タイムボクシングとは?始め方や効果、チームへの導入について解説

生産性向上の取り組み方法として、ツールやソフトウェア、RPAの導入、プロセス改善などさまざまなものがあります。しかしこれらは費用も期間もかかり、中長期的に取り組む施策といえます。そこで、費用もかからず今すぐ取り組める手法として「タイムボクシング」が注目されています。タイムボクシングは社員全員で取り組め、やり方も進め方も非常にシンブルで、効果も比較的早期に実感しやすいという多くのメリットがあります。
ここでは、タイムボクシングとは何か、やり方やメリット、チームでの導入について解説します。

タイムボクシングとは

日々の業務を進めるにあたって、TODOリストを作成し、仕事を進めている方も多いのではないでしょうか。
タイムボクシングとは、TODOリストの各タスクの時間を見積り、優先順位を付け、カレンダーにタスクを予定として入れていき、その通り作業を進めるという時間管理術です。
1日の時間割を作り、タスクの処理を積極的にスケジューリングし、完了させていく手法で、アジャイル開発における「タイムボックス」の考え方のひとつでもあります。

タイムボクシングは、ポモドーロテクニックに近いものがありますが、ポモドーロテクニックは時間枠を固定し、繰り返しますが、タイムボクシングは時間枠を固定しません。

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タイムボクシングのやり方

ここでは、タイムボクシングのやり方を解説します。

タスクをリストアップし、優先順位をつける

最初に、実施すべきタスクをリストアップします。必ずしも全てリストアップする必要はなく、現在最も重要だと思われるタスクを3つ程度ピックアップして作業を完了させ、また3つリストアップするというやり方もあります。

各タスクのタイムボックスを設定し、スケジューリングする

各タスクに要する時間を見積り、カレンダーに入れていきます。作業と作業の間には5〜15分程度のバッファを持たせておくと、リカバリや計画変更の時間として利用でき、計画通りに進みやすくなります。

タイマーを設定し、作業を開始する

ストップウォッチやタイマー、カレンダーの通知などを利用し、終了時間まで作業に集中します。

休憩する

休憩も重要な予定のひとつです。昼食や休憩も予定としてカレンダーに登録し、時間を明確にしておきます。

1日の終わりに進捗を確認し、ふりかえる

計画した1日の予定の進捗状況をふりかえり、改善行動を検討します。タイムボクシングを行っていない場合、1日の仕事内容は日々流れて忘れていきますが、タイムボクシングでは作業が見える化されているため、ふりかえりやすいといえます。

タイムボクシングの5つの効果とメリット

タイムボクシングを実施する効果やメリットにはどんなものがあるのか、代表的な5つの効果とメリットを解説します。

効果・メリット1:目の前のタスクに集中できる

作業すべきタスクと実施順序が明確で、時間制限もあるため目の前のタスクに集中しやすい状況になります。

効果・メリット2:先延ばしにしているタスクに取り組みやすい

タイムボクシングでは、一旦作業をスタートさせると終了時間を意識せざるを得ません。そのため、気乗りしないタスクでもスタートすれば終わらせようという意識が働き、作業が進捗します。

効果・メリット3:達成感がある

予定が見える化されていることに加え、その通りにタスクをこなしていくという達成感があり、1日の終わり、1週間の終わり、1ヶ月の終わり、というように、自身がこれだけの仕事を完了させたという達成感が得られます。

効果・メリット4:モチベーションの低下を防ぐ

モチベーションを常に維持することは誰にとっても難しいことです。タイムボクシングはその解決策のひとつで、例えば新年に新たな気持でスタートできるように、タイムボクシングはリセットのタイミングを作ることができます。そのためモチベーションが低下しても、また上げやすい手法といえます。

効果・メリット5:過去何をしていたか、明確にふりかえることができる

タイムボックスでは、実施した作業はカレンダーに全て登録された状態になります。そのため、1週間や1ヶ月、企業活動においては、年度末の評価時などにカレンダーでふりかえり、評価申請に活かすことができます。

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チームでもタイムボクシングはできる!チームで実施するメリットとは?

時間管理術というとライフハック的な要素が大きく個人で行われることが多いものですが、タイムボクシングはチームや企業での導入も可能です。

チームで導入する場合のメリット

各人の仕事のカレンダーは社内で共有されていることが殆どです。そのため、企業やチームでタイムボクシングを導入する場合、メンバー同士でタイムボクシングを意識しやすく、相乗効果があります。

メリット1:個々の予定、作業が明確になる

チーム内で各々の予定が見える化され、今誰が何をしているのか状況がわかります。また、同僚が慎重な作業をしているところなのか、話しかけてもよさそうな作業をしているところなのかなども予定から推察することができます。

メリット2:無駄な会議の削減や時間通りの完了が期待できる

会議議題にもタイムボクシングを適用すると、時間の意識が強くなり、時間通り進行しやすくなります。また、個々の予定が既に決まっているため、会議が遅延すると次のタイムボクシングに影響が出ることをチームも認識しているため、より時間を意識した会議進行になります。

メリット3:評価時、ふりかえりやすい

前項の「効果・メリット5」にもあるように、個々でふりかえることはもちろん、チームのメンバー同士や評価する側も過去の作業を確認することができます。
また、プロジェクトのふりかえりなどにも活用することができます。

メリット4:生産性があがる

期限があることで作業に集中でき、期限内に終わらせようとするため、生産性の向上が期待できます。

メリット5:納期の遅れ、過剰な作業などのリスク回避

作業が見える化されていることでチーム内での状況も確認しやすく、納期の遅れの防止や明確な期限がないことによる過剰な作業実施の防止ができ、リスク回避や時間の節約に繋がります。

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アジャイル開発におけるタイムボクシング

前項のように、タイムボクシングをチームで導入するメリットは大きいといえます。
どの開発手法においても大きなタイムボックスはあり、開発工程におけるマイルストンもそのひとつといえますが、大きすぎるタイムボックスです。
アジャイル開発のイテレーションの概念であるタイムボックスという考えかたは、時間管理術であるタイムボクシングと親和性が高いもので、アジャイル開発の中で既にタイムボクシングは各所に存在しています。ここではアジャイル開発でのタイムボクシングについて解説します。

アジャイルにおけるタイムボクシング

イテレーション(スプリント)

開発を進める際のイテレーションは、1〜4週間という期間で、大きめのタイムボクシングといえます。

デイリースタンドアップ(デイリースクラム)

メンバーは毎日15分程度の会議を行います。ここでは各人が共有すべき項目が決められており、時間内に淡々と行うタイムボクシングを意識した会議です。

イテレーション計画(スプリント計画)

イテレーション計画は、タイムボクシングでいう、作業開始前のタスクのリストアップと優先順位付けです。プロジェクトを対象としているため、個人で行うタイムボクシングの規模が大きくなったものと捉えることができます。
逆に言えば、ここで行った計画を個人のタイムボクシングに落とし込むことが可能です。

※()内はスクラムにおける用語

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まとめ

ここまで、生産性向上に直結するといわれるタイムボクシングについて解説してきました。タイムボクシングは実施方法もシンプルで、取り組みやすく、得られる効果やメリットも多い手法です。中長期的な生産性向上の取り組みと併せて導入することで、継続的な生産性向上の効果が期待できるでしょう。

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