品質マネジメントはプロジェクトにおけるプロセスや成果物の品質を高めるために必要です。
品質を担保するために品質基準や検査項目を定め、パフォーマンスの測定結果から改善活動を行なっていきます。
そのため、品質マネジメントの実践には、品質に関わる基準の設定方法や測定、分析といった基礎知識や実施作業の理解が不可欠です。
- 品質マネジメントの基礎知識を知りたい
- 品質マネジメントを現場で使える力を身に付けたい
- 品質マネジメントの成果物を知りたい
といったお悩みを抱えてはいませんか?
本記事ではそんなお悩みを解決するためにPMBOKにおける品質マネジメントの基礎知識や実施作業を解説します。
基礎知識だけでは現場で使える力は身につきません。実施作業を通して成果物を実際に作ることで実践的な力を身につけることが可能です。
プロジェクトで使える品質マネジメントの実践力を身につける際にぜひご活用ください。
1.PMBOK品質マネジメント
品質マネジメントは、プロジェクトマネジメントの手法を体系立ててまとめたPMBOKの一領域です。
PMBOKにおける品質マネジメントの定義や目的について解説していきます。
1-1.品質マネジメントとは
品質マネジメントとは、プロジェクトのプロセスや成果物の品質を管理する活動です。
顧客の要求に一致した成果物を作成するために品質を管理する方針や計画を立て、パフォーマンスを検証することで改善活動を行います。
成果物だけでなく、プロセスの品質にも及ぶことに注意してください。
プロセスで問題が生じた際にその原因と対策を共有することで品質は上がります。
そのため、目に見えにくいプロセスについても留意する必要があります。
プロジェクトではコストや納期に意識が向きがちですが、品質が低ければ顧客は満足してくれません。
顧客のニーズを的確に捉え、きちんと形にすることが品質マネジメントの目的です。
2.品質マネジメントの実施作業
品質マネジメントは計画から実行、監視・コントロールプロセスまで実施作業がまとめられています。
各プロセスの実施作業について見ていきましょう。
2-1.品質マネジメント計画
品質マネジメント計画では、品質の定義を行い、その品質を確保するための方針や計画を作成します。
まずは要求事項文書から顧客の要求を確認します。
顧客の要求が品質に直結するため、要求事項を正確につかむ必要があります。
合わせてリスク登録簿から品質に関するリスク情報も確認しましょう。
そして、これらの情報をもとに品質を担保するためのコストを評価します。
高品質を保つことで手直しの減少や生産性の向上が見込まれるため、コストと比較することで投資対効果を分析します。
分析結果から品質方針や手順を品質マネジメント計画書にまとめます。
<品質コスト>
品質コストは適合コストと不適合コストに分かれます。
適合コストは欠陥が生じないように対処するコストのことで、不適合コストは発生したコストに対処するためのコストです。
2-2.品質保証
品質保証では、品質標準と運用基準を満たすために、すべてのプロセスの品質改善活動を支援するプロセスです。
つまり、無駄なくプロセスを実行できるようにパフォーマンスの測定結果を監査し、問題点を改善していく作業です。
改善点を洗い出すためには、まず品質コントロール測定結果を分析します。
分析の際にはQC7つ道具や品質監査を用い、問題点を抽出します。
監査の結果、プロセスの改善点をまとめ、変更要求を行います。
<QC7つ道具>
品質改善のためにデータの分析に利用する7つの手法です。
2-3.品質コントロール
品質コントロールでは、パフォーマンスを測定し、品質マネジメントにおける実施作業を監視し、記録します。
品質検査対象として指定された成果物や作業パフォーマンス・データをもとに、QC7つ道具の利用や検査を行い、品質コントロール測定結果としてまとめます。
3.まとめ
品質マネジメントは顧客の要求に一致する成果物を作成するために、成果物はもちろん、プロセスの品質を高める活動です。
プロジェクトをいくら早く、安く完了させても顧客のニーズに見合わなければ意味がありません。
コストやスケジュールも重要ですが、顧客が満足する品質を提供することが大前提です。
品質マネジメントの基礎知識や実施作業について解説しましたが、知識を覚えるだけでなく、顧客の要求を的確に捉え、品質改善活動を実践することで現場で役に立つ力を身につけてください。