プロジェクトマネージャーとして、プロジェクトを成功に導くことは誰しもができることではありません。
まず、プロジェクトマネージャーという立場になるために、日々研鑽を積み、スキル・知識・経験・ノウハウを身につけることで、ようやくその権利を手に入れることができます。
しかし、プロジェクトマネージャーになったからと言って、すぐにプロジェクトを上手く回せるかというと、それほど簡単なものでもありません。
今回は、プロジェクトマネージャーとして、いかに立ち振る舞い、いかにプロジェクトを成功に導いていくかという点にスポットを当てて、解説を行っていきます。
プロジェクトマネージャーとして活躍されることを望む方にとっては、最低限頭に入れておきたい内容となっているので、是非ご覧下さい。
PMがプロジェクトを立ち上げてゴールするには
スキルは、経験していくことで身についていきますが、プロジェクトマネージャーは、仕事の範囲があってないようなものなので、何でもこなせる素養が求められます。
単に与えられたことをこなすだけではなく、企業戦略を達成するなど、より高度な仕事が要求されます。
資格という点で、PMPの資格を取るには、最低でも半年間勉強する必要あります。
5W1Hなどの仕事のノウハウも学べるので、仕事を行う上でもプロジェクトマネージャーとしてはとても重要なことと言えます。
アポロ計画の時には、40万人以上の人がプロジェクトに動員されました。
40万人以上をコントロールするには、それまでの方法では無理だということになり、その際にプロジェクトマネジメントが確立されたと言われる説もあります。
プロジェクトというものは、独自性があり期限が定められています。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの期限に合わせて、立ち上げから終了に至るまで全てを管理していきます。
スタートの地点で、どのようにプロジェクトを進めていくかなどを決定していく役割を担います。
以下、各フェーズにおいて、プロジェクトマネージャーが求められる役割です。
1.立ち上げ(プロセス群)
立ち上げの段階で、関係者、メンバー、どういったことをやっていくかなどを決めていきます。
2.計画
こういう風にプロジェクトをやっていけば良いのではないか、といった予定などを立てていきます。
3.実行
計画と実行は毎回異なり、やり方の手順が決まっているわけではありません。
そのため、計画と実行は常に回転している状態となります。
これをPDCA(プラン・実行・チェック・改善)と呼びます。
4.ゴール(終結プロジェクト群)
きちんとゴールまで到達したかを確認して、ゴールとなります。
プロジェクトは、同じ内容でなくても似たようなものを何回も繰り返すことがあります。
全体像を見ながら管理していないと、それほど重要ではない業務に時間を取られてしまいます。
そのため、計画と実行が上手く回るように監視とコントロールを行う必要があります。
プロジェクトとは
独自性
日々のルーチンワークのように、同じことを繰り返すのではなく、毎回異なることを行っていきます。
有期性
何月何日にスタートして、何月何日に終わるといったように、ゴールがあります。
プロジェクトが終了するというのは、プロジェクトが成功したことを意味します。
あるいは、プロジェクトが失敗して終了する場合もあります。
一方で、有期性がないプロジェクトもあります。
例えば、結婚式で引き出物を何にするか、誰を招待するかなどを決めることはある意味、プロジェクトと言えますが、結婚生活はゴールが設定されていません。
しかし、日常生活の中で問題が起これば、その都度問題を解決するために計画と改善を繰り返していきます。
そういった意味で、有期性はありませんが、PDCAを回していくという点ではプロジェクトと似た考え方をすることができます。
PMがプロジェクトを失敗してしまう原因と対策
数あるプロジェクト中には、計画書通りに進まず、納期に間に合わずに失敗してしまうものもあります。
では、どうすれば予定通りにプロジェクトを完了させることができるのでしょうか。
納期が間に合わない原因は、大きく受注者側に責任がある場合と、発注者側に責任がある場合との2つに分けることができます。
受注者側に責任がある場合は、計画段階の原因と、作業開始後の原因とに分けることができます。
計画段階の原因として、スコープや役割の抜け漏れ、見積り精度の低さ、突発的な事象の発生に分類していくことができます。
計画段階でのスコープや役割の抜け漏れの原因は、プロジェクトマネージャーの経験不足が根本的な原因です。
対策としては、経験豊富なプロジェクトマネージャーを登用するだけでなく、他の社員による社内レビューを活用することで、プロジェクトマネージャーの経験不足を補うことができます。
見積り精度が低くなる原因と対策
見積り精度が低くなる原因は、計画段階の想定よりも作業が難しかったり、工数がかかるものだったりするということが挙げられます。
対策としては、プロジェクトメンバーに経験豊富な人材を登用するだけでなく、できるだけ実際の担当者に作業やスケジュールの見積りをしてもらうことで、見積り精度を上げることができます。
