働き方改革が施行されてから、より効率的な業務推進や生産性の向上を考えなければいけない状況に直面している企業も多いのではないのでしょうか。業務効率化や生産性の向上を行うためには様々なアプローチがありますが、業務棚卸もそのひとつです。
ここでは、業務棚卸を行いたい方向けに、進め方や実施する際の具体例を解説していきます。
目次
業務棚卸とは
業務棚卸とは、日々の業務を洗い出し整理することを言います。具体的には、業務の種別、作業内容、作業工数、作業の難易度、コストなどを業務棚卸表としてエクセルや工数管理ツールなどで一覧表にまとめ、見える化します。
業務を効率化するには、まず現状の業務を知ることが重要で、見える化することによりムリ・ムダ・ムラを発見しやすくなります。
業務棚卸表は、様々なサイトでエクセルの無料フォーマットやスプレッドシートが公開されているため、自社に合ったフォーマットを利用したり、参考にしたりすると良いでしょう。
業務棚卸の4つのメリット
業務棚卸を行うには、マネージメント側が時間を割く必要があることは勿論、従業員にも工数を割いて棚卸、整理作業を実施して貰う必要があります。両者の大事な工数を割いてまで実施するメリットは何なのか、確認していきましょう。
メリット1.ムリ・ムダ・ムラの発見
業務棚卸では、作業内容、作業工数、作業の難易度を見える化していきます。例えば、難易度の低い作業に多くの工数を費やしていたり、同じ作業でも従業員によって作業工数にばらつきが発生していたり、見える化によりムリ・ムダ・ムラの発見がしやすくなり、改善ポイントが明らかになります。
メリット2.業務量の把握
個々に業務棚卸を行うことで、詳細な業務量がわかります。工数管理ツールなどを利用していると、プロジェクトに関しては工数を把握できていることが殆どですが、プロジェクト以外の見えない業務、突発的な業務の発生有無や頻度も把握することができます。
業務量を把握することで平準化など、対策を検討し業務改善に繋げます。
メリット3.属人化リスク対策
業務が属人化しているとリスクがあるとわかっていても、いつのまにか属人化するものが増えていることがあります。業務棚卸を行うことで見える化されるため、属人化が発生している業務を発見し対策を取ることができます。
メリット4.リソースの有効活用
業務棚卸により作業量のばらつきはもちろん、作業の難易度により各従業員の得手不得手も見える化されます。得意分野を活かしたリソースの割り当てやマニュアル化、他の従業員への教育などに活用することができます。
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業務棚卸の進め方|5つのステップ
業務棚卸は、業務をただリストアップすれば良いという訳ではなく、目的の整理や分析も重要なステップです。ここでは業務棚卸の進め方を解説します。
ステップ1.目的を定める
とりあえず業務棚卸をしてみようという形で実施しても、目的が明確でなければ効果もあやふやなものになります。業務棚卸を行う際は目的を明確にします。例えば、コストを削減したい、残業の改善をしたい、品質を上げ障害の発生を減らしたいなど、なぜ業務棚卸をするのか目的を明確にします。また、業務棚卸自体が目的にならないように注意します。
ステップ2.業務の洗い出し
業務の種別、作業内容、要した工数、業務の難易度などを一覧表にし、業務棚卸表として洗い出します。場合によっては頻度や目的に応じた項目を用途に応じて整理します。分析をしやすくするため、業務種別などは選択式にするなど、フォーマットや記入ルールを決めておくと良いでしょう。
ステップ3.集計
業務棚卸表が整理できたら、業務の種別や難易度など集計を行います。
例えば、目的が「社内リソースの有効活用」の場合、誰でもできるアウトソース可能な業務、自動化できそうな業務、難易度の高い業務などに仕分けます。
ステップ4.分析
集計が完了したら分析を開始します。分析の視点としては下記があります。
- 業務負荷
一部の人員に負荷がかかっていないか、逆に余裕のある人員がいるのかを分析します。 - 属人業務
業務が属人化していないかを分析します。 - スキルレベル
業務内容と工数からスキルレベルを分析します。 - 業務マトリクス
重要度と緊急度を4象限に業務を配置し、一部の人や一象限に業務が偏ってないかを分析します。
ステップ5.対策の検討、実施
分析した結果、行うべき施策を検討します。検討した施策を一度に実施することは現実的ではないため、業務棚卸の目的に対し効果が高いと思われるものや、すぐ実施できるものなど、優先順位を付けて進めます。
ステップ6.効果検証
施策を実施した後は効果検証を行い、PDCAサイクルを回すことが重要です。
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業務棚卸を部署やチームで効果的に行うには
実際に、業務棚卸を現場で行っていくためにはどのように進めると良いのでしょうか。
一般的には、アンケートやヒアリングという方法で実施されることが殆どです。しかしアンケートやヒアリングは、うまく質問項目を作成しなければ業務棚卸で得たいメリットが十分に得られない場合もあり、初めて行うには難しい面があります。
より効果的な業務棚卸を行うためには、業務棚卸表を個々に記入して貰うと良いでしょう。
ここでは、どのようなアプローチで部署やチームで業務棚卸と業務改善を行うと良いか一例を紹介していきます。
業務棚卸チームを作る
マネジメントを行う管理者が主導で行う方法もありますが、目的をしっかり伝えた上で現場の人間で進める方がやらされ感もなく、分類などの作成も業務に沿いやすいというメリットがあり、さらに管理者の負荷も減るため、効率のよい業務棚卸が期待できます。
小さく始める
いきなり部署全体や、会社全体で行うと失敗する確率が高くなります。初めての場合、業務棚卸表の分類や記入すべき項目、ルールなども確立されていないことが多く、手戻りや問い合わせ対応などが発生する可能性があります。まずは1プロジェクトや小さなチームから始めると良いでしょう。
従業員1人1人が「自分の仕事がどうしたら楽になるか?」という視点で改善案を検討
集計した結果、対策や改善案を検討しましょうと言ってもなかなかアイデアが出ない場合もあります。その場合はまだ「自分事」として捉えられていない可能性や難しく考えすぎている場合があります。
「楽するためにどうすればよいか?」と身近に捉え、突飛なアイデアでも否定せず、まずは多くのアイデアを出し、現場で自ら検討したアイデアを自ら実施するという主体性を持たせ、進めていくことが重要です。
工数管理ツールなどを用い、継続的に観測
業務棚卸は継続的に実施し、効果検証を行う必要があります。いつまでもエクセルの業務棚卸表を使用して分析を行うことは効率的とは言えません。
クラウドログのような工数管理ツールを利用すれば、様々な集計も簡単に行えるため業務棚卸と分析のPDCAサイクルを回しやすく、データの蓄積も行うことができます。
まとめ
ここまで、業務棚卸について解説してきました。マネジメント層は業務改善や生産性の向上を考えなければいけませんが、何から手をつけて良いのかわからないこともあるでしょう。業務棚卸を行うことで問題点や課題が明らかになり、どこに注力すべきかが見える化されます。クラウドログのような工数管理ツールも活用することで効率的な業務棚卸を目指しましょう。