現在、企業webサイトは営業ツールとして欠かせない存在になっています。特に、営業リソースの少ない中堅・中小企業にとっては、販促・集客に与える影響は大きいはずです。
しかし、そのwebサイトは十分に機能しているでしょうか?ページの更新頻度を上げることが検索順位上昇につながることは認識しながらも更新を放置してしまっているケース、また、見込み客との関係構築に有効なメルマガやブログ記事の発行が止まっているケースなど、ライティング関連の業務が回っていないということがよくあります。
- 自分たちの商品・サービスへの思い入れが強いため、できるだけ内製したい
- 各自の本来業務の合間に取り組んでいるため、作業に回す時間が足りない
- 制作費にお金をかける余裕はないため、コストをなるべく抑えたい
といったお悩みを抱えてはいないでしょうか?
本記事では、コンテンツ作成をアウトソーシングすることによって生産性向上を図る方法を紹介していきます。外注によりどのように生産性が向上するのかを理解して、大まかな外注フローを把握することができれば、ライティング業務の生産性は向上します。
記事の最後におすすめのクラウドソーシングサービスをご紹介しておりますので、外注先の選定にぜひご活用ください。
目次
1. 生産性向上にはアウトソーシングが不可欠
1-1. 「思考」と「作業」は切り離そう!
まずは思考すべきことと、作業を振り分け、作業の部分をアウトソーシングするという原則を理解しましょう。
<定型業務と裁量業務を区別する>
web制作業務には、営業や企画などと同じく個人の裁量が比較的広く残されています。
しかし、裁量が残されていると言えば聞こえはいいのですが、実態は業務の標準化がなされておらず、非常に場当たり的な仕事になっています。担当者の思い付きや社長の一声で出来上がりかけたものが二転三転する、という経験をした方も多いのではないでしょうか。
このように、生産性向上に課題を抱えている業務への施策が、アウトソーシングというわけです。
<定型業務をアウトソーシングする>
web制作の外注と言うと、従来は「丸投げ」という言葉があるように、制作会社や広告代理店にサイトの立ち上げから運用まで、一括で発注するケースがほとんどでした。それでは、社員を雇うよりもコストが増大してしまい、生産性の向上を図ることはできません。
web制作の生産性を向上させるための基本的な考え方は、以下の通りです。
web戦略は自社社員(裁量業務):自社サイトのリニューアルや、新規サービスサイトの立ち上げの企画、開発など
運用はアウトソーシング(定型業務):コンテンツの更新、ブログ記事のライティング~投稿、メルマガ記事ライティング~配信など
と切り分けることで効率化が進み、社員は付加価値の高い「考える」仕事に集中できて生産性の向上に貢献できるのです。
1-2. 外注すべき作業を洗い出すには?WBSを学ぼう!
定型業務をアウトソーシングすると決めたら、発注する作業の洗い出しを行いましょう。
<洗い出しが必要な理由>
ライティング業務は、代行会社に一括発注するより、外注が必要な工程に絞って発注するのが生産性アップのコツです。
それには、ライティング業務の内訳としてどのような作業が発生するのかを理解することが第一歩です。
<タスクの整理にはWBSの活用を>
業務を洗い出すことを、「タスクの分解」と言います。この際「WBS」という手法を使うと便利ですので、ご紹介しておきます。
WBSとは、Work(作業を)Breakdown(分解して)Structure(構造化する)の頭文字を取ったもので、その名の通りプロジェクトを構成する作業を分解して構造化する手法です。作業を分解してできた最小単位をワークパッケージやタスクと言います。このタスクごとに、スケジュールや予算を割り当てることで、作業の可視化を進めることができます。
WBSについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
【WBSをこれから作成する人必見】WBSの基礎知識と作り方を理解しよう!Excelテンプレート付き
<ライティングタスク切り分けの例>
例えば、ブログ運用に関わるタスクを分解すると以下のようになります。
- リサーチ(キーワード検索数調査、競合他社順位調査など)
- 集客キーワードの設計
- タイトル作成
- 執筆マニュアル、執筆ルール(レギュレーション)の作成
- 原稿用テンプレート作成
- 構成案作成(記事ごとの要旨や見出しを具体的に設定)
- ライターの採用・管理
- 記事執筆
- アイキャッチ画像、記事内画像の収集・加工
- 記事校正・著作権チェック(コピペなどの不正な執筆をしていないか)
- 入稿(Wordpress、ステップメール等)
2. 実際の外注フローを解説!