見積り精度が低くなってしまうもう一つの原因は、計画段階での想定よりもメンバーのスキルが低かったということです。
対策としては、メンバーを割り当てる段階で、メンバーのスキルレベルやプロジェクト経験を充分に把握しておくことが有効となります。
プロジェクトメンバーのスキルを把握しておけば、経験の浅いメンバーのスキルをベテランのスキルでカバーするという対策を講じることができます。
大きなプロジェクトでは、プロジェクトマネージャーがリーダークラスの職務経歴書を読んでいないということもあります。
しかし、プロジェクトメンバーのスキルを正しく把握していなければ、適材適所で効率的な作業の割り振りを行うことが難しくなります。
職務経歴書に目を通しておくことは、プロジェクトマネージャーとして最低限やるべきことだと認識しておくと良いでしょう。
また、時間に余裕があれば、個別にインタビューを行っておくことがベストと言えます。
突発的な事象の発生による遅延と対策
突発的な事象の発生によって、作業に遅延が発生する例としては、メンバーの病気や退職、社会的な事件や事故、自然災害などが挙げられます。
基本的にこういった事象は、予測するのが難しいですが、これらの事象によってプロジェクトに影響が出るのは、リスク対策が不十分だったことが原因とも言えます。
対策としては、計画段階で完了するプロジェクトの最短期間に対して、数割程度の予備時間を確保した期間で、余裕をもったスケジュール設計をすることが求められます。
上記に加えて、リスクレベルに応じた準備を行うことも重要です。
病気への対策として、マスクの着用や除菌用アルコールの設置、離職者対策としてのカウンセリング、事故や自然災害発生時のBCP対策、勤務方針などがリスク予防策に当てはまります。
PMとして知っておきたい考え方3選
1.プロジェクト遅延の原因を探る
プロジェクト開始後に起因するプロジェクト失敗の原因は、遅延の原因となっている課題や、計画に入っていなかったTO・DO事項を誰も把握していなかったり、把握していても担当者以外が進行状況を見ていなくて、放置されたりしていることが考えられます。
対策としては、課題やTO・DOをプロジェクト全体で、常に管理していくことと、日々のルーチンワークを機能させることが有効です。
課題やTO・DO事項は、認識されたら、まず担当者と期限を決めて、対策を進めていくようにすることが必須となります。
もし、期限内の解決や完了が難しいようであれば、メンバーからリーダー、リーダーからプロジェクトマネージャー、プロジェクトマネージャーから顧客担当やプロジェクトオーナーといった、エスカレーションして報告を行う流れを確立することで改善できます。
大きなプロジェクトであれば、期限が近づいたTO・DOについて、督促を専門とする担当者を置くというのも有効な手段となります。
2.ガントチャートとは
ガントチャートは、定義段階の最後に使われることが多いチャートです。
左から、タスク名、担当者、各タスクの実施日数、開始日、完了予定日、そして、各タスクを進める毎に、進捗度合いを記録する空欄があります。
各タスクの進捗度合いを、目で見て確かめることができて、わかりやすいというメリットがあります。
ガンチャートを作製する過程で、プロジェクトの計画をより効果的で現実的なものにすることができます。
作製過程で、各タスクの前後関係を考慮することができるので、全体最適された最短のプロジェクトを計画することが可能です。
3.EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)とは
EVMとは、計画などの進捗管理の一つの方法です。
EVMには、以下の4つの重要な用語が出てきます。
- BAC = Budget At Completion (総予算)
- EV = Earned Value (完成した部分の価値)
- PV = Planned Value (計画で予定されていたコスト)
- AC = Actual Cost (実際にかかったコスト)
このように、スケジュールとコストの両面から計画を分析していくことができます。
スケジュール差異は、EV-PVで計算することができます。
スケジュール効率指数SPIは、EV÷PVで計算します。
また、コスト差異(CV)はEV-AC、コスト効率指数(CPI)はEV÷ACで計算することができます。
EVMは、今後の予測も立てることができるのが特徴です。
まとめ
プロジェクトマネージャーの仕事は、どの業界でも仕事の大小を問わず活用できる知識と技術であり、目標を期限内に達成するために、設定基準から外れないように活動全体を統制することです。
そこには、プロジェクトの成功率を高めるためのコスト管理、リスク管理、スコープ管理、品質管理、利害関係者管理、スケジュール管理など、様々な知識や技術、科学的アプローチが存在しています。
そういった各種管理スキル、アプローチ手法を身につけていくことで、プロジェクトを成功に導くプロジェクトマネージャーに近づくことができるでしょう。