競争スピードの激化、市場のグローバル化等により企業に求められる要件も大きく変化しています。このような経営環境の変化に対応するために「迅速かつ最適な意思決定」求められるようになり、リアルタイムな経営管理手法としてERPが注目され、浸透してきました。
一方で、ERPは定義も導入事例も企業により多種多様であり、臨機応変な使い方が可能なツールなので、全体像を理解することが難しい経営管理手法です。
この記事では、ERPについて知りたい方や導入を検討している方に、「ERPとは何か」を網羅的に解説しつつ、代表的なERPパッケージも紹介していきます。
目次
1. ERPとは
ERPとはEnterprise Resource Planningの略であり、日本語では企業資源計画(きぎょうしげんけいかく)といいます。
企業全体の経営に必要なリソースを統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念です。経営に必要なリソースとはつまり、「ヒト・モノ・カネ・情報で」す。ERPは情報を一元管理することで、企業全体の状態をリアルタイムで把握することができ、円滑な経営判断を可能にしてくれます。
また、これらの企業全体の情報を一元管理するための統合型(業務横断型)ソフトウェア(統合基幹業務システム)を「ERPパッケージ」と呼びます。
かつては大企業が高額な予算を掛けて導入するものでしたが、最近では、クラウドサービスなど比較的安価でSaaS(Software as a Service、インターネットを通じて遠隔から利用者に提供する方式)として導入することも可能となってきたこともあり、多くの中小企業でも導入されるようになりました。
2. ERPの歴史
2-1.ERPの原型
1960年代に在庫状況を監視し、残高と照合させ、状況を報告する、という一連の流れを実行できるプログラムが使われ始めました。1970年になると、MRPと呼ばれるシステムが登場しました。MRPは、Material Requirements Planningの略で、「資材所要量計画」と訳されます。これは在庫管理の中心として、生産計画を立てていくための管理手法です。この手法により、生産プロセスのスケジュール管理をシステムで行うことが一般的になりました。
1990年代に入ると、システムが管理する範囲がより広がり、在庫だけでなく、会計や人事などのバックオフィス機能をも含むようになります。更に、情報の一元管理やリソースの状況管理、作業の自動化なども行なってくれるようになり、現在のEPRの原型が作られました。
2-2. ERPの開発
世界で最初のERPは1992年にドイツで開発された製品といわれています。日本でERPが着目され、使われ始めたのは1990年代半ばになってからでした。ERPは、システム利用者の多い大手企業を支える多機能なサービスとして、普及しました。当時はサーバも企業自身が用意するのが一般的だったので、「ERP=大手企業、中小企業には関係ない」というイメージが生まれました。
一部の先進的な企業が導入しましたが、海外と日本では商習慣にギャップがあるため導入には数々の障害があり、すぐに普及するには至りませんでした。ERPのブームが日本で始まったのは2000年初頭、21世紀に入ってからです。特にグローバル展開する企業が海外での競争に勝つために、商習慣を欧米風に変え、ERPを導入して競争力の向上を図っていきました。
現在は、国産のERPが数々開発されています。国内のビジネスプロセスにフィットしている国産ERPは、すでに多くの企業に導入されました。その実績と開発経験によって初期の頃よりはるかに完成度の高い機能を備えるに至りました。また、アドオンや各業種に適合させたテンプレートなども多岐にわたり、ほとんどカスタマイズすることなしに導入が可能になってきています。
2-3. ERPの潮流
今後の潮流としては、インターネットでERPを利用するクラウド化のさらなる進行が挙げられます。クラウド化そのものは2010年頃から始まりましたが、当初は信頼性に対する不安などがあってなかなか導入が進みませんでした。しかし、クラウド化のメリットはシステム構築が短期間で行え、なおかつ低コストだということです。現在は多方面でクラウドが活用される時代となり、信頼性も向上しています。「クラウドERP」は中小企業でも導入できる水準にコストが下がりました。
矢野経済研究所の2019年調査によるとERPのクラウド化率は45.8%に達すると予測されています。ERPの提供に、今後ますますクラウドが利用されることでしょう。
3. ERPの主な機能
