システム開発のプロジェクトを管理するプロジェクトマネージャー。プロジェクトが成功するかどうかは、プロジェクトマネージャーの腕に掛かっていると言っても過言ではありません。
プロジェクトが始まったものの、
- 要件がいつまでたっても固まらない
- 指示通りにメンバーが動いてくれない
- プロジェクトメンバー間のコミュニケーションがぎくしゃくしている
- どんどん進捗が遅れていく
などの問題が発生したことがありませんか?
システム開発を成功に導く為には、緻密なプロジェクト計画と進捗管理、課題管理、プロジェクトメンバーへの適切な指示など多くのプロジェクト管理スキルが求められます。
プロジェクト管理スキルは1冊の本になるほどボリュームがあるものです。
そこでこの記事では、忙しい方でも学べるよう特に重要なノウハウを5分で読めるよう1枚にまとめました。ぜひこの記事をプロジェクト成功の参考にして下さい。
1.プロジェクトとは
そもそもプロジェクトとは何でしょうか?
プロジェクトとは、以下の定義をすべて満たす活動を言います。
- 目的と達成すべき評価可能な目標(QCD)が定められている
- 期間が決まっている
- チームを組んで遂行する
定常業務とは異なり、システム開発や新規サービスの導入・刷新、新組織の立上げ、特定の課題の解決のための取組みなどがプロジェクトの代表例と言えます。
2.プロジェクト失敗の定義とは
「あのプロジェクトは大失敗だった」このような言葉を良く耳にしませんか?
前章でプロジェクトとは、目的と達成すべき評価可能な目標(QCD)が定められていて、期間が決まっており、チームを組んで遂行するものと解説しました。
あらかじめ設定した達成すべき評価可能な目標(QCD)を達成できなければプロジェクト失敗となります。
ここまでプロジェクトの定義とプロジェクトの失敗の定義について解説してきました。
次の章では、プロジェクトのよくある失敗パターンについて解説します。
3.プロジェクト失敗の4大パターンと失敗しないための質問リスト
プロジェクト失敗の研究は学会があり、数百枚数千枚のボリュームになるほど奥が深く難しいものです。プロジェクト失敗の原因は、極端に言えば「プロジェクト計画能力の不足」と「プロジェクト実行能力の不足」です。
しかし、これだけ言われても話が大きすぎて明日のプロジェクトでは活用できません。
そこでこの章では、最低限抑えておきたいよく発生する失敗パターンについて解説します。
3-1.プロジェクト計画をそもそも建てていない
プロジェクト失敗の原因で圧倒的に多いのが、プロジェクト計画をそもそも建てていないケースです。プロジェクト計画書はいわばプロジェクトのマニュアルです。マニュアルなしでロボットを作るのが難しいように、プロジェクトもマニュアルがないと多くの場合失敗するでしょう。
プロジェクト計画書の作成は時間が掛かるものです。顧客(発注者)によっては、そもそもプロジェクト計画やプロジェクト管理の知識をまったくもたないがために、プロジェクト計画書がないことに疑問を持たない会社も多くあります。「受注金額が少ないから」「計画は時間がかかるから」と計画作成をやらないと、計画を立てる時間以上のリスクを背負ってしまうことになります。必ずプロジェクト計画書は作りましょう。
プロジェクト計画書の書き方はこちらの記事で解説しています。
https://www.crowdlog.jp/blog/2017/05/08/108679/?2017_06_12_108909
★チェックポイント
- プロジェクト計画書はありますか?
- そのプロジェクト計画書は、最低限作っておくべき内容(プロジェクトの目的・ゴール、スコープ、スケジュール、コスト計画、プロジェクト体制、コミュニケーションマネジメント、リスクと対策)が網羅されていますか?
この質問に即座にYESと言えなければプロジェクトで問題が出る可能性が高いと言えます。
3-2.顧客(発注者)の協力を得られていない
プロジェクトの成功には、プロジェクトチームと顧客が一緒に取り組むことが欠かせません。発注者は一般的にプロジェクトに非協力的です。お金を支払うのだから、なるべく何もしたくありません。理想は受注者に丸投げしたいのです。顧客をうまく巻き込めないと要求や仕様がいつまでたっても固まりません。
そして、顧客からの機能仕様書や構成仕様書が不完全で、現場からの要求が読み取れないなどといった問題をそのままにして進めた結果、完成したシステムを使う現場から不満が出る、業務にマッチしないといった失敗に多くの場合つながります。
★チェックポイント
- 顧客とプロジェクト計画書の内容を合意できていますか?
