企業規模やプロジェクトの関係者の数が大きくなるほど、関係者間の連携に時間がかかるようになります。
業務スピードを落とさず、関係者が複数いることのメリットを活かすためには、業務タスクやスケジュールの管理がより一層重要となります。しかし、関係者が多くなればなるほど、それらの管理自体も煩雑になりかねません。
この記事では、日々の業務やプロジェクトのタスク、スケジュール管理に便利なガントチャートについて、そのメリットと活用のポイントを説明します。
目次
1.ガントチャートとは
ガントチャートとは、生産管理やプロジェクトの進捗管理に用いられる、以下のような表です。
縦行にタスクや担当者を、横列に日付を入れ、各タスクのスケジュールを棒グラフの形で引き、可視化します。タスクの量やスケジュール、進捗状況を視覚的に把握することができます。
このガントチャートで、プロジェクト進捗管理、工程管理、タスク管理を行うのには、以下のようなメリットがあります。
1-1.タスクを視覚的に把握でき、関係者にも共有できる
ガントチャートの一番のメリットは、その一覧性の高さにあります。
必要なタスクが複数存在していても、いつまでに、誰が、何をすべきか、どれだけの日数が必要か、を一枚の表で視覚的に把握することができます。
タスクの量やスケジュール感といったプロジェクトの全体像を簡単に把握できるため、関係者が大人数であっても、共通の認識を簡単に持たせることができます。
1-2.スケジュールに対して、現時点でどの程度の遅れが生じているかを把握できる
ガントチャートでは、全体のスケジュールに対して、現在時点でどの程度の遅れが生じているか、の進捗を管理することもできます。
すべてのタスクとスケジュールが表示されているため、どのタスクが遅れると、どのタスクに影響を及ぼすか、をリアルタイムで把握することが出来ます。
これにより、進捗に遅れが生じた際に、迅速な対応を取ることができます。
2.ガントチャートを活用する上でのポイント
ガントチャートは、マクロを組んで作成したエクセル形式のものや、ガントチャート専用のツールなどが利用されています。
ガントチャートは非常に便利なツールですが、目的に沿う形で運用するにはポイントがあります。
これらのポイントを抑えないと、せっかく作ったガントチャートも、プロジェクトスタート時に共有されて以降、誰にも見られない、使われないものになりかねません。
主な活用のポイントを紹介します。
2-1.タスクを洗い出し、抜け漏れがないことを確認する
タスク管理の基本であり最も重要なのは、必要なタスクを抜けもれなく、すべて洗い出すことです。
ガントチャートに記載するタスクに抜け漏れがあり、プロジェクトを進めていく中で必要タスクが見つかった場合、スケジュールに影響を及ぼします。ストラクチャーやフレームワークなども用いながら、重要なタスクに抜け漏れがないように確認しましょう。
また、タスクを記載する際には、各項目の粒度が揃っているか、についても注意する必要があります。
あるタスクが細かすぎるなど、粒度が不統一である場合、抜け漏れがあるかどうかの確認が難しくなったり、関係者の理解が難しくなったりする可能性があります。
2-2.担当者毎の負担や現実的な工数を加味して、スケジュールを作成する
ガントチャートは、複数のタスクにスケジュールの遅れが発生し、ガントチャート上での把握が難しくなったり、作り直しが面倒になったりした時にも活用されなくなります。
そのため、無理なスケジュールを作成するのではなく、タスクの数や担当者毎の負担、現実的な工数やバッファを加味して、スケジュールを作成することが大切です。
全体の締め切り日が設定されている場合など、単純に後ろからスケジュールを引いて作成してしまうと、達成が困難なスケジュールになってしまうことも起こりがちです。
タスクと必要工数を積み上げた際に、スケジュールの締め切りから出てしまう場合は、スケジュールの調整や人員の追加などを検討し、達成可能なスケジュールを立てることが必要です。
2-3.タスク間の相互関係がわかるようにする
ガントチャートでは複数のタスクを並べますが、その際に複数の担当者が存在する際には、各タスクの相互関係を明確にしておくことも重要です。
ある担当者のタスクは別の担当者のタスクが終了しなければ、開始できないなどの影響関係にある場合、前工程が遅れていて、待ち時間が発生した際には別のタスクに手をつけた方が効率的な場合もあります。
スケジュールを円滑に進めるためにも担当者同士、プロジェクトリーダーが把握している必要があります。
2-4.常に最新の情報が見えるようにし、スケジュールに対する遅れがわかるようにする
ガントチャートのメリットは、複数のタスクの進捗状況を一覧で確認することができる点です。
常に最新の進捗状況が反映されている状態にして、どのタスクにどの程度の遅れが生じているかを把握できるようにする必要があります。
3.ガントチャート作成ツール利用のメリット
ガントチャートを活用するには、いくつかのポイントがありますが、視認性や作成、進捗入力の手間については、ガントチャート作成ツールを利用することで、解決することができます。
ガントチャートには様々なものがありますが、主なメリットを取り上げます。
3-1.作成が簡単
ガントチャート作成ツールを利用する一番のメリットは、作成が簡単であることです。
エクセルの知識がない人でも、ドラッグ&ドロップの直観的な操作で、簡単にガントチャートを作成することができます。
階層形式のタスクの作成や、マイルストーンの設定、タスク同士の相互関係の設定・表示なども行うことができます。
3-2.視認性が高い
ツールで作成されたガントチャートは見る場合にも、わかりやすいものになります。
見た目はもちろんのこと、表示期間を月から年に変える、階層を表示・非表示に切り替えるなどの、表示変更も簡単です。
また、エクセル形式のファイルでは、タスクの量や設定したマクロの多さによっては、表示までに時間がかかってしまい、ストレスを感じることがありますが、ツールではそのようなストレスはありません。
さらに、多くのツールでは、共有用に印刷機能やPDF表示機能などが搭載されており、ツールを利用しない関係者に対しても、簡単に共有することができます。
3-3.リアルタイムで、実際の遅れや達成率などを確認できる
ガントチャート作成ツールでは、各担当者がタスクに対して実績工数や進捗率を記載し、進捗状況を表示することができます。
この際、入力が簡単であれば、担当者が負担に感じることがなく、常に最新の進捗状況を正確に把握できるようになります。
それにより、スケジュールの遅れを迅速に把握し、対応を取ることができます。
ツールによっては、遅れのアラートを出してくれるものもあります。
4.まとめ
関係者の多いプロジェクトでは、タスク管理や進捗管理には手間がかかります。
そのような場合、ガントチャートが便利ですが、活用するためにはポイントがあります。
作成の手間の削減や見やすさ・わかりやすさの向上には、ガントチャート作成ツールが便利です。
ツールには、有料のものだけではなく、無料のものもあるので、一度利用してみてはいかがでしょうか。