ERPには「営業管理」「販売管理」「購買管理」「生産管理」「人事・給与管理」「会計管理」のような機能が統合されていることが多いです。ERPベンダーによって得意としている業界が異なるため機能にも差があり、例えばシステム開発などのプロジェクト型業務に特化しているERPの場合、「プロジェクト管理」の機能が充実しているなどの違いがあります。
3-1. ERPの主な機能例
顧客関係管理(CRM)
販売およびマーケティング、コミッション、サービス、顧客連絡、コールセターサポート
サプライチェーン管理
サプライチェーン計画、サプライヤスケジューリング、製品コンフィギュレータ、注文から現金化、購入、在庫、請求処理、倉庫保管(受け取り、保管、ピッキング、梱包)
プロジェクト管理
プロジェクト計画、リソース計画、プロジェクト原価計算、作業分解図、請求、時間と費用、パフォーマンスユニット、アクティビティ管理
注文処理
注文から現金化、注文入力、信用調査、価格設定、約束可能、在庫、出荷、販売分析とレポート、販売試運転
製造
エンジニアリング、材料請求書、作業指示書、スケジューリング、容量、ワークフロー管理、品質管理、製造プロセス、製造プロジェクト、製造フロー、製品ライフサイクル管理
財務会計
総勘定元帳、固定資産、バウチャー、マッチングと支払いを含む買掛金、売掛金と回収、現金管理、財務統合
管理会計
予算編成、原価計算、原価計算、活動基準原価計算
人事労務
採用管理、労務管理、身上異動、研修、名簿作成、給与計算、給与明細電子化、年末調整、福利厚生、退職年金制度、多様性管理、勤怠管理、勤怠申請、人材管理、目標管理、タレントマネジメント、メンタルヘルスケア
EPRソフトは、レポート機能や特定の種類の作業を自動化する機能なども搭載されています。複数のデータベースに格納されたデータのまとめを、「略化」または「自動化」できます。
また、ERPの機能にはビジネスのパフォーマンス状況を一眼で把握できるように「見える化」したダッシュボードを含む製品もあります。
3-2. 導入形態の選択
すべての業務一式をカバーするオールインワンタイプの「全体最適型」、単独業務のみをソフト化し導入する「業務ソフト型」、ある程度の業務単位(会計、販売、生産、総務、現場など)で導入し、追加・拡張していける「コンポーネント型」など、企業の目的にあわせた導入形態を選択することができます。
4. ERPの種類と特徴、開発方式
ERPの種類と特徴は以下のとおりです。
4-1. ERPの種類
ERPにはクラウド型ERPと、オンプレミス型ERPの2種類があり、それぞれERPのシステムを「どこに構築するか」を指しています。
・クラウド型ERP
SaaSサービスでERPを利用する
・オンプレミス型
自社のサーバー上に構築して利用する
4-2. ERPの特徴
クラウド型ERP
クラウドERPはその名の通りクラウド上にシステムを構築します。そのため、自社でサーバーを保持する必要がなく、初期費用・ランニングコスト共に、コスト削減することが可能です。一方、クラウドERPは、自社のデータをクラウド上にアップロードするため、サーバーが外部から攻撃される可能性など、セキュリティ面での不安があります。
オンプレミス型ERP
オンプレミス型ではサーバーやネットワーク機器などを自社内に準備する必要があります。設置後も、利用を続ける間それらを管理し続けなくてはなりません。
英語では「on-premise」と表記され、この時の「premise」は構内・店内といったような意味を表しています。直訳すると「敷地内に」という意味になります。
クラウド型のサービスやシステムが登場し普及するまではオンプレミス型ERPが主流だったという経緯もあり、今でも多くの企業がオンプレミス型のERPを使用しています。
オンプレミス型ERPが選ばれる最大の理由は、カスタマイズのし易さです。自社環境にシステムを構築するため、既存のシステムとの連携が容易なのです。その反面、初期費用や導入コストが多くかかります。
4-3. ERPの開発方式
開発方式としては、大きくパッケージ活用とフルスクラッチ開発の2種類があります。
パッケージ活用
一般的に必要な機能をあらかじめ備えているERPパッケージを使って自社に適したERPを導入する方法です。一般的に必要とされている機能があらかじめ備えられており、開発期間が短くて済むことや、オーダーメイドで機能を作らなくて良い分コストを抑えることができます。
また、製品によりますがカスタマイズできるパッケージも多く、既存の機能をベースに開発することで導入までの期間を短縮するだけでなく、コストメリットもあります。
フルスクラッチ開発