- 顧客の役割や顧客が行うべきタスクは明確になっていますか?
- 顧客は協力的ですか?
この質問に即座にYESと言えなければプロジェクトで問題が出る可能性が高いと言えます。
3-3.進捗や課題管理を行っていない
プロジェクト当初はWBSや課題管理表を作ったものの、次第に日々のタスクに忙殺されて進捗管理、課題管理を怠ってしまうケースです。結果として、気づいた時には進捗のリカバリーや課題の解決が難しい状態まで進んでおり失敗が確定してしまうケースも代表的な失敗パターンです。
★チェックポイント
- プロジェクトの進捗管理は日々行っていますか?
- 発生した遅延の対策は明確になっていますか?
- 課題管理は日々行っていますか?
- 課題の解決策は明確になっていますか?
- 課題の対応者と期限は明確になっていますか?
この質問に即座にYESと言えなければプロジェクトで問題が出る可能性が高いと言えます。
3-4.対人関係(コミュニケーション)が円滑に進まない
プロジェクト管理と言うと、どうしてもプロジェクト計画書やタスクの進捗状況など、目に見える事象が中心になってしまう事が多く、実は目に見えない、対人関係(プロジェクトメンバーとの関係)も重要な要素です。つまり、プロジェクト管理者とプロジェクトメンバーとの関係やプロジェクトメンバー同士の関係への配慮が欠かせない事象です。プロジェクトを動かすのも人という事を忘れてはいけません。
プロジェクト管理者やメンバーがお互いの人となりや背景を知らない状況で仕事や作業が円滑に進むでしょうか?その答えは「No」です。メンバーが期待する働きをしてくれない、進捗報告をしてくれない、アラートを上げてくれない…など対人関係を発端とした問題は必ずといって良いほどプロジェクトでは出てきます。プロジェクト計画でコミュニケーションルールを定めることも重要ですが、最終的には、コミュニケーションスキルです。
★チェックポイント
- コミュニケーション計画はありますか?
- メンバー間で人間関係が悪化していませんか?
- メンバーは休みを取れていますか?疲労が溜まりすぎていませんか?
- 進捗報告や課題は適切なタイミングで報告が上がってきますか?
この質問に即座にYESと言えなければプロジェクトで問題が出る可能性が高いと言えます。
この章では、プロジェクトの主な失敗パターンと失敗を避けるための重要な質問を解説してきました。最低限、この章で解説した重要な質問は日々確認するようにしましょう。
4.プロジェクトを成功に導くために最低限抑えておくべき4つのポイント
プロジェクトマネジメントは、1冊の本になるほどボリュームがあるものです。最低限数冊はプロジェクトマネジメントの本を読んでおきたいところですが、いきなりプロジェクトを任され本読む暇もないという方も多くいると思います。
この章では、プロジェクトを成功に導くために最低限抑えておくべきポイントに絞って解説します。
4-1.プロジェクトの計画書の作成とプロジェクトメンバーへの共有
プロジェクトの計画書を作成して書面化することは、「質の高い成果物を完成させ、顧客に提示する」というプロジェクトのゴールに期限内にたどり着くための手順を明確にすることにつながります。計画書作成には、ゴールまでに必要な作業や行動は何か、何をいつまでに、どれくらいやればいいのかをプロジェクト管理者が指揮を執って、メンバーと協力しながら考えて作成していく必要があります。
そして、計画書は最初から完璧に作成される必要はありませんが、プロジェクト開始の時点で決まっていることは何か、決まっていないことは何かということをメンバー間で共有することが、プロジェクトを進める上で最も重要です。
4-2.コミュニケーションスキルが超重要
コミュニケーションスキルは忘れられがちですが、プロジェクトを成功に導くためにはとても重要な要素です。とても重要な要素ですので、少し厚めに解説します。
対人関係の知識やスキルを自分なりに考えて見る事が必要です。スキルと言っても「話す」、「聞く」、「同意させる」、「互いに協力する」といった基本的な項目です。また、プロジェクトメンバーの声を「聴く」という傾聴の姿勢を通して信頼関係を築いて行く事です。
