株式会社出前館
:プロジェクト・工数管理ツール導入事例

精度の高い工数管理が組織を変える。データ可視化から変わる現場のコスト意識

業種
IT・通信
企業規模
301-1000名
課題
資産計上 / 工数入力コストの削減 / 他システムとの連携

1999年に設立された「出前館」では、食品だけでなく日用品や医薬品まで幅広い商品をデリバリーするサービスを提供しています。株式会社出前館は、2020年にLINEと業務資本提携し「第二創業期」として成長を続けるなかで、黒字化に向けた取り組みの一環として、資産計上のための工数管理の高度化が課題となっていました。

それまでのExcelでの管理、集計を改善するため、2024年からクラウドログを導入し、現在では開発およびQAの担当エンジニアを中心に約150名が利用しています。導入による成果と今後への期待について、執行役員 IT本部 本部長 兼 VPoE 米山輝一様とプロダクト本部 青木和之様、お二人に詳しくお聞きしました。

執行役員 IT本部 本部長 兼 VPoE 米山輝一様
プロダクト本部 CPO統括部 技術管理グループ 青木和之様

背景

  • 従来は月末にマネージャーがまとめてExcelに工数を入力していたため、厳密な工数管理ができていなかった
  • 今後の事業拡張を見据え、より高精度の工数管理が必要になりつつあった
  • プロジェクトごとの工数管理が不明確で、資産計上の判断が難しかった
  • 資産計上のために財務経理部門と連携する際、工数データの集計や分析に手間がかかっていた

決め手

  • 工数管理に特化したシンプルなツールであり、操作性が優れていた
  • 他社ツールと比較し、機能や操作性の観点から最高の評点がついた
  • 経理担当者がログインして、直接工数データを入手し、加工できる

効果

  • エンジニア自身がリアルタイムに工数を記録できるようになり、正確なデータが蓄積されるようになった
  • プロジェクトごとのステータス管理を導入し、資産計上の可否を財務経理部門が容易に判断できるようになった
  • 財務経理部門との連携がスムーズになり、資産計上のプロセスが効率化された
  • 従業員からの工数データの閲覧権限に対する申請が増加、コスト意識が向上した
  • デザイン部門など他部署への展開も進み、全社的な工数管理が視野に入りつつある

第二創業期に成長を続けるデリバリーサービス

御社の事業内容について教えてください。

米山 輝一様(以下、敬称略):当社のデリバリーサービス「出前館」はこれまで、フードデリバリーと呼ばれていましたが、最近は商材の幅を広げて「デリバリーサービス」と表現しています。フードに限らず、クイックコマースと呼ばれる領域に拡大しており、 LINEヤフー社との合同で日用品や飲料、一部の医薬品なども注文から最短30分程度で届けるサービス「Yahoo!クイックマート」も展開しています。

青木:出前館サービスについてお話すると、お客様からの見た目では、出前館というサービスがあるだけですが、その裏側は複雑な仕組みで成り立っています。料理を用意する加盟店向けのシステム、それを運ぶ配達員向けのシステム、消費者向けの注文システムと、社内システムの4つのコンポーネントがあり、すべてを自社で内製しています。

米山:これまではランチとディナーの時間帯に利用が集中していましたが、朝食やカフェ、夜食需要なども喚起して、サービス提供時間の拡大に注力しています。夜間にシステムを停止できる時間帯も減り、よりプロダクトに期待がかかる状況です。

組織体制についても教えていただけますか。

米山:私が統括するIT本部は約30名の規模で、主に社内情報システムと情報セキュリティを担当しています。どちらかというと守りの部署という位置づけです。

青木:プロダクト本部は約180名の規模で、社員に加えて出向者と業務委託先を含めると約400名の体制になります。私は主にプロダクト組織の運営業務や予実管理、人員のリソース管理などを担当しています。

管理者のExcel一括入力から高精度の工数管理へ

クラウドログ導入前の工数管理はどのように行われていましたか?

米山:私が入社した2021年頃からすでに工数管理には取り組んでいましたが、当初はExcelを使って、月末にマネージャーがまとめて入力する状態でした。そのため、工数計上もざっくりとしていましたし、プロジェクトの区切りも曖昧でした。

青木:工数管理は、資産計上を目的としていましたが、一定以上の規模のプロジェクトだけが対象となる大まかな基準でした。それでもExcelのデータを集計・管理する負担はかなり大きかったです。

工数管理の方法を変えようと思ったきっかけは何でしたか?

米山:2020年にLINEとの資本提携により、さまざまなシステムのリプレイスが行われたこと、クイックコマースなど新しい開発が増えて、プロジェクトの分散が進んだことが主な理由です。黒字化が実現できれば、工数によって資産計上が本格的にできるようになるため、今のうちに慣れておく必要があると考え、より精度の高い工数管理を目指すことになりました。

工数管理ツール選定の流れを振り返っていただけますか。

米山:クラウドログを含めた4つのツールで比較検討しました。そこでクラウドログを選んだ一番の理由は、工数管理に特化していて機能がシンプルだったことです。操作性、工数管理機能への適合度、価格などでも比較しましたが、総合評価で最上位だったのがクラウドログでした。

当初は反発もあった現場に現れた意識変化

導入はスムーズに進みましたか?

