プロジェクト成功の鍵はチームにあり!PMBOK人的資源マネジメントの基礎知識と実施作業を身につけよう

人的資源人的資源マネジメントはプロジェクトのパフォーマンスを上げるために必要不可欠です。しかし、人的資源マネジメントと一言で言っても計画から調達、管理、育成とその領域は多岐に渡ります。

  • 人的資源マネジメントの基礎知識を理解したい
  • 人的資源マネジメントを現場で活用する力を身につけたい
  • 人的資源マネジメントを成果物の作り方を知りたい

といったお悩みを抱えてはいないでしょうか?

本記事では、そんなお悩みを解決するためにPMBOKに基づいた人的資源マネジメントの基礎知識から実施作業、成果物まで詳しく解説します。基礎知識だけ知っていても現場では活用できません。基礎知識を踏まえて実施作業を身につけ、成果物を作ることで人的資源マネジメントを現場で活用する力を身につけることができます。

PMBOK人的資源マネジメントを現場で活用する力を身につける際にぜひご活用ください。

 

 

1. PMBOK人的資源マネジメントの基礎知識

人的資源マネジメントはPMBOKに含まれる領域の一つです。そのため、まずはPMBOKについて見ていきましょう。

PMBOKはProject Management Body Of Knowledgeの頭文字を取ったもので、プロジェクトマネジメントの知識やノウハウをまとめた資料です。プロジェクトマネジメントに必要な10の知識エリアと5のプロセス、3のパートに分かれています。

プロセスはプロジェクトのライフサイクルに対応しており、各プロセスで実施すべき作業が記載されています。パートにはプロセスでの実施作業をどのように行うかの手順が書かれており、実施作業に必要なインプット、インプットを加工するツール、最終的に作られる成果物がわかります。

本記事では人的資源マネジメントに焦点を当てて解説します。

 

1-1. 人的資源マネジメントとは

PMBOKにおける人的資源マネジメントとは、プロジェクトの目的を達成するためにプロジェクトを遂行できるチームを組織し、管理することです。プロセスの側面から見てみると、「計画プロセス群」「実行プロセス群」に分かれています。

計画プロセス群プロジェクトの計画時に実施する作業実行プロセス群プロジェクトの実行時に実施する作業です。

 

1-2. 人的資源マネジメントの目的

プロジェクトを成功させるためには、それに見合ったチームが必要です。チーム要員の能力が足りず、必要な役割が抜けていては初めからプロジェクトの成功は望めません。また、完璧なチームを組織したとしてもチーム内にわだかまりが生じてしまっては当初予定していたパフォーマンスを発揮できず、プロジェクトは失敗します。
そのため、人的資源マネジメントの目的はプロジェクトの成功に必要なチームを組織し、チームワークを育み、パフォーマンスを高めることとなります。

 

1-3. 人的資源マネジメントの注意点

プロジェクト・チームというと自社が抱える人員だけに関係があると思いがちですが、顧客やスポンサーといったステークホルダーも対象になります。プロジェクトはステークホルダーの目的を達成するために立ち上げられるものなので、その目的を達成するため必要なもの、ステークホルダーのニーズを追求していかなければなりません。自社の人員だけでは真のニーズを掴むことは困難なので、必ずステークホルダーも巻き込んでプロジェクトを進めていきます。

 

2. PMBOK人的資源マネジメントの実施作業

PMBOK人的資源マネジメントの基礎知識や目的、注意点について見てきましたが、もちろんそれだけでは現場での活用はできません。実施作業を身につけて、成果物を作ることで本当の力を養うことができます。それでは、PMBOK人的資源マネジメントの実施作業と成果物を見ていきましょう。

 

2-1. 人的資源マネジメント計画

まず初めにプロジェクトの要員のマネジメント方針を策定します。プロジェクトの各要員の役割を決め、責任の範囲を定義し、責任に見合った権限を与えます。また、その要員をどのように調達してくるのか、調達した後にパフォーマンスを高めるためにどのように育成するのかを決めなければなりません。プロジェクトに必要な要員数はタイムマネジメントのアクティビティ資源見積もりにて見積もっているので、その要員の調達方針がメインとなります。

アクティビティ資源見積もりの成果物であるアクティビティ資源に対する要求事項をインプットとしRACIチャートといった組織図と職位記述書の技法を使って人的資源マネジメント計画書を作成します。

<RACIチャート>

役割を明確にするためのツールで、Responsible(実行責任)Accountable(説明責任)Consult(相談対応)Inform(情報提供)といった役割の頭文字を取っています。

4つの役割を個人やチームにマトリックス形式で割り当てることで各人の役割が明確になり、思い込みやその場限りの情報連携から生じる連携ミスを防ぐことができます。

<人的資源マネジメント計画書>

人的資源マネジメント計画書はプロジェクトの人的資源の定義や配置、マネジメント、離任などのガイドラインです。「役割と責任」「プロジェクトの組織図」「要員マネジメント計画書」で構成されています。要員マネジメント計画書は以下の項目を具体化していきます。

