従業員の勤務時間や休暇などの勤怠を正確に、かつ簡単に管理するには勤怠管理システムが必須です。しかし、多くの選択肢があるため、選定する際にどのシステムが自社に適しているのかを判断するのは難しいかもしれません。
この記事では、勤怠管理システムの基礎知識や選び方のポイントを解説し、売れているシステムの紹介までします。
※2019年9月17日更新
1.なぜ勤怠管理システムが重要なのか?
勤怠管理システムとは、従業員の勤怠を管理するシステムです。従来のタイムカードと異なるのは、打刻だけではなく、勤務時間の集計や有給休暇の管理等も行える点です。
働き方改革の推進により、企業は労働時間を正確に管理すると同時に、多様な勤務形態を取り入れる必要が出てきています。これらの勤怠に関わる管理業務を、手間をかけずに正確に行うために、勤怠管理システムが必要です。
1-1.勤怠管理システムのメリット
勤怠管理システムには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
1-2.労働基準法違反のリスクを下げられる
2018年6月に成立した働き方改革関連法では、雇用主による労働時間の管理義務が明文化されました。また、残業時間の上限値を超えた場合に罰則規定が設けられ、これまで以上に残業時間の削減と労働時間の厳格な管理が求められます。勤怠管理システムを導入すれば、打刻忘れや労働時間の超過を防ぐことも含めて、労働時間を正確に管理でき、法規違反のリスクを下げることができます。
2.正確な給与計算が行える
勤怠管理システムと給与計算システムを連動させれば、労働時間に応じた給与計算を正確に行うことができます。残業や深夜残業、休日出勤にはそれぞれ異なる割合での割増賃金が発生しますが、これらの計算も自動で行われます。システムを使えば割増賃金の計算ミスや支払い漏れを防ぐことができます。
2-1.多様な働き方の管理が行える
システムによっては、フレックス勤務やシフト制など、様々な勤務形態も一括で管理することができます。これらの多様な働き方を人の手で管理するのには限界がありますが、システムを使えば簡単です。
2-2.有給休暇の申請・承認などワークフロー業務も簡単に行える
休暇の申請・承認のワークフロー機能が利用できるシステムもあります。働き方改革関連法による、有給休暇取得の義務化により、休暇の取得状況も正確に把握する必要があります。また、これらの申請・承認業務も増えることが予想されます。システムを利用すれば、申請・承認の作業とそれに紐づいての休暇の管理まで容易に行えます。
3.勤怠管理システムの選び方
勤怠管理システムは数多くあります。どのシステムも打刻や時間管理などの基本機能は搭載されていますが、その他の機能や特徴は異なります。自社に最適なシステムを選ぶためのポイントを説明します。
3-1.クラウド型かオンプレミス型か
勤怠管理システムには、クラウド型とオンプレミス型があります。クラウド型は、導入が容易であり、コストを抑えることができるというメリットがあります。一方で、自社にあわせたカスタマイズには制限がある場合も少なくありません。また、データが社外のサーバーに送られ、保存されるため、セキュリティ意識の高い企業には向きません。すべてのデータ管理を社内サーバーで行い、自由なカスタマイズを行いたい場合には、コストはかかりますが、オンプレミス型を選ぶのがよいでしょう。
3-2.必要な機能があるか
自社の勤務形態や社内ルールにより必要な、あるいは便利な機能があるかの確認も重要です。たとえば、セールス部隊が多い企業であれば、スマートフォンやタブレットに対応していることが必要です。その際、不正打刻防止機能が搭載されているものを選ぶようにしましょう。
3-3.直観的な操作性か
毎日利用するものであるため、入力者や勤怠を管理する管理職にとっても操作が簡単であることが大切です。さらに、機能設定や集計管理を行う人事担当者が、迷いなく操作できることも重要です。多くのシステムは、無料トライアルを提供しています。あらかじめ、操作性を確認しておくとよいでしょう。
3-4.給与計算システムとの連携が可能か
多くの企業では、勤怠管理給与システムと給与計算システムや給与計算ソフトを連携させて使用します。これらのシステムやソフトと連携させたい場合には、連携が可能かどうか、また連携方法についても確認しておきましょう。CSVでの連携が一般的ですが、APIでの連携が可能であれば、最初に設定してしまえば、その後の操作は極めて簡単です。
4.フォロー・サポート体制
システムの導入後、機能設定や実際に利用する中で、不明点やトラブルが起こることも想定されます。また、機能が豊富なシステムも多いため、自社での運用にアドバイスをしてくれるかどうかも、システム活用には重要です。このような場合に、迅速丁寧に対応してくれるかどうか、それを裏付ける経験や知識があるかどうかの確認も必要です。
5.勤怠管理システムの紹介
企業の状況によって、勤怠管理システムに求めるものは異なります。ここでは、富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場」で市場シェアが高いシステム5つを取り上げます。
5-1.タイムレコーダーから移行した企業向けの操作性を持つ「CLOUZA」
アマノビジネスソリューションズの「CLOUZA」は、タイムレコーダーから移行した企業を想定して、タイムレコーダーのような操作・管理を行うことができます。システム利用に不慣れな従業員がいる企業でも安心して使えます。
また、10年以上の運用実績のある自社サーバーで管理されるため、セキュリティ面でも安心です。
5-2.導入から運用までが手厚い「KING OF TIME」
ヒューマンテクノロジーズの「KING OF TIME」は、12000社以上の導入実績があり、知見が豊富です。カスタマー・コンサルテーションを専門に行う部署があり、企業の勤務ルールを把握して勤怠システムへの落とし込み、運用の提案までしてくれます。初めて導入する企業でも、システムを活用するための手厚いサポートが期待できます。
5-3.3つのプランから選べる「就業ソリューション」
日通システムの「就業ソリューション」は、機能と費用の異なる3つのプランから選択できます。オンプレミス型も提供しており、セキュリティ意識の高い企業も対応しています。一方で、必要最低限の機能に留めて、コストを抑えたい企業にも向いています。
参考:https://www.nittsusystem.co.jp/products/employment/description/
5-4.幅広い勤務体系に対応している「リシテア/就業管理」
日立ソリューションズの「リシテア/就業管理」は、4000以上のパラメータを標準実装しており、幅広い勤務体系に対応しています。勤務区分や休暇区分から集計項目の設定、下満場のメッセージの文言までカスタマイズができます。社内に合わせたカスタマイズを行いたい企業に向いています。
参考:https://lysithea.jp/service/job/
5-5.徹底したリスク管理が行える「就業奉行」
オービックビジネスコンサルタントの「就業奉行」は、働き方改革に即したリスク管理を徹底して行える機能を搭載しています。残業超過の確認はもちろんのこと、勤務間インターバルの確認、欠勤・遅刻・早退などが連続している従業員のリストを自動作成できます。就業状態に表れやすいメンタルヘルスの兆候を管理し、休職によるリスクを低減することができます。
参考:https://www.obc.co.jp/bugyo/shugyo
まとめ
これからは、多様な働き方の導入や長時間労働の是正が一層進むことが想定されます。勤怠管理システムを導入すれば、これらに簡単かつ正確に対応することができます。選定のポイントを押さえて、自社の勤務形態に即したシステムの導入を検討してみてください。