企業全体の生産性を高め、プロジェクトを成功に導くためには限られた資源を最大限に活用することが重要なポイントです。あらゆる資源を上手く活用していくためにリソース管理は欠かせません。ここでは、リソース管理の重要性やメリットを知り、実際にリソース管理を正しく行いたい場合や改善したい場合に何から手をつければよいか、ステップを踏みながらわかりやすく解説します。
リソース管理とは?
企業は大小様々なプロジェクトを持ち、企業運営を行っています。リソース管理とはそれらプロジェクトの効率を最大化するために、企業が持っているリソース(資源)を事前に計画、スケジューリングし、割り当てていくプロセスです。
では、企業が持つ「リソース」とは何でしょうか。リソースには、目に見える資源・目に見えない資源、大きく2つの種類があります。それぞれの要素について確認していきましょう。
目に見えるリソース(資源)
目に見えるリソースとして、ヒト・モノ・カネがあります。
ヒト
IT企業において最も重要となるリソースが人的リソースでしょう。ヒトがいて始めて他のリソースを動かすことができるため、大事にしなければいけないリソースです。各々のスキルや経験などの能力を把握し、適切な量の仕事を割り当て、また、将来を見据えた教育を行うことも重要です。
モノ
プロジェクトを進行する上で必要となるパソコンやサーバ、プロジェクトルーム、テスト機材等すべてのモノがリソースとして考えられます。
適切なタイミング、適切な質と量で物的リソースが供給されることで効率化が図れたり、生産性の向上ができたりすることがあります。
カネ
人件費は勿論、モノの購入・運用費用など全ての資金がリソースの対象になります。現金だけではなく、株式や債券なども含まれます。経営、プロジェクトの運営、共に資源となる「カネ」の管理ができていなければ立ち行かなくなるのは当然で、どこに・どのくらいの資源を割り当てるかが経営に大きく影響します。
目に見えないリソース(資源)
目に見えないリソースには、時間・情報・知的財産があります。
時間
人的リソースが稼働できる時間、プロジェクトの期限など、時間もリソースのひとつです。限られた時間を最大限に活用していくためには、仕事の優先順位や割り振りを適切に行なうことが重要です。
情報
会社には多くの情報が溢れています。例えば、経営に関する情報、顧客情報、技術、収集・蓄積したデータ、ノウハウなど、これら全てがリソースとして考えられます。
目に見えない資源のため何気なく管理・運用されることが多いリソースですが、これらは資源であり、重要な「資産」でもあります。そのため、情報を最新に保ったり共有しやすい形にしたり、ナレッジベースとして適正に管理する必要があります。
知的財産
特許や商標権、著作権などの知的財産も大事なリソースです。プロジェクト実施中に検討した技術が特許になる場合もあります。これらを適正に管理することは企業にとって強みにもなり、時には利益を生み出すことがあります。
リソース管理とは、これら資源のすべてを効率よく活用することです。
リソース管理を行う8つのメリットと重要性
リソース管理で目指すべきことは、無駄をなくし、より少ないリソースでより多くのことを行うことにあります。これは最適化と効率化の実施がリソース管理の中心的な要素であるということです。これらを適切に行うために、リソース管理を行うメリットが何か、また、リソース管理の重要性も認識しておきましょう。
メリット1:全体像が見える
リソース管理により、いつ、どこに、何が足りていないのか、足りなくなるのか、余剰が発生しているのかなど、リソースの過不足が見えるようになるためバランスを整えやすくなります。これらを事前に知ることで、対症療法的に対応するのではなく、前もってアクションすることができます。
メリット2:生産性の向上
ある人員は遅くまで残業し、またある人員は業務に余裕があるという状況は往々にして見られる光景です。生産性を上げるにはそれらを平準化する必要があります。リソース管理を行うことで、負荷や余剰、各人のスキルを把握し、タスクを適切に割り当てることができます。
メリット3:燃え尽き症候群を防ぐ
リソース管理を効果的に行えている場合、チームの生産性を阻害するリソースの過剰割り当ての回避が期待できます。特に、複数のプロジェクトに参画しバランスをとっている人員がいる場合、過剰な負荷がかからないことは職場の満足度という面で非常に重要です。
メリット4:リスク回避
前もっていつ何が必要か把握できるようになるため、リソースの過不足の調整が行えます。対症療法的な人員の手配を行った場合に発生しがちな、欲しい時に欲しいスキルの人員が手配できない等のトラブル発生を回避できる他、機材などの「モノ」や技術などの「情報」に関しても同様で、これらのリスクを回避することができます。
メリット5:現実的なスケジュールを作成できる
