場合もあれば、限られた時間内に集中して仕事に取り組む方が捗る場合もあります。
重要なのは集中力で、スピーディーかつクオリティーの高い仕事ができます。
アポイントやミーティング、デスクワークなど、スケジュールは詰め込まずに、最大でも4~5時間程に決めておきます。
想定していなかった重要な予定が入った場合に備え、3~4時間は空けておくようにします。そういった予定が入らなかった場合は、別のタスクを前倒しで実行できるため、時間に追われるストレスを回避することができます。
重要な打ち合わせなどの予定は、できる限り、午前中など1日の早い時間帯に済ませるようにします。
1日の後半となる時間帯に重要な予定を入れると、そのことが気になって、質の良い仕事ができずに時間が無駄になってしまうためです。
1日のうちに、最も重要となる予定であれば、その内容を理解しておき、他の予定をキャンセルしてでも時間を充てることができるように心がけておきます。
体調や気分次第で、集中力を発揮できる合計時間は日によって異なります。
8時間を超えても、まだまだ集中して仕事ができる日もあれば、集中することが難しい日もあります。
不調な時は、無理をせずにリラックスするように心がけています。
全体的に長くなる仕事は、タスクに細分化し、それぞれに期限を設けて少しずつ進めていきます。
自分以外のスタッフが仕事を行う場合でも、8割くらいのクオリティーで完成できると思ったら仕事を任せるようにします。
全てを、自分一人で手がけることはありません。
1日のタスクを前日に設定しておくと、翌日のイメージが浮かびやすく作業効率も良くなります。
今後のタイムマネジメントに活用しやすくなるため、それぞれのタスクに費やした時間は、ログに記録しておきます。
自分の時間は限りあるもので、貴重であると、常に意識しておきます。
1分1秒でも大切に思います。
まとめ
今回は、タイムマネジメントについてご紹介しました。
1日24時間という限られた時間を有効に活用していくことは、人間らしい生活を営んでいく上でも大切なことであり、それはビジネスにおいても変わらないでしょう。
いかに働き、いかに成果を出していくかという点において、効率性や生産性を求めて仕事をしていくことがポイントとなってきます。
今回挙げたポイントや事例を参考にし、自分に合ったタイムマネジメント方法を見つけてみてください。