プロジェクトメンバーの立場や環境を含め把握するには、日々の仕事や作業環境では到底把握することはできません。プロジェクトメンバー同士の交流も含め、懇親会の機会を設ける事はあるかと思いますが、プロジェクト開始に一度すれば良いというものでは無く、継続してそのような機会を作って行く事が重要となります。
メンバー数人と定期的にランチへ行きプロジェクトに関する事やプロジェクト以外の事について話したり、出来る限りオフに近い本音が出やすい環境で、プロジェクトメンバーと話す機会を継続的に作って行く事が重要です
そのような場だからこそ、プロジェクトやプロジェクト以外の愚痴や不満も含め、プロジェクトメンバー個人個人の状況を把握する機会となり、その状況を踏まえたマネジメントを考える事ができるようになるのです。
マネジメントと言っても、把握した情報をふまえ、そのメンバーが積極的にプロジェクトに関われる状況を提供し、前に進める状況(希望)を持たせる事です。
そして、このような日々のプロジェクトメンバーとのやり取りの中で、信頼関係を築く事ができるのです。
こうした信頼関係を築く事や相手を知る事は時間が掛かります。しかし、信頼関係ができ、相手の事をよく知ることで、実はプロジェクト内での交渉や同意を得るのに掛かる労力や時間を激減させることも可能になります。
4-3.プロジェクトメンバー個々の能力を把握し、お互いの欠点を補う管理
プロジェクトメンバーの置かれている状況をふまえたマネジメントの重要性を説明してきましたが、いくら信頼関係が出来ても、個人個人の経験や能力によりプロジェクトの進捗状況に影響が出てきます。得意・不得意な部分を把握し、お互いが得意な部分や対応できる業務範囲でフォローし合える状況を作る事が重要です。
前述したメンバー同士の交流を深め、信頼関係を築く事で、こういったメンバー間の交渉は非常に行い易くなります。
プロジェクト管理者含め、自分自身について自己開示して行く事が大切です。自分は何が得意で何が不得意か、さらに、どのような点を支援して欲しいのかをメンバーへ共有する事です。このような事はあまりプロジェクト管理の本には書いていません。
4-4.プロジェクトマネージャーの役割と行うべきことを行う
プロジェクトマネージャーの業務は多岐に渡っており、対人関係の比重も非常に大きい事をお分かり頂けたと思います。プロジェクトマネージャーが、プロジェクトメンバーをアサインし、タスクを割り当てればプロジェクトチームが出来る訳では無く、メンバー個人個人を把握し、信頼関係を築く事で始めてチームとなります。その上で、プロジェクトのゴールへとチームを導くためにも、意識的に対人関係に取り組んで行く必要があります。
また、プロジェクト管理をする上で、プロジェクト管理ツールを導入することも重要です。色々なプロジェクト管理システムがあるので、使い易さや作業効率がよいUIを選ぶのがよいでしょう。何よりもプロジェクトメンバーとのコミュニケーションや情報共有の接点としてもプロジェクト管理ツールは重要な位置づけとなります。
おすすめのプロジェクト管理ツールは以下の記事で解説しています。
併せて読んで理解を深めて下さい。
https://www.crowdlog.jp/blog/2017/03/06/108623/?2017_06_12_108909
5.まとめ
この記事では、プロジェクトの失敗ケースからプロジェクトを成功に導くために最低限抑えておくべき4つのポイントまで詳しく解説してきました。プロジェクトは、最終的には人がやる事ですので、プロジェクトメンバーを尊重し、興味を持って積極的に信頼関係を構築して行く事が何よりもそのプロジェクトを成功に導くカギとなります。
日々のプロジェクト管理には、小さな失敗はつきものです。その小さな失敗を恐れず、その状況を数多く解決することがプロジェクトを成功へ導き、チームメンバーをゴールへ導く最善の方法となります。ぜひ、今後もプロジェクト管理について学びを深めていって下さい。
【本記事をお読みの方にオススメの資料】
・工数管理を行ってみたいが、コストをかけてまで取り組むほどでもない
という企業では、まずエクセルで良いので、従業員の工数管理を行い、
自分たちでその効果を体感することが大切です。
・ダウンロードしてすぐに使える、
進捗管理表サンプルをご用意致しましたので、
プロジェクト運営にお役立てください。
・エクセルで出来るWBSサンプルをご用意致しましたので、
今後の円滑なプロジェクト管理にお役立て下さい。