 

2-2.プロジェクト・チーム編成

人的資源マネジメント計画書に沿って組織内外から要員の調達を行います。プロジェクトに必要な能力を持つ要員を調達するには、あらかじめ特定の技術を持つメンバーをアサインする先行任命や要員を提供する立場にあるマネージャーとの交渉、外部からの調達、バーチャルチームといった技法を使います。そして、アサインした要員を把握できるプロジェクト要員任命と要員のアサイン状況を明記した資源カレンダーを作成します。

<バーチャルチーム>

電子メールや電話会議などのコミュニケーション手段を使ってプロジェクトに参加する要員のことです。遠隔地にいる要員もアサインすることが可能になりますが、直接顔を合わせないことからコミュニケーションが重要となります。

<資源カレンダー>

要員がプロジェクトに割けるリソースを表したものです。誰が、いつ、どの程度プロジェクトに参加できるのかを明確にし、必要な要員を管理していきます。

 

2-3.プロジェクト・チーム育成

プロジェクト・チーム育成では、チームのパフォーマンスを高めるために、要員のスキルを向上させ、チームワークを促進する環境を作っていきます。プロジェクトのスケジュールを短縮し、品質の高い成果物を作っていくためにはトレーニングを実施して要員のスキルを強化していく必要があります。
また、チーム意識を持って協力的に作業を進めなければ高いパフォーマンスを発揮することはできません。チーム形成活動を通じて、メンバー間のオープンなコミュニケーションを促進し、適切な表彰と報奨を設定することでチームワークを強化します。チームのパフォーマンス評価を適宜行い、チームの状況を明らかにします。

<タックマンモデル>

チームを形成していくプロセスを5段階に分けたモデルです。チームがどのプロセスにいるのかを把握し、適切な取り組みを実施していきます。

 

2-4.プロジェクト・チーム・マネジメント

プロジェクト・チーム・マネジメントは、プロジェクトのパフォーマンスを確認し、課題を解決していくプロセスです。プロジェクト・チーム育成にて行ったチームのパフォーマンス評価やコミュニケーション・マネジメントの実績報告プロセスの成果物である実績報告書からパフォーマンスを追跡します。チームは様々な要員から構成されるので、衝突(コンフリクト)が生じることも少なくありません。
そのため、コンフリクト・マネジメントが重要になります。マネジメントを行った後は要員の状況を更新し、計画の実行に支障がある場合は統合変更管理プロセスに変更要求を出して、課題を解決していきます。

<コンフリクト・マネジメント>

コンフリクトは当然あるものと考えて差し支えないでしょう。注意する点はコンフリクトを当事者だけでなく、チームの課題として認識することです。当事者の人間性に焦点を当てるのではなく、その原因となった課題を追求し、チーム全体で解決に臨みましょう。コンフリクトの解決方法には以下の方法が挙げられます。

 

3. プロジェクト管理を効率化するツール

PMBOKにおける人的資源マネジメントの実施作業について見てきました。パフォーマンスを高めるためにチームの状況を把握し、必要な時に必要な取り組みを進める重要性がお分かりいただけたと思います。しかし、チームメンバーが増え、プロジェクトが進むにつれ、チームの管理はより複雑になります。チーム管理をスムーズに行うためにはツールの導入が必要です。

ツールを導入することでいつ何を行えばいいのかを明確に管理することができます。手作業では必要な項目の作成や修正作業に時間がかかりますが、ツールを導入すればその手間を削減できます。

また、作成したスケジュールを容易に把握することが可能です。プロジェクトの進捗具合を確認しながら、その合間にチームメンバーのトレーニングを挟んだり、コンフリクト解消のための話し合いの場を設けるといったスケジュールを組むことができます。個々のチームメンバーもチームの状況を把握する必要があるので、スケジュールの連携も容易です。

 

チームメンバーのパフォーマンスを測る際にもツールを導入すれば一目瞭然です。進捗の遅れを常に把握し、チームメンバーが抱えている課題を認識できれば、解決策の検討に役立ちます。

 

4. まとめ

PMBOKにおける人的資源マネジメントはプロジェクトの成功に必要なチームを組織し、チームのパフォーマンスを高めることが目的です。チームを組織するためには要員を任命し、要員を抱える部門との交渉が必要です。パフォーマンスを上げるためには、要員のスキル強化はもちろんのこと、チームワークを強化して協力関係を築き上げなければなりません。

PMBOK人的資源マネジメントの基礎知識から実施作業、成果物について解説してきました。基礎知識だけでなく、実施作業を通して成果物を作り、現場で使える力を身につけてください。また、人的資源マネジメントは人間関係のスキルが必要不可欠です。常に相手の立場になって考えることでより人的資源マネジメントのスキルを深めることができるでしょう。

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