適切なリソース管理によって全体像が把握できるようになります。そのため、無理なスケジュールを設定せずに現実的なスケジュールを作成することができ、プロジェクトの炎上やトラブルを回避することができます。
メリット6:従業員間の意識を合わせ、ゴールに向かいやすい
透明性のあるリソース管理が行われている場合、従業員は自分がいつ何をすべきか、チームとして何が足りていないのか、目標がどこかなどの共通認識を持ちやすく、同じ方向を向いて仕事を進めやすくなり、間違った方向に進みにくくなります。また、これらは生産性にも寄与します。
メリット7:品質の維持や向上が期待できる
十分なリソースが与えられたプロジェクトでは、適切な品質管理やプロセスの最適化なども行われやすくなり、長期的に捉えた時、品質の維持・向上が期待できます。
メリット8:将来の計画を立てやすい
現時点でどのようなリソースが足りていないか、将来に向けて何をすべきかが見えるため、中長期の計画なども立てやすく、リソース管理をエビデンスとして用いることで予算取りも行いやすくなります。
ゼロから始めるリソース管理、6つのステップ
リソース管理をなんとなく行っているという方は、それが正しいやり方なのか意識していないことも多いでしょう。また、リソース管理を今まで行っていない方はやり方がわからないのは当然のことです。ここでは、プロジェクトのリソース管理を行う場合のやり方として、一般的に行われる方法を解説していきます。
Step1:プロジェクトのリソースを整理
目に見えるリソース(ヒト、モノ、カネ)と、目に見えないリソース(時間、情報、知的財産)を整理します。特に、目に見えるリソースを重点的に整理します。目に見えるリソースの中でもヒト(人的リソース)は特に重要な項目です。
Step2:プロジェクトの現在地を知る
プロジェクトが現在どのような状況になっているか、ヒト、モノ、カネ、時間の消化状況を整理します。これにより、現時点で余裕があり安全な状態なのか危険な状態なのかを知ることができます。
Step3:ゴールまでの道のりを知る
Step1、2を踏まえ今後どのようなリソースがいつ、どれだけ必要か整理します。
Step4:過不足・課題・問題を把握
整理した結果、過不足・課題・問題がないかを確認します。対処できるかどうかは別問題として、過不足や課題・問題を認識することがまず重要です。Step1からの過程で気になる点が何らか発見できることが多くあります。
Step5:過不足・課題・問題の調整や対策の実施
Step4で発見した過不足・課題・問題が把握できたら、対処方法や対策を検討します。さらに、各項目に重要度と優先順位をつけ、対策を実行していきます。
ここで気をつけるべきことは、重要度と実施する優先度、2つの観点で対策の順序を決めていくことです。
重要度は、プロジェクトにとってどれだけインパクトがあるかということですが、インパクトがあるから優先度が必ずしも高いということはありません。
例えば、インパクトは大きいが、まだ先の問題であるため時間的余裕があり、今すぐ実施しなくて良いなどの場合は重要度「高」で、実施する優先度は「低」ということも発生します。
このように適切な順序で対策していくこともポイントのひとつです。
Step6:分析、プロセス改善を行う
過不足・課題・問題を知る、対処するだけでは不十分で、それがなぜ発生したのかという所まで分析して初めて根本的な解決ができます。スキル不足なのか、スケジュールがタイトすぎたのか、トラブルが発生していたのかなど原因を探り、次回以降同じ現象が発生しないよう、対策を実施します。ソフトウェア・ハードウェアで改善できるものは、機器の導入やツールを導入し、プロセスに問題がある場合は新しいプロセスを導入するなどを対策として取り入れます。
これらの1〜6のステップを定常的に行い、繰り返していくことでより高いレベルのリソース管理を実施することができます。
クラウドログでリソース管理を効率的に行う
リソース管理の管理対象として大きく占める項目は、人的リソースです。工数管理をエクセルなどで行うには、規模や拡張性、効率といった面から運用していくことは難しいでしょう。クラウドログはプロジェクトの全体工数、人員の工数管理、予実管理を効率的に行うことができます。
メリットにあげた透明性も確保でき、必要な分析も簡単に行うことができるため、リソース管理やプロジェクト管理を行っていくために最適なツールと言えます。
クラウドログでは、無料で全機能が試せるトライアル期間を設けているため、ご自身の企業やプロジェクトに合っているかなど、気軽にお試し頂くことができますので是非ご活用ください。
まとめ
マネジメントの立場の方は大なり小なりリソース管理を行っている方が多いでしょう。しかし一旦原点に立ち返りセオリーに則りながら、よりレベルの高いリソース管理を目指し、改善を重ねることで企業全体の生産性を更に高めていくことが期待できます。
ツールの導入なども検討しながらリソース管理を進めていきましょう。