稼働率とは?エクセルでの計算方法や改善の考え方、ツールを紹介

稼働率というと、一般的には生産部門や工場、設備などの稼働状況を表す指標として使われますが、ITの開発現場でも使われます。稼働率を算出し、意識することで「ムリ・ムダ・ムラ」が発見できると言われています。
ここでは、稼働率とは何か、計算方法や稼働率を上げるうえでの注意点、適正な稼働率を定めるポイントをわかりやすく解説していきます。

稼働率とは?

稼働率とは、特定の機器や設備、施設などがどれだけ活用されているかを示す指標です。一般的には、生産施設や製造業などの分野でよく使われています。

IT業界でも使われており、稼働率を算出することで業務量が適正かどうか、業務を効率的に行えているかなどを確認できます。

以下では、主な活用場面として、システム開発プロジェクトと製造現場における稼働率の例を紹介します。

システム開発プロジェクトにおける稼働率

システム開発プロジェクトでは、稼働可能な工数に対し、結果として実際に稼働した工数をパーセンテージで表したものが稼働率になります。

  • 稼働率=実稼働時間÷生産能力として本来稼働すべき時間×100

例えば、あるプロジェクトに1人が1日に稼働できる工数が8時間で、実際プロジェクトにかけた時間が6時間の時、稼働率は75%となります。

製造現場における稼働率

製造現場における稼働率は、工場の生産能力に対して、どれくらい生産できたのかを表します。

  • 稼働率=実際の生産数÷生産能力(生産可能な量)

例えば、工場の生産能力が1日あたり100個で、実際の生産数が70個だった場合の稼働率は70%です。逆に同じ工場で130個生産できた場合、稼働率は130%になります。

稼働率と可動率の違い

生産の現場では可動率も指標として使われます。ここでは、混同されやすい稼働率と可動率の違いを説明します。それぞれの意味と計算方法は、下記の通りです。

稼働率可動率
意味本来生産できる能力に対して実際に生産できた割合必須生産量に対して実際に生産できた割合
計算方法実際に生産した量÷生産能力(本来生産可能な量)×100実際に生産した量÷必須生産量×100

稼働率と可動率は同じ読み方ができるため混同されることもありますが、「可動率」は「べきどうりつ」と読み、意味は異なります。主に生産現場で使われる指標です。可動率とは、設備の運転効率を表す指標です。

顧客からの発注に応えるため、今日100個生産しなければいけない時に、実際生産できた製品が90個の場合、可動率は90%となります。可動率は「必須生産量」に対する指標であるため100%を目指すべきものと言えます。

エクセルで稼働率を計算する方法

稼働率は、エクセルで求めることもできます。エクセルのSUM関数を使えば、スピーディーに計算でき、計算ミスなどが起こるリスクもなくせます。

エクセルで1週間の稼働率を求めるステップは以下の通りです。

①「本来稼働すべき時間(稼働予定時間)」と「実稼働時間」を曜日ごとに記録する

② SUM関数で週の「稼働予定時間」の合計値を算出する

③同じくSUM関数で「実稼働時間」の合計値を算出する

④「実稼働時間の合計値(35)」/「稼働予定時間(40)」×100 で稼働率を算出する

⑤下記のように稼働率を導き出す

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算出した稼働率をどのように捉えるべきか

計算した稼働率の数値はどのように捉えるべきでしょうか。稼働率が低いとき、高いとき、考えるべきことを確認していきます。

稼働率が低いとき

稼働率が低いということは、本来稼働すべき時間まで稼働ができておらず生産が低い状態といえます。
仕事がそれほど多くなく暇な状態や、忙しくしていても稼働率が低いという状態があります。仕事が少ない状態の場合は、稼働が余っている状態ですから、稼働率を上げるために営業に力を入れるなどで仕事を増やし稼働率を上げる対策を取ることができます。
一方、忙しくしているにも関わらず稼働率が低い状態は、原因の分析が必要となります。例えば稼働率が60%の場合、残りの40%何をしているかを分析します。本来案件に費やさなければいけない時間を、会社の事務処理や打合せなどに割きすぎていないかなどを確認します。

