1967年の創業以来、不動産情報サービスのパイオニアとして、不動産情報メディア・不動産業務ソリューションなどの事業を手掛けるアットホーム株式会社。「不動産情報サイト アットホーム」や不動産業務総合支援サイト「ATBB(アットビービー)」など、同社のさまざまなサービスを支えている存在が、情報システム部や協力会社の開発スタッフです。
同社の情報システム部では、開発に携わる協力会社の工数の管理や集計、資料作成にかかる手間が大きな課題でした。「クラウドログ」導入の背景やツール選定時の決め手、そして得られた成果について、ご担当者様にお話を伺いました。
課題
- 工数の集計作業に膨大な時間がかかっていた
- Excelでのプロジェクト管理が煩雑になっていた
- 誰が何の業務をしているのか見えづらかった
決め手
- リーズナブルな価格でシンプルに運用できること
- 工数管理で必要な会計上の数字を明確に算出できること
- 少ないライセンス数でスタートし、少しずつアカウント数や活用範囲を拡大できること
効果
- 工数集計作業が、3日から3時間に短縮された
- 財務部門へ提出するソフトウェア資産計上の資料作成が2日から1時間に短縮された
- 誰が何をやっているのか、リアルタイムで把握できるようになった
外部の協力会社39社、100名ものスタッフの工数を、1人の社員がすべて集計していた
クラウドログ導入以前、工数管理にどのような課題を抱えていたのでしょうか。
服部 様(以下、敬称略):当時39社もの協力会社の工数管理を、業務日報や業務契約書をもとにExcelでマクロを組んで社内の担当者が集計しており、とにかく作業負担が大きいことが課題でした。
支払いに直接つながる業務であるため、実働時間が何時から何時まで、昼休みが何時から何時までといった細かい時間まで反映し、端数までを緻密に計算していました。しかし、協力会社の100名ほどのスタッフごとに作成した約100ファイルの集計をしなければならず、担当者1名が専任で作業を行っている状況だったのです。 また社員の稼働時間は、会計上でシステム資産として計上されるため、情報システム部における生産性の改善は、経営視点でも重要な要素でした。
導入の決め手は、シンプルな機能かつリーズナブルな価格で運用を始められること
ツールの比較検討にあたって、クラウドログのどのような要素が高評価でしたか。
服部:少ないライセンス数でスタートし、少しずつアカウント数や活用範囲を拡大できる点が、導入しやすいなと感じました。
他社の工数管理システムは価格が高いものが多かったのですが、当社は協力会社と複雑な契約形態ではないため、多機能なシステムはオーバースペックだったのです。
クラウドログはリーズナブルな価格でシンプルに運用できること、使い方が分かりやすく、工数管理で必要な会計上の数字を明確に算出できることが高評価でした。
栗本 様(以下、敬称略):ツールの最終決定にあたって、現場社員によるトライアルを実施しています。システム開発を担当する社員数名に、実際の工数を入力してもらい、情報システム部の2〜3名で締めて集計するところまで試してみました。
最終的に必要なデータのアウトプットができることを確認し、工数管理システムの導入によって業務を効率化できると確信が得られたため、ほぼ即決で導入を決めています。
プロジェクトマスタとタイムシート機能が高評価。Excelによる管理との違いとは
評価いただいているクラウドログの機能をお聞かせください。
栗本:クラウドログのプロジェクトマスタ機能は便利ですね。
Excelで工数管理を行っていたときは、月初にプロジェクトマスタを配布し、月の途中で新規のプロジェクトが始まったときはそれに追加するように指示していました。しかし、月末に集計作業をしてみると、スタッフによって異なるプロジェクト名で記載されていることがあり、集計作業に支障をきたすことがあったのです。
クラウドログであれば、新たに始動したプロジェクトをプロジェクトマスタに追加すれば、クラウド上で更新されるため、メンバーもプロジェクト名を間違えず工数の登録ができるようになりました。
服部:クラウドログは担当者の氏名で検索し、タイムシートをワンクリックするだけで、その日の作業内容をすぐに見ることができる点が嬉しいですね。
協力会社の常駐以外、たとえば在宅などで仕事をしているスタッフについて、実際に何の作業をしているのか見えにくい状況でした。月末にならないと作業内容や工数が報告されませんし、スタッフごとに作成された工数管理用のExcelを開いて確認するのは手間がかかり、時間がなかなか確保できていなかったのです。 しかしクラウドログであれば、ワンクリックで確認できるため、一人ひとりの動きを把握できるようになりました。
以前は2日かかっていたシステム資産の計上、資料の作成が、集計作業の1時間だけに
クラウドログの導入で、工数管理の業務はどのように変化しましたか。
栗本:Excelで工数管理を行っていたときは、集計が大変だったため、月次で締めて上長がチェックした後、集計作業に1日を費やしていたうえ、準備作業に2〜3日を要していました。
月次の集計は月初の第1営業日の朝9時30分に締めて、13時30分には書類準備が完了し、承認印を押せるほどスピーディーになりました。また、集計作業そのものが容易になったため、エラーチェックを週次で行えるようになり、結果として月次締めの際に解決しなければならないエラー件数を減らすことができました。
服部:当社では、月初第1営業日中に協力会社の経理担当者に集計した工数データを渡して、請求書の発行を依頼しています。これまでは当社内の財務部門に提出するシステム資産の計上や、資料の作成も以前は2日かかっていましたが、クラウドログの導入によってExcelで集計をすればよいだけになったため、1時間でできるようになりました。 また、1ヶ月半かけて作成していた役員提出用の工数資料も、今はクラウドログのデータを付帯情報として活用することで、半月程度で作成できています。
協力会社の稼働状況の確認は、どのように変化しましたか。
服部:以前よりも正確に、予算に対する稼働状況を確認できるようになりました。
当社では、クラウドログへの工数の登録状況から、プロジェクトごとに予算に対しての稼働状況を確認しています。たとえば、協力会社から工数登録が行われていない場合は、実際に稼働しているのか問い合わせをして、登録を促しています。 予算に対しての稼働状況を把握できるため、稼働時間が予算よりも大幅に超過しているときには、工数を締める前に把握できることもメリットです。実際に予算に対して稼働時間が20%増になっていたケースでは、登録間違いが判明したことがあります。
開発部門だけではなく、企画やディレクションの工数も可視化したい
今後のクラウドログ活用の展望をお聞かせください。
服部:今回の取り組みは、開発部門におけるクラウドログの導入と活用でしたが、企画部門やディレクターのコスト管理にも活用できないかと考えています。プロジェクトにかかっているコストで、企画やディレクション部分は厳密に計測できていません。
個人的には、働き方改革の一環として、上流工程の企画部門やディレクターのコスト管理に取り組んでいきたいと考えています。これらの部門は、開発の手を動かすことではなく「考えること」が仕事ですので、考える時間を確保することこそが重要です。
クラウドログをさらに活用することで「かけた時間に見合った成果が得られているか」「アウトプットのクオリティに達しているか」といった業務の可視化に、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
アットホーム株式会社
1967年12月
事業内容:不動産会社間情報流通、消費者向け不動産情報、不動産業務支援
社員数:1,786名(2024年8月末現在)
資本金:1億円