「DX時代の印刷はImprintingになる。」をキャッチコピーに掲げ、印刷技術とデジタル技術を掛け合わせ、企業のDXを強力に支援するデジタル総合印刷株式会社。印刷事業として創業した1952年から、70年以上の歴史を持つ同社では、紙媒体の印刷はもちろん、マニュアルやホームページ制作、3Dコンテンツ、そして製造業の現場で使用される補修部品用パーツカタログシステムを開発しています。
パーツカタログシステムの開発を手掛ける同社のDX開発推進部PLDXプロジェクト課では、部署全体で案件の進捗管理やリソース調整に課題を感じていたことから、プロジェクトと工数の管理を目的に「クラウドログ」の導入を決定しました。クラウドログ導入の背景にあった課題や比較検討、そして導入後の成果について、お話を伺いました。
課題
- 複数プロジェクト一元管理ができていなかった
- 工数の予実管理ができておらず、お見積り作成が属人化していた
- 複数案件が重なる繁忙期ほど、進捗管理と予実管理の問題が深刻化していた
決め手
- 工数単位からしっかり管理ができること
- シンプルに工数を入力できるため、現場へスムーズに浸透させることができること
- 導入検討時から、営業担当者から丁寧に対応いただけた
効果
- 部門を横断した工数集計ができるように
- 毎月定例会に費やしていた時間が、4時間から1時間に
- お客様の案件に向き合う時間をより多く確保できるように
印刷業のノウハウを強みにシステム開発へ。製造業向けのパーツカタログシステム開発を手掛けるデジタル総合印刷社
貴社の事業内容をお聞かせください。
前田様(以下、敬称略):弊社では、自前の印刷機を持たない“ファブレス”の印刷事業や製造業向けの業務システムの開発、ネット上で閲覧可能なカタログやパーツカタログシステムの開発を手掛けています。お客さまの多くは、古くからお付き合いがある製造業の企業が多くなっています。
パーツカタログとは、製造業の作業現場で部品を交換する際に、部品の形状から部品番号や仕様を調べる際に使われるものです。もともとは紙のパーツカタログが主流だったのですが、製造業のDX推進の一環で現在はウェブ化が進んでおり、ウェブのパーツカタログを導入する企業が増えています。私たちのPLDXプロジェクト課は、お客さまの製造現場に合わせたウェブのパーツカタログシステムをオーダーメイドで開発することがメインの事業内容になります。
約20名の開発チームにおける、プロジェクトの全体進捗管理、工数の予実管理に課題を感じていた
クラウドログ導入以前、受注したシステム開発案件の工数やプロジェクトの管理はどのように行われていたのでしょうか。
前田:Excelを中心として約20名の業務管理を行っていました。各工数の見える化までは実現できていなかったのですが、各個人で工数を管理し、チーム内や管理者に報告するという形式でした。Excelに入力する内容は、部門ごとに独自の入力ルールができあがっていたため、開発部門全体で統一することができなかったのです。
寺井様(以下、敬称略):常に10〜20案件ほどが進行しており、案件番号で管理をしていました。社員によっては4つの案件を掛け持ちしていることも珍しくなかったのですが、各個人がどれぐらいの工数がかかっているのかまでは、可視化も管理もできていなかったのです。
前田:社内で部門別収益管理というものをやっており、営業部門とか開発部門とか、それぞれ部門ごとに自部門の収益を管理するという観点から、かかった工数に対して費用を計上する際の算出に、Excelで管理していた工数管理表を使っていたという部分もあります。
工数やプロジェクトの管理では、どのような課題があったのでしょうか。
寺井:複数プロジェクトの一元管理ができていなかったこと、工数の予実管理ができていなかったこと、この2点が大きな課題でした。特にプロジェクト全体の進捗管理ができていなかったことで、担当者レベルでは把握できていた案件の優先度や危険度を、部内で共有することができていなかったのです。また、誰がどのくらいリソースの空きがあるのか、誰をアサインできるかまで見える化できていなかったことも課題でした。
工数の予実管理については、弊社が提示したお見積もり(予算)に対して実際の工数がかかりすぎてしまうということが珍しくありませんでした。また、そうしたミスについても、しっかり工数を管理できていなかったことで次回の案件に引き継ぐことができていませんでした。結果として、見積もりの精度が上がっていかなかったのです。
前田:現場の感覚や個人の経験的にはお見積りの精度は上がっていたのですが、他の社員とはその経験値を共有できていなかったので、お見積り作成が属人化していたのです。そのため、新規プロジェクトが立ち上がった際に、以前のプロジェクトと同じような機能を開発するとなった場合でも、以前はどのくらいの工数がかかっていたのかは、以前の担当者に直接聞くほかありませんでした。
寺井:これらの課題は特に複数案件が重なる繁忙期ほど、深刻になっていました。実際、納期の遅延やクレームにつながる可能性もあったため、クラウドの工数管理ツールを導入することで解決できないかと考えるようになったのです。
負担なく工数を入力でき、かつ工数単位で業務を管理できる点に魅力を感じた
クラウドログをお知りになったきっかけをお聞かせください。
前田:当初は海外発のプロジェクト管理ツールなどを主に検討していました。ガントチャートを作成でき、タスク管理もできるなど、たしかに機能は豊富だったのですが、現場の社員がこれから入力して自ら工数を管理するとなると、機能の豊富さがかえって負担になるのではと感じたのです。
当初は機能が豊富であることにメリットを感じていたのですが、その反面、UIや管理画面がシンプルではありませんでした。そのため、各技術者やプロジェクトマネージャーが操作に戸惑ってしまうだけでなく、工数入力の手順をルール化できない可能性もありました。