ここでは、それぞれのタスクを「クラウドワークス」に外注する場合の事例をご紹介します。「ランサーズ」など他の大手クラウドソーシングも概ね同様の仕組みです。
2-1. タスクにあった受注者の探し方とは?
クラウドワークスには、主に以下のようなプロフィールの方が登録されています。案件に合いそうなクラウドワーカーを検索して、スカウト(指名発注の相談)をしてみましょう。
※指名に慣れていない場合は、案件内容を公開して応募者から選ぶこともできます。
<プロクラウドワーカー>
常に多くの案件をこなし、クライアントの評価も高いことから、クラウドワークスがお勧めワーカーと公認している方々です。普段は制作会社や広告代理店などの案件受託や常駐案件に携わっている方も多いため、代行会社に依頼するのと同等の品質が得られます。
適した作業…設計、マニュアル作成など上流工程に適しています。
予算…基本はお見積り(社員の残業代と同程度かかることを想定すると良い)
<カンタン在宅ワーカー>
クラウドワークスには、子育て中の方や職歴にブランクのある方が、年齢を問わず多数登録されています。ライティング業務は未経験という方がほとんどです。
適した作業…単純なリサーチ、大量の記事を分担して作成、ルーチンの入稿作業など
予算…時給換算で新人パート・アルバイト程度のレートを想定
<ITエンジニア、web制作などの職種登録者>
地方在住でIT系の勤務先がない方、キャリアがありながら家庭の事情で通勤できない方で、フルタイムの業務が可能な方です。
適した作業…全工程対応可能ですが、ライターなど作業者の採用やディレクションといった、平日昼間にコンスタントに稼働が必要な業務向きです。
予算…時間単価制になる場合が多い(派遣社員くらいの予算を想定。ただし、業務量に応じた時間精算となるため、費用のムダは発生しない)
2-2. タスクの内容を正確に伝えるには?
受注者が決定したら、依頼内容を伝える際に以下の点に注意しましょう。
<PCでの単純作業>
コストを抑えるためにもカンタン在宅ワーカーに依頼するケースが多いですが、普段、社員間でやりとりするようなメール(テキスト)ベースでの指示や、仕様書、業務フローなどはほぼ理解してもらえないことを認識しておきましょう。
基本は、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ」です。
作業の流れや、やり方の説明については、対面での研修と同等の役割を果たす、動画研修(操作を動画キャプチャーしたもの)やトライアル業務を用意するのが効果的です。
<ライティング>
webマーケティングに力を入れている企業の場合、中小企業であってもブログを1日10本程度、休みなく更新するといったケースが見られます。そのような場合、1人のライターでは対応が困難になります。
そこで、分業した場合に人によるバラつきが出ないよう、ブログ記事の基本形をあらかじめ決定します。それが、原稿用テンプレートや執筆マニュアルです。
各ライターに担当記事を割り振る際に必要なものが「構成案」です。記事内容の重複を避けることができる上、見出しの文言をディレクターが作り込んで作業者のライターに渡すことで、文章の巧拙による品質のバラつきも防ぐことができます。
さらに、漢字のとじ開きや用語の表記、文章の口調、文字数についても統一します。また、他社サイトの盗用を禁止するなどのルールも明文化しておく必要があります。このようなルール集を「レギュレーション」と呼んでいます。
望む品質に達していない原稿が提出された場合も、「レギュレーション違反」を根拠にすれば、無償で修正を求めることが可能になります。受注者にとっても、「好み」で直されるのではなく、根拠がある修正要求のほうが対応しやすいのです。こうして、双方にとって生産性の向上を図ることが、外注成功のコツと言えるでしょう。
3. おすすめのクラウドソーシングサービスを紹介!