フルスクラッチ開発は自社に合わせてシステムを0から構築する開発方式です。日本の企業には独自の慣習が多くあり、パッケージ型のソフトウェアでは対応できないことが多々あります。そういった場合にフルスクラッチ型で開発します。
一方、オーダーメイドで設計から行う分、開発期間と費用の面でパッケージ型よりも多くのコストがかかるため、大企業中心の開発手法と言えるでしょう。
昨今では日本製のERPパッケージも多く登場しており、日本企業独自の慣習にも対応できる製品が多く、フルスクラッチ開発するケースは減っていきています。また、自社独自の業務そのものが本当に最適な方法であるのか、ERP導入の際に省みて業務の方を改善する方法もあります。
5. ERPと基幹システムの違い
5-1. 基幹システム
一般的には、基幹システムは「企業の主要業務を遂行するのに必要なさまざまなシステム」だと定義されています。「バックオフィス系」「業務系システム」と呼ばれており、業務ごとにそれぞれ独立したシステムになっています。
個々の業務においては優れた機能を備えていますが、業務間での連携という点で見れば難点がいろいろありました。異なる部署とデータをやりとりする際は、システムの間の連携が必要です。連携部分がシステム化されていないため、情報のやり取りやデータの加工に人の手を介在させる必要があり、労力がいるばかりか、データの二重登録により入力ミスが起きやすいなどの問題が生じていたのです。
5-2. ERP(Enterprise Resources Planning)
統合基幹システムともいわれる「ERP」は、基幹システムとなにが異なるのでしょう。
ERPとは、会計管理システム・人事管理システム・生産管理システム・物流管理システム・在庫販売管理システムなどの、いわゆる基幹システムを統合し、すべての情報を「唯一の統合データベース」で一元管理するシステムです
ERPには企業が有している「ヒト、モノ、カネ、情報」といった経営資源を全体最適の視点で管理できます。例えば、1つの商品を売れば販売システムに計上され、それが生産システムに伝わって生産が開始され、財務システムに売り上げが登録され、担当した営業担当者の人事システムで管理している売上成績に反映するという一般的な取引を見ても、すべてが一連の流れとしてつながっていることが分かります。
これを部門ごとに別々で管理するよりも、集約した方がより業務が簡素化し、高速化し、正確さも高まるわけです。
6. ERPのメリット・デメリット
ERPは、これまでばらばらだった業務システムを統合することで、全社単位での業務効率化や経営情報の活用をしようという理念のもと作られ、企業全体での情報の一元管理が可能することで、次のようなメリットとデメリットがあります。
6-1. メリット
メリット1:情報の一元管理により、システム間・部門間の連携の悪さを解消できる
ERPの最大のメリットは、社内のデータを一元管理できること。帳票、会計処理、販売管理、人事管理などのスタッフ部門から営業などライン部門の本来業務で扱う書類など、社内で使用するデータはすべて一箇所に集めることが可能になります。これにより、たとえば販売管理で変更されたデータは即座に部門、全社の帳票に反映され自動更新されます。部署、部門間のデータ二重化による不整合などが起きなくなります。
また、法制度の変更や調達原価の増減などの変化があった際も、個別のシステムで修正するといった労力を省くことができます。一元的に管理することにより、データの入力ミスや要件の見落としなど、本来業務における人為的なミスも防ぐことが可能になります。
メリット2:経営資源の最新情報を「見える化」により、経営者の意思決定を支援できる
経営資源が統合されることにより、管理業務が軽減され、これまで部門間で確認していた情報がいつでもどこでも引き出せるようになります。これは経営判断を下すに当たって、大変な利点です。
現在開発されているERP製品の多くは、売上や利益、生産にかかる工数とコスト、債権など、「財務における情報分析」「仕入や在庫状況」「人事情報」など、現在の経営状況をリアルタイムに把握することができるようになっています。したがって、経営側として必要なときに必要な打ち手を検討し対応でき、組織のリソースを有効に活用するための策を投じることを客観的なデータをもとに行うことが可能になります。
メリット3:データの整合性を保つことにより、内部統制をサポートできる
J-SOX法の施行により、企業の透明性が求められています。営業部門、販売部門などにおける日々の見積、請求管理はますます重要になってきました。そこで、内部統制のためにERPを導入する企業が増加しています。