そこでプロジェクト管理よりは、工数管理に強みがあるツールのほうが弊社の状況には合致しているのではと考えはじめ、再度検討するなかでクラウドログに出会ったのです。
クラウドログを導入する決め手となった要素をお聞かせください。
前田:工数単位からしっかり管理ができること、シンプルに工数を入力できるため、現場にもスムーズに浸透させることができると感じたことが、導入の決め手になります。今回、さまざまなプロジェクト管理ツールを比較検討したのですが、どのツールもやはり機能が多すぎて「負担なく工数を入力する」という視点が欠けているように思われました。
クラウドログは私たちの課題に対して最適なソリューションであると感じ、導入を決定しました。
一方的に運用ルールを押し付けず、社内から広く募集。Google カレンダーとの連携機能も重宝
クラウドログの導入はどのように進められましたか。
寺井:おおよそ3ヶ月で導入を完了しました。まず最初の1ヶ月はクラウドログに関する情報や指示を出さず、対象となる社員に試用してもらいました。そこでの感想や運用上の提案を各社員から収集し、1ヶ月かけて運用ルールを決めました。そして、1ヶ月の移行期間に再び社員へ展開し、社内への導入を完了させています。
こうした工数管理ツールは、社員が入力して初めて活用できるものです。だからこそ、一方的にルールを決めるのではなく、「どうやったら入力してもらえるか」を考えて、浸透を進めていきました。
前田:プロジェクトを推進するプロジェクトマネージャーがガントチャートを作成することや、タスク入力に関するルールを策定しました。また、社内ルール策定後は、簡単なマニュアルを作成し、初回に説明会を実施しています。
クラウドログ導入時で、印象に残っているサポートをお聞かせください。
寺井:ツールの操作方法など、丁寧にご説明いただきました。
前田:私自身、営業職経験者ということもあり、導入時の説明やサポート対応していただけるかどうかは重要な評価基準でした。クラウドログ導入時、そして導入後も丁寧にご対応いただけたため、とても満足しています。
クラウドログで特に活用いただいている機能をお聞かせください。
小串様(以下、敬称略):Googleカレンダーの連携はかなり重宝していますね。弊社では、Googleカレンダーでスケジュール管理をしておりましたので、工数実績の登録をGoogleカレンダー連携で行えることは、入力作業の負担軽減の役に立っているものと考えています。
毎月定例会に費やしていた時間が、4時間から1時間に。浮いた時間をお客さまに向き合う時間に
クラウドログの導入によって、どのような成果が得られましたか。
前田:クラウドログ導入以前は、全案件のメンバーを全員集めて担当者の割り振りや案件ごとの進捗などを共有する定例会を、毎週1時間ほど設けていました。しかしクラウドログによって常に全案件の進捗や担当者の割り振りが可視化された現在では、月1時間ほどの定例会でも充分になりました。つまり、毎月4時間を費やしていた定例会が、1時間に短縮することができたのです。最終的には、月1時間の定例会さえも必要なくなるかもしれません。
定例会の削減で浮いた時間と手間を、どのような業務に費やすことができていますか。
寺井:開発現場が本来やるべき業務、たとえば開発作業の時間やお客様への提案準備などの業務に費やすことができています。弊社は受託型のビジネスかつ、お客様ごとに要件が異なってきます。だからこそ、お客様の案件に向き合う時間を少しでも確保できることは、非常に重要なことなのです。
クラウドログの導入後、開発現場にはどのような変化がありましたか。
綿谷様(以下、敬称略):個人レベルでのクラウドログの活用方法は、プロジェクトごとの打ち合わせや開発にかかっている自分自身の時間の確認、他の社員の業務状況の把握などです。特に自分の状況と他人の状況を比べることができるようになったことで、今後の案件の進め方を相談したり、振り返りに活用したりと、社内でディスカッションができるようになりました。
こうした実績のデータや数字は、開発現場にとって“資産”のように溜まっていき、今後ますます活用することができると思います。
前田:全体の進捗状況の集計作業にかかっていた負担が大きく削減されたと思います。以前は毎週の定例会前に、各プロジェクトの管理者が各個人から進捗状況を吸い上げてまとめていました。そのやり方では、聞く側も、聞かれる側も大変だったのです。
クラウドログへの入力が習慣づけられた今、工数の集計にかかっていた心理的な負担もある程度改善されたのではないかと考えています。
クラウドログで課題を解決するには、導入自体を目的とせず、しっかり運用ルールを決めることが重要
今後のクラウドログ活用の展望をお聞かせください。
寺井:クラウドログの「運用」まではしっかりできるようになったので、今後はPDCAをしっかり回せるように取り組んでいきたいと考えています。クラウドログの導入効果を最大限得られるような運用を、引き続き目指していきたいですね。
クラウドログは、どのような企業におすすめできるでしょうか。
前田:部門長や管理部門の社員など、プロジェクトを管理する立場にとっては、かなり有用なツールだと思います。ポイントとなるのは、クラウドログを運用する際のルール策定です。ルールをあまり決めずに導入してしまうと、入力されたタスクの粒度がばらばらになってしまい、後日分析しようとしても難しくなってしまいます。
導入することを目的とせず、運用ルールをしっかり決めることだけ徹底すれば、クラウドログはプロジェクト全体の進行管理や状況の確認における課題を解決できる強力なツールになるはずです。
デジタル総合印刷株式会社
1952年6月(昭和27年)
事業内容:商業印刷、出版印刷、インターネット関連ビジネス、コンテンツ企画・制作、各種データ処理及びソフト開発、広告プランニング、デザイン
職員数:214名(グループ全体)
資本金:5,000万円