ここまで、クラウドワークスを活用した生産性向上の取り組み事例をご紹介してきましたが、他にも、業種別に特化した次のようなクラウドソーシングサービスがあります。
3-1. ブレインパートナー
ブレインパートナーは会社役員や営業・資金調達等のベテランシニアなど、経営課題の解決を依頼できる人材とのマッチングサイトです。
<特徴>
業務委託、準委任や成果報酬型の契約を組み合わせてリーゾナブルなコンサルティング導入が可能です。あらゆる業界・事業規模に対応しています。
<実際の業務内容>
- 顧問契約(頻度は月1回から設定可能)
- 顧客紹介、販路開拓 など
<活用メリット>
Webサイトのようなプル(Pull)型営業と、決裁者と直接商談を行うというプッシュ(Push)型営業を組み合わせることで、わずかな労働力で生産性を最大限に高めることができます。
3-2. ビズアシ
ビズアシは、面接を経て選抜された事務職のスペシャリストを、オンラインアシスタントとして活用できるサービスです。
<特徴>
アシスタントの約半数が、月100時間以上の安定稼働をしています。企業での勤務経験が豊富な人材のため、育成の手間がかからず即戦力として従事していただけます。
<実際の業務内容>
- 単純なデータ入力作業
- 広報アシスタントとして、メルマガ、SNS運用、プレスリリースの作成補助
- 採用アシスタントとして、面談日程調整、スカウトメール作成
- 経理アシスタントとして、経理ソフトへの記帳業務
- メディア運営アシスタントとして、記事編集、チェック、入稿業務
- カスタマーサポートとして、メールでの問合せ対応 など
<活用メリット>
アシスタント業務を業務委託とすることで費用の変動費化が可能になります。社員を雇用する際に必要なコストとなる福利厚生費や雇用保険代などの経費が一切かかりません。
3-3. クラウドテック
クラウドテックは、ITエンジニアに特化したマッチングサイトです。SE、プログラマー、デザイナーなど幅広い職種の方が登録されています。
<特徴>
リモートワークで成果物の完成までお任せする業務委託や、一定期間契約を結んで常駐してもらう準委任契約などが柔軟に選べます。
<実際の業務内容>
- 設計・開発業務
- web制作・ディレクション
- システム運用や監視業務
- テクニカルサポート
- 社内SE など
<活用メリット>
企業に所属していないフリーランスのエンジニアと契約するため、開発会社・制作会社に発注するよりコスト軽減が図れるほか、エンジニアと直接、パートナーとしてコミュニケーションが取れるメリットがあります。
エンジニア側も、単価から見て妥当な生産性を提供する必要があるので、質にこだわった作業をしてくれる傾向があります。
4. まとめ
生産性の向上には適切な業務を適切な外注先にアウトソーシングすることが不可欠です。裁量業務は自社社員が担当し、定型業務はアウトソーシングすることで、社員が兼務する場合と比べ、残業代などのコストが削減できる上、社員が付加価値の高い業務に集中できるといった生産性向上につながります。
アウトソーシングの発注にあたっては、必要な作業を洗い出すことが重要です。WBSの手法を活用し、タスクごとにスケジュールや予算を割り当てることで、作業の可視化を進めることができます。
アウトソーシングを成功させるコツは、プロに頼むのか、アシスタントクラスの人や単純作業者をアサインするのかといったタスクにあった受注者を探すことです。そして、低コストの単純作業ほど、マニュアルを整備するなど万全の体制で臨むべきです。実際の外注フローをしっかり把握していただき、最小の労働力で最大限の生産性をめざしてください。