ERPの導入は、全社共通のワークフローに則った業務の遂行に数々のメリットをもたらします。まず、受注から調達・生産・販売までのデータの入力処理、利益とコストの管理、人員や工数といったリソースの調整・管理が一元管理されることから、「無理な納期での受注」や「社員による不正」などが防止できるようになります。
6-2. デメリット
多くのメリットのあるERPですが、デメリットもあります。ERPのデメリットを具体的に見ていきましょう。
製品の選定に時間がかかる
ERPは製品の種類が多く、それぞれ特徴が違います。ERPを選ぶ際は、自社で行いたいことを明確にした上で、その目的を満たす製品を調査・選定しなければなりません。またパッケージの仕様が企業内の業務と完全に一致しているとは限らず、現場からの要望により追加機能の開発やカスタマイズが必要となる可能性があるため、相応の工数が必要となります。
導入にコストがかかる
導入前の調査段階でも、製品の検討・導入準備・追加機能開発・社内調整といったように、ERPの導入には人的・時間的・費用的コストがかかります。加えて導入の際、検証テストを行った上でERPの適合可否を判定する企業もあります。
社員に周知徹底する必要がある
ERPの大きな特徴として「全体最適化」があります。これは、各部署の現場で慣れ親しんできた業務プロセス、つまり「個別最適化」の仕事を変えていくことにつながります。
また、ERPの運用の基本となるのは、現場からの「入力情報」です。実働部隊となる各部署に、ERPへのデータ入力を徹底してもらう必要があります。同時に、データの持ち出しなどの社内コンプライアンスに抵触するような事態も避けなければなりません。
7. ERPの導入のポイント
ERPは、各会社のあり方に合わせて構築されるべきものです。そのために、基本的なパッケージとともに、企業の現実的な商習慣、組織の特性に合わせたカスタマイズが重要になります。
仕様の構築は、導入前に綿密に行わなくてはならない最も重要な作業ですので、そのためのポイントを3つ挙げます。
ポイント1:既存システムの棚卸と、将来自社のありたい姿を検討
自社業務の手間を軽減するとともに、日々蓄積されていく社内データを会計や経営にスピーディーに反映させていく。それがERP導入の目的であり、業務と経営の双方のメリットを最大化できたかどうかがERP導入に対する評価となります。
ERPの導入に際しては、バックヤードと営業、生産などの現場で、現在どのようなシステムが運用されているのかを把握することが最初のポイントになります。
ポイント2:パートナー事業者選び
導入にあたっては、ERPの仕様設計を担当する開発事業者(ベンダー)の選定は重要です。企業会計について詳しい知識や知見を備えているか、ともに課題解決に向けて努力してくれるか、こまめに対応してくれるかなど、開発事業者から派遣される担当者個人の資質に寄るところも多くあります。加えて、導入時ばかりでなく、仕様変更なども含め長く付き合えるパートナーとして慎重に選びたいものです。
それにはいきなり一社に絞り込むのではなく、複数の事業者を比較検討することが必要です。パートナーの決定については、情報システム部門の独断や、経営陣による判断だけではなく、社内の意見を広く取り入れながら検討を進めていきます。
ポイント3:ワーキンググループの立ち上げが有効
ERPの導入は、企業に革新をもたらします。業務の効率化、経営の透明化、そして知識とデータの共有。それらによって企業の生産性は向上し、スピーディーな経営判断が可能になっていきます。
とはいえ、現実の企業活動では部門ごとに独自の業務フローが存在し、部門ごとに業種業態の作法やしきたりの違いがあるものです。個別のシステムのなかで育まれた業務環境をどこまで統合することが可能か、どのようなツールを共用できるか、その判断がERP導入の前段階では必要になります。
異なる点や共通点を洗い出して整理し、全体の最適化を実現するためには、部門間を超えたワーキンググループの立ち上げが有効です。
8. ERPのご紹介
ここでは、代表的なERPパッケージを紹介していきます。
SAP Business One
製品URL | https://www.sap.com/japan/products/business-one.html/ |
提供企業 | SAPジャパン株式会社 |
提供形態(価格) | オンプレミス・クラウド(お問い合わせ) |
中小企業向けのクラウド型・オンプレミス型ERPです。財務管理、販売・顧客管理、購買・在庫管理、BI・分析の機能を中核として、業種別に500以上の豊富なアドオン機能が用意されています。ビジネスの成長に応じてコンポ-ネントを拡張できます。対応言語も豊富です。