稼働率が高いとき

一見稼働率が高いと、生産性が高く良いことのように見えますがそうではありません。
特に、100%以上の数値になっている場合は要注意です。稼働率は、生産可能な能力から割り出される数値のため、100%を超えている場合、通常以上の負荷がかかっている状態を示しています。
繁忙期などで一時的に上がることもありますが、定常的に稼働率が高い状態が続いている場合は、従業員が退職してしまうなどのリスクが高くなるため、早急に改善する必要があります。

稼働率は100%を目指してはいけない

前項の「稼働率が高いとき」の通り、稼働率は高ければ良いというものではありません。
稼働率は100%を目指してはいけないと言われています。
稼働率が100%に近い、又は超えている場合は、その人がボトルネックになり、その前後の工程に待ちが発生することになるため、全体的に見ると非効率な状態に陥ります。
これは「平均待ち時間」や「混み具合」などの現象を、数理モデルを用いて解析して適正な稼働を算出する「待ち行列理論」(※1)の考え方です。
待ち行列理論とは、コンビニのレジや空港の受付カウンターなどで混雑させずに適切なサービスを受けさせるために適正な稼働率を算出する方法で、例えばトヨタ生産方式はこの待ち行列理論を取り入れたものです。トヨタは目標とする稼働率を100%には定義しておらず、95%を適正としています。
これはトム・デマルコの「ゆとりの法則」(※2)にも通じるところがあります。ソフトウェア開発の書籍のため、より理解がしやすいでしょう。

※1参考:待ち行列理論
※2参考:ゆとりの法則

稼働率と生産性を合わせて考える

適正な稼働率は、企業や部署、役割によっても異なるものです。では、適正な稼働率をどのように定めればよいのでしょうか。まずは現状の稼働率を算出し、稼働率が適正かどうかを見定めます。その際には、生産性も合わせて考える必要があります。
例えば下記のような事例が参考になるでしょう。

IT業界の働き方・休み方の推進「■東京海上日動システムズ株式会社の取組」

この事例では、生産性を高めることを目的としていますが、生産性を測る基準として稼働率と1日あたりのタスク消化率の関係を計測しています。
18:00退社という時間の制約を設けた上で、稼働率とタスクの消化率を記録しながらムダの削減や業務改善を行い続け、値の推移を見ることにより生産性がどこで高くなったかを見える化しています。

稼働率と生産性を合わせて考えることで、最適なパフォーマンスがどこなのかを各々のチームや部署に合わせて見定めやすくなります。

この事例のように、プロジェクト管理ツールを用いることで、日々の業務の中で無理なくタスクの見える化、予実の管理、スケジュール管理を行うことができ、効率的に稼働率と生産性を算出するデータを蓄積できます。

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稼働率を適正に保つポイント

稼働率を適正に保つためには、下記のポイントを押さえることが重要です。

  • 人員配置を最適化する
  • スキルアップの時間を確保して生産量を増やす
  • 間接業務や無駄な作業をなくす
  • 自動化・省力化を進める
  • 工数管理ツールを導入する

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

ポイント1:人員配置を最適化する

繁忙期や閑散期などに合わせて、適切な人数を配置しましょう。また、従業員が異なる役割を果たせるようにトレーニングや研修を実施すると、柔軟な人員配置が可能となります。

ポイント2:スキルアップの時間を確保して生産量を増やす

仕事に習熟していないメンバーのスキルアップを図ることで、一人あたりの生産量を増やせます。従業員のスキルアップは時間がかかるものですが、一人ひとりの生産量を増やすことで稼働率の向上につながります。

ポイント3:間接業務や無駄な作業をなくす

仮に移動時間や必要な部材を取りに行く時間、資料整理、会議などの業務が多くなれば、稼働率が上がりにくくなります。

稼働率を高めるためには、間接業務や無駄な作業をなくしつつ、社員の作業量を無理に増やさないことが重要です。

ポイント4:自動化・省力化を進める

自動化・省力化を進めれば、稼働率を適正に保てるようになります。例えば、生産ラインの自動化は稼働率向上に、ロボットアームや自動搬送装置の導入は作業員の負担軽減につながります。