青木:一部には消極的な意見もありました。今回は、資産計上を対象とするため、エンジニアとQA担当に絞って導入しましたが、出向者は出向元でも工数を入力する必要があり、二重の負担になるという声があったのも事実です。そこで、資産計上の重要性を伝えるために説明会を適宜開催し、個別対応も行いました。

米山:管理面では、プロジェクトが始動する段階で、システム内で固有のコードを発行する必要がありますが、タイミングにタイムラグが発生してしまうことが課題でした。携わっているプロジェクトのコードがまだない時点では、正確な入力と集計ができません。結局、月末にまとめて入力することになると、正確性や業務負荷の面で問題化してしまいます。現在は、コード発行のタイミングを早める運用にし、このタイムラグを減らす努力をしています。

導入後、どのような成果が得られましたか?

青木:まだ途中段階ではあるものの、工数データの集計や確認など部門をまたいだ財務経理との連携がスムーズになったのは大きな成果です。資産計上対象プロジェクトに関する承認プロセスをクラウドログの中に組み込むことができましたし、承認日や確認日といった情報を一元管理できるようなったことで、以前のような二重管理が不要になりました。財務経理部門もクラウドログにアクセスして直接情報を入力できるので、その都度こちらがデータを集めて提出する必要がなくなり、やり取りがスムーズになりました。

また、プロジェクトにステータス管理の項目を追加し、資産計上の対象となるかどうかの判断を財務経理部門が行う仕組みにしました。これによりプロジェクトがリリースされた後も自動的に判断され、最終的にはまとまった形で報告される流れが構築できています。

最近では「月末にリマインドする機能があるといいのでは」といった前向きな提案も従業員の間から出てくるようになりました。導入に消極的だった人も含め、「資産計上が重要であり、その源は正しい工数管理である」という認識が広がり、主体的な関わりが増えたことはポジティブな変化だと思います。

直近では、御社の他部署からも工数管理したいという問い合わせがあったんですね。

米山:デザイン部門のマネージャーから「自分たちも使ってみたい」という相談があり、現在テストが始まっています。工数管理だけでなく予実管理もやりたいという意向で、これは想定外の広がりでした。

青木:社内で「クラウドログを導入して変わってきている」という声が広がり、他部署からの問い合わせが来るようになったのは良い兆候だと思います。導入の効果が評価されているということでしょう。

広範囲な連携で効率的な業務環境の実現を目指す

今後、実現したいことは何でしょうか?

青木:現在は資産計上のための工数管理のみですが、将来は予実管理もできるようにしたいと考えています。現在は、工数予定は別で管理しているので、一元化できるのが合理的な選択だと思っています。

米山:今後はカレンダー連携を強化して、現在使用している社内用カレンダーから、クラウドログと連携できるカレンダーへの移行も視野に入れています。そのほうが工数の精度が高まりますし、業務効率の分析にも活用したいと考えています。たとえば、極端に会議が増えて本来の業務が圧迫されるときも、可視化されれば早めに手が打てるようになります。工数管理を通じて「この作業のロスがどのくらいの損失につながるか」といったコスト意識が芽生え、会議の効率化など業務改善につながる自浄作用を期待しています。

今後、クラウドログに期待することはありますか?

青木:エクスポート機能の強化が望ましいですね。特にリリース後のプロジェクトデータをエクスポートする機能があると助かります。

米山:プロジェクトの検索機能で、前回の検索条件を記憶しておいてほしいという細かい要望もあります。現在143のプロジェクトコードがあり、今後さらに増えていく可能性があるので、プロジェクト管理画面のブラッシュアップなど、期待していることはさまざまあります。クラウドログを利用している業務委託先のデータが簡単に同期できると、互いの手間も減らせますし、ぜひ実現していただきたいですね。

工数管理ツールの導入を検討している企業へのメッセージをお願いします。

青木:工数や可視化をしたいという目的であれば、クラウドログは非常に始めやすいサービスだと思います。シンプルで使いやすいのが大きな魅力です。

米山:他部門との連携ができ、一貫性を持ってプロジェクトの開始から終了までをクラウドログの中で完結できるようになるのがメリットだと思います。弊社では当初、工数入力の集約が目的でしたが、それ以外の付加価値として一元管理ができるようになり、業務が大幅に効率化されました。

特に財務経理部門との連携がスムーズになり、資産計上の判定や承認プロセスも一つのツールで完結できるようになった点は、想像以上の効果でした。工数管理は目的ではなく、より効率的な業務環境を実現するための手段として捉え、活用することをお勧めします。

株式会社出前館

https://corporate.demae-can.co.jp/

1999年9月
事業内容:インターネットサイト『出前館』の運営、及びそれに関わる事業
社員数:342名(2024年11月現在)
資本金: 1億円

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