Oracle ERP Cloud
製品URL | https://www.oracle.com/jp/erp/ |
提供企業 | 日本オラクル株式会社 |
提供形態(価格) | オンプレミス・クラウド(お問い合わせ) |
財務、調達、プロジェクト管理、リスク管理などに対応する各種コンポーネントで構成されたERPパッケージです。クラウド・オンプレミスに加えハイブリッド導入も可能で、サプライチェーン・人事・販売管理を支援する同社クラウド製品とも連携させることができます。対応言語・通貨も豊富です。
ZAC
製品URL | https://www.oro.com/zac/ |
提供企業 | 株式会社オロ |
提供形態(価格) | オンプレミス・クラウド(一括ライセンス購入または月額支払) |
ソフトウェア開発やコンテンツ制作などのプロジェクト型ビジネスに特化したクラウド・オンプレミス型ERPです。プロジェクト管理(立案・原価計算・予実管理など)を中核とし、販売・営業支援・購買・勤怠・在庫・工程などに対応するモジュール群で構成されています。会計やBIなどの外部ツールとの連携機能も充実しています。
クラウドERP freee
製品URL | https://www.freee.co.jp/cloud-erp/ |
提供企業 | freee株式会社 |
提供形態(価格) | クラウド(お問い合わせ) |
クラウドERP freeeは、経理・会計と人事労務の機能を主体としたクラウド型ERPです。会計と業務を連携させ、プロジェクトや経営の状況を可視化・レポーティングすることにより、業務効率化と経営改善をトータルに支援します。
「Salesforce」「kintone」との連携により顧客管理・営業支援・受発注管理にも対応します。
ジョブマネ
製品URL | https://jobma-lp.com/ |
提供企業 | ジョブマネ株式会社 |
提供形態(価格) | クラウド(初期費用0円、月額費用(20人まで)通常版50,000円/Lite版10,000円、21人以上お問い合わせ、無料プランあり(ユーザー10人・容量1GB・顧客10社・見積作成10件まで)) |
売上管理を中核としたERPパッケージです。スケジュール・案件管理、顧客管理、プロジェクト管理の機能が特に充実しています。シンプルで使いやすいUIが特徴で、スケジュールの登録・確認やワークフロー承認、日報作成などがスマホでも行えます。
無料プランが用意されており、データを引き継いで有料版に移行可能です。
9. ERPによる原価計算
原価管理システムは、製造業における原材料や製造にかかるコスト、プロジェクトにおける労務費などの費用を一元管理して計算し、原価の維持や低減を図ることで利益を最大化するためのシステムです。 原価を構成する要素は複雑で変動も多く、サプライチェーンがグローバル化した現在では、変化を予測してリスクに備えることも必要です。
原価は常に変動するものなので、生きた情報を手にする必要があります。そのためにおすすめなのがERPです。ERPは部門ごとに分散している基幹システムを統合した製品で、システムごとに相互連携が取れているためデータのやり取りを非常にスムーズに行うことができます。さまざまなシステムから原価計算に必要な情報を集約することで、タイムリーな原価把握を実現し、原価計算も自動化できます。
9-1. 個別受注型製造業向け原価管理システム
製造業では、ERP及び生産管理システムなど、高額で大規模なシステムによって生産管理が行われてきました。ERPとの連携が重要となる量産型の生産形態とは異なり、個別受注生産では、IT系企業で使われている安価なプロジェクト管理ツールやガントチャートを活用する方法が提案されています。特に、多人数・多拠点におけるリアルタイムの情報共有に優れた、オンラインで使えるITツールは生産性向上への寄与が期待されています。
10. まとめ
この記事では、ERPを網羅的に解説してきましました。ERPは情報を一元管理することで、企業全体の状態をリアルタイムで把握することができ、円滑な経営判断を可能にしてくれるツールです。ERPとの連携が重要となる量産型の生産形態とは異なり、個別受注生産では、IT系企業で使われている安価なプロジェクト管理ツールやガントチャートを活用する方法が提案されています。
クラウド化により導入のハードルが下がりましたERPやプロジェクト管理ツールの導入を、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。