自動化・省力化を進めて生産ラインの稼働時間を延ばすことによって、生産性向上や稼働率向上の実現も可能です。

ポイント5:工数管理ツールを導入する

稼働率を計算するためには、事前に稼働時間のデータを用意する必要があります。先述した通り、工数管理はエクセルで行えますが、工数管理の負担が大きくなりやすく、時間がかかるケースが多いでしょう。稼働率をより正確に測りたい場合は、工数管理ツールを導入するのが効果的です。

工数管理ツールとは、作業時間や業務量、必要な人員などを把握・管理できるツールです。稼働率の記録だけではなく、損益や業務効率化のポイントなども分析できます。

稼働率の計算をより効率化したい場合には、クラウドログのような工数管理ツールの導入をおすすめします。

工数管理ツールで稼働率を改善した事例

ここでは、実際にクラウドログを導入して稼働率を改善した事例を紹介します。

さまざまな物流DXサービスを展開しているロジザード株式会社では、プロジェクトごとの工数原価を計上しなければならず、工数管理に多くの時間がかかっていました。工数の予実を見える化し、採算が取れているのかを正確に把握する必要があったのです。

従来はフリーソフトやエクセルを用いて工数管理を実施していましたが、人による入力操作によるミスが多いことが悩みでした。また、エクセルでの集計・分析作業にも限界を感じている状況だったそうです。

そこで導入したのがクラウドログです。フリーソフトで管理していた業績データをインポートし、工数データを可視化できました。今期の業績や進捗状況をリアルタイムで把握できるようになり、軌道修正が可能となりました。

クラウドログを導入したことで、原価計算や工数予実の把握が可能となったほか、各部署が抱える問題の可視化も実現した事例です。

詳細は、以下のページもあわせてご確認ください。

工数予実把握から従事率の見える化まで実現!物流DX企業の工数管理システム刷新による変化とは

クラウドログの特徴

クラウドログは稼働率改善だけではなく、プロジェクト管理や生産性改善などさまざまな目的で利用可能です。ここでは、クラウドログの特徴を3つ紹介します。

使いやすい操作画面

クラウドログの特徴のひとつが、使いやすい操作画面です。工数の入力形式は、カレンダー型・リスト型の2つから選択できます。入力する時間単位は、1~60分の範囲でカスタマイズでき、スマホからの入力も可能です。さらに、GoogleカレンダーやOutlookのカレンダーとも連携・同期できるため、入力の手間を省けます。

工数の一括入力や割合入力、工数パターンのお気に入り登録などの機能も充実しており、短時間で工数の入力を完了させることが可能です。

工数の分析も可能

クラウドログでは、工数の詳細な分析も行えます。業務割合を把握しやすい円グラフや、実績推移を一目で確認できる棒グラフなど、さまざまなグラフが用意されている点が特徴です。

レポートによる分析も可能であり、メンバーやプロジェクト、業務項目などの粒度でデータを絞り込めます。

外部システムとの連携性

外部システムとの連携性の高さもクラウドログの特徴です。APIを利用することで、他の社内システムのデータとも自動連携できます。他のシステムとの連携により、データの二重登録や転記ミスなどを防ぐことが可能です。

また、期間・項目を指定してデータをエクスポートできるため、エクスポートしたデータを他システムと連携したり、独自のレポートを作成したりと、幅広い用途で活用できます。

クラウドログでは、従業員の情報やプロジェクトに関する情報もインポートできるため、大量のデータをまとめて登録することも可能です。

まとめ

ここまで、稼働率について、計算方法や稼働率の考え方について解説してきました。
マネジメント側から見て、利益に直結する稼働率の数値は上げたいと考えてしまいますが、100%を目指してはいけないことや生産性とのバランスが重要であることを理解頂けたでしょう。
稼働率や生産性は継続的に見ていく必要があり、そのためにはクラウドログのような工数管理ツールを利用し、日常業務の中で効率的にデータを蓄積することが重要です。クラウドログには無料のトライアル期間があるため、自社の業務に合うかどうか是非一度お試しください。

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