生産性向上に欠かせない業務管理とは

業務管理は、仕事が効率的・効果的に行われるよう、その仕事状況を計測・分析し、改善への施策を講じる活動です。特に、従業員がいかに時間を費やすかが生産性に大きく関わる点を考慮すると、工数管理・時間管理が生産性を向上させる鍵となります。

本記事では、業務管理における仕事のカテゴライズに対する考え方の説明をした上で、業務時間の計測・分析による生産性向上について解説します。

1. 業務管理とは

働き方改革が広まるにつれ、長時間労働を避けながら業務の生産性を向上させる取り組みが多くの企業に共通する課題となってきました。工場の機械であれば、投入された資本あたりの生産量が簡単に導き出せますが、人間が行う作業に関する生産性は目に見えるわけではないので、その計測・分析が難しいという特徴があります。

一般的に、業務の生産性を上げるには、少ない時間で、より多くの成果を上げる必要があります。そのため、従業員がどれほどの時間を何の作業に費やしたかを知ることが、生産性を計測し、向上させる第一歩となります。残業ばかりしていても、それに見合った成果が挙げられなければ何の意味もないからです。また、会議や報告を含めた調整作業が必要以上になっていないか、複数の作業を掛け持ちしているせいで集中力がそがれていないか、といった観点での分析も必要です。

付加価値が高く、重要性の高い業務に集中して時間を費やせれば、少ない労働時間でも高い成果につながります。自社の業務においてコアとなる仕事を定義した上で、そうでない作業はやらない、あるいは移管するといった取り組みが欠かせません。工数管理・時間管理について、数値目標やKPI(重要評価指標)を設定した、定量的な評価・改善が求められています。

2. 業務を整理しよう

業務管理を行う初めのステップとして、自社・自部門では何の仕事があるのかを整理します。業務を整理する際にはMECE(漏れなく、ダブりなく)な切り口を心掛けるようにしましょう。分析に適した粒度でありながら、細かすぎて煩雑にならないよう、現実に即した運用を目指します。各ユーザー部門の管理職が責任を持って、カテゴリーを整理します。

2-1. カテゴライズの切り口

部署ごとに業務を整理するのは、最もシンプルな方法です。営業・企画・開発・生産・経理・労務・法務など、各部署で異なるタスクを抱えているのを考慮し、さらに部署ごとに細分化を進めます。また、どの作業が収益に直接影響するのかを知るため、顧客ごとの分析も有効です。RFM分析を活用し、最新購買日・購買頻度・購買金額から顧客を分類して、新規顧客・優良顧客といったラベル付けを行えば、その会社にとっての優先順位付けが明確になります。

一つの顧客企業に対し、複数の案件を抱える場合もあるので、プロジェクトごとに業務を分類する方法もあります。顧客やプロジェクトに対し部署を横断した作業が発生するため、一つのタスクに対し複数のカテゴリーが定義できるようにします。

2-2. カテゴライズのポイント

業務を整理する際には、各グループに分類されるであろう業務量を考慮します。例えば、月に100時間を費やしている業務があれば、その業務は細分化するべきです。一方、月に1時間未満の業務であれば、それ以上分割する必要はありません。

メール・電話・ビジネスチャット等は頻繁に発生するタスクです。メッセージを送る目的を考えれば、一つ一つのやり取りは個別のプロジェクトに分けられますが、実際に、どのプロジェクトの連絡に対し何分使ったかまでは計測が難しいのが実態です。このような場合は「メール・電話・ビジネスチャット」で一つのカテゴリーを作成する方法が推奨されます。

カテゴライズは従業員に通知し、時間を計測する際に、何の時間をどの分類に割り当てるかを明確にする必要があります。分類に疑問を抱くケースが多いと、何でも「その他」にカテゴライズしてしまう問題が発生し、業務の実態が把握できなくなってしまうからです。

3. 業務時間を計測しよう

各部署で整理された業務に対し、全メンバーが時間の計測を開始するのが、業務管理における次のステップです。1分おきに実施したタスクを入力するのは煩雑過ぎる上、分析する際にも、そこまでの精度は求めていない場合があります。業務管理を始める当初は、30分もしくは60分単位での入力が望ましいでしょう。人によって、あるいは、部署によってバラつきが出ないよう、求められる計測精度について共通理解を持つことが重要です。一日の最後にまとめて入力しても良いですが、まとまった作業を終えるごとに入力すると計測の精度が上がります。

最近は、作業時間を計測するアプリが開発されてきました。パソコンに導入したソフトウェア、あるいはブラウザ上のサービスとして、ストップウォッチの要領で時間を計測し、ある作業の開始から終了までを入力します。また、時間を計測するアプリとカレンダーを連携させ、会議に費やした時間は自動的にアプリへ登録できると便利です。

4. 業務時間を分析し、計測精度を高めよう

業務時間の計測は、特定の1日や1週間に限って実施するだけでも、大きな価値があります。今までは、それほど時間を使っていないと思っていた業務でも、実際には多くの時間を費やしていたという実状に気付きが得られるはずです。

業務時間の計測を継続すると、より精度の高い情報が得られます。1日や1週間では、たまたま特定の業務が多かったケースがあり得るので、正確に業務時間を把握し、その傾向を掴むのが難しくなります。1ヶ月から3ヶ月続けられると、業務改善の糸口が見出せるでしょう。

継続して業務時間を計測する中で、業務整理の切り口を定期的に見直します。多くの時間を費やしている業務があれば、更にカテゴリーを細分化し、その業務の中でも、具体的に何に時間が使われているかを計測します。詳細な分析によって、時間の使い方が明らかになります。

管理職と社員での「共通認識」が重要

トイレやタバコ休憩の時間まで細かく入力させる等、社員が監視されていると感じるようなルールを設けると、社員が正確に時間を計測しなくなるリスクがあります。また、時間配分からは仕事の質が見えるわけではないので、労働時間だけで人事評価はなされない点を、管理職と社員で共通認識を持ちます。

実際は長時間の残業をしているのに、所定労働時間に収まるよう、実態に合わない入力をする「サービス残業」が発生している場合もあります。不正確な時間入力が蔓延していると、生産性向上に活用できなくなるため、現実に即した運用になるよう、注意が必要です。

5. 生産性を高めよう

業務時間のデータを集計した後は、多くの時間を費やしている業務の見直しを行います。付加価値の低い単純作業を継続して行っていないか、定例的に行われている会議や報告の時間が減らせないか、といった観点で分析します。無駄に見えるからといって、特定の業務を急に止めるわけにはいかないのが現実なので、ITツールを導入し、少ない時間で同じ作業が遂行できるよう努めます。

生産性向上は、チーム全体で取り組むべきものです。他のメンバーが似たような資料を作っていたなど、類似した業務を行っている可能性があります。紙の資料や個人のパソコンに保存されたファイルは情報共有が難しいため、オンラインストレージを導入する等、お互いの業務について透明性を高める取り組みが効果的です。ブレインストーミング等を通して、各メンバーの異なる視点からアイデアを出し合い、改善のきっかけを探ります。

継続して計った業務時間のデータは、人員配置にも活用できます。ある日の業務量が許容量を超えそうだとの予測があれば、事前に人員配置を変更し、予防措置を取れるようになるからです。逆に、業務量に余裕があれば、休暇の取得、研修によるスキルアップ、他部署の応援といった形で、時間を効率的に使えるようになるでしょう。

6. まとめ

業務にかかる時間を計測することで、その時間の使い方を分析し、より付加価値の高い作業に時間を振り分けられるような対策が取れるようになります。ITツールの導入や人員配置の変更により、組織としての生産性向上を実現します。

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