調達マネジメントは外部からプロダクトやサービスを調達する際に必要です。
調達品目を具体化して業者を選定し、納入されるまで見届けます。
そのため、調達マネジメントの実践には契約や納入、品質の管理などの基礎知識や実施作業の理解が不可欠です。
- 調達マネジメントの基礎知識を知りたい
- 現場で使える調達マネジメントの力を身に付けたい
- 調達マネジメントの成果物を知りたい
といったお悩みを抱えてはいませんか?
本記事では、そんなお悩みを解消するためにPMBOKにおける調達マネジメントの基礎知識や実施作業を解説します。
基礎知識だけ覚えても現場で使える力にはなりません。実施作業を通して成果物を作ることが重要です。
プロジェクトで使える調達マネジメントの実践力を養う際にぜひご活用ください。
1.PMBOK調達マネジメント
調達マネジメントは、プロジェクトマネジメントの手法をまとめたPMBOKの一領域です。
PMBOKにおける調達マネジメントの定義や目的を見ていきましょう。
1-1.調達マネジメントとは
調達マネジメントとは、作業の実行に必要なプロダクトやサービスを外部から購入または取得する活動です。
調達には契約がつきものなので、契約のマネジメントと捉えても良いでしょう。
他の知識エリアと異なり、調達が必要になった時点で調達品目ごとに計画から終結プロセスまで進めていきます。
契約したら終わりというわけではなく、納品物の進捗管理や検収も行う必要があります。
選定から検収まで外部からの調達に関わる全てを管理することが調達マネジメントの目的です。
2.調達マネジメントの実施作業
調達マネジメントは計画から終結プロセスまで実施作業がまとめられています。
各プロセスの実施作業や成果物を見ていきましょう。
2-1.調達マネジメント計画
調達マネジメント計画では、調達品目ごとに外注契約の準備を進めるため、調達品目の情報や調達の進め方を文書化します。
まずは、プロジェクトマネジメント計画書や要求事項文書から要求事項を確認し、調達品目を具体化していく作業に取り掛かります。
調達品目の詳細を詰めることで初めてプロジェクトで内製できるのか、あるいは外注するのかの検討に移れるのです。
外注を選択した場合、調達の進め方をまとめた調達マネジメント計画書、調達品目の要件をまとめた調達作業範囲記述書を作成します。
<契約タイプ>
リスクを考慮して、以下の3つの契約からタイプを選びます。
<調達文書>
納入候補から提案書を募集するために作成する文書として以下の4つがあります。
2-2.調達実行
計画に基づいて納入業者の選定や交渉を行い、適切な納入者と契約するのが調達実行です。
調達マネジメント計画書や調達文書から納入業者を選定していきます。
選定の方法としては、調達に関して必要な情報を提供したり、共通の認識を深めるための入札説明会の開催することが挙げられます。
入札説明会を開催する場合は、入札に関して平等を期すため、特定の応札者に有利な取り扱いをしてはいけません。
購入者への質問や納入候補への回答といった情報は全て共有するよう配慮します。
最終的に選定納入者と調達交渉を行い、合意書を取り交わします。
2-3.調達コントロール
契約をしたらその履行を見届けなくてはなりません。
契約のパフォーマンスを監視し、必要に応じて変更と是正を行うのが調達コントロールです。
進捗管理や品質管理、変更管理が中心となります。
まずは、納入者と締結した合意書を元に、進捗状況など契約条項に照らして調達パフォーマンス・レビューを行います。
アウトプットする成果物としては、納入者の活動を評価するための作業パフォーマンス情報や、変更が必要であれば変更要求が挙げられます。
2-4.調達終結
調達終結では、調達に関わる全ての作業と成果物が受け入れ可能であることを検証します。
検収が実施され合格すれば終結プロセスが実施されますが、不合格の場合は納入者に通知のうえ、調達コントロールプロセスに戻されます。
終結プロセスでは、調達マネジメント計画書の内容を確認し、調達監査にて計画からコントロールまでをレビューします。
この際、将来の利用に役立てるため成功要因や失敗要因をまとめておきましょう。
監査完了後、納入者に対し契約が完了したことを書面で通知する完了済み調達を行い、調達マネジメントが終結します。
<交渉による和解>
終結プロセスでは、全ての調達に関わる課題やクレーム、紛争を解決しなければなりません。
当事者との和解が望ましいですが、不可能な場合は仲裁や調停などの紛争解決や裁判所への提訴といった手段が挙げられます。
3.まとめ
調達マネジメントは外部から品目を調達する際に個々の品目ごとに行います。他の知識エリアとは異なり、調達の必要性が生じた段階でプロセスを進めていくことに注意しましょう。調達マネジメントの基礎知識や実施作業を解説してきましたが、現場で使える力を身につけるには実践を心がけてください。