向洋電機株式会社 クラウドログだから実現できた、リアルタイムの工数管理!プロジェクト別の採算性を可視化

業種
卸売・小売・商社
企業規模
101-500名
課題
工数入力コストの削減 / 生産性改善・働き方改革

計測・制御・情報分野における総合エンジニアリング商社として、さまざまな業種向けに制御システムの構築を行う向洋電機では、2005年から工数管理に取り組んでいました。しかし入力された工数データをコスト計算するためのデータ処理が必要となる他、社外での工数入力が煩雑で、正確なデータをリアルタイムに把握できないといった課題がありました。

2023年より新たにクラウドログへの移行を決定し、課題の解決に取り組んだ結果、導入までの流れなど、お話を伺いました。

エンジニアリング本部付 古殿 健二様
エンジニアリング本部 副本部長 奥田 律夫様
エンジニアリング本部付 部長  福山 浩様

背景

  • 取引先は約2000社あり、多くのプロジェクトが同時進行する中で各プロジェクトのコストを可視化するため、約20年工数入力を継続していた
  • 顧客先に常駐するなど社外で勤務する社員の工数入力が難しく、リアルタイムで正確なデータを収集することが課題だった
  • 従来のシステムでは、入力した工数データに対し経費データを紐づけられず、分析に余計な手間がかかっていた

決め手

  • 経費の入力もシステム内で完結できる使いやすさ
  • クラウド型で社外からも入力しやすいこと
  • 複数のサービスの比較検討表を作成のうえで、クラウドログが最適と判断

効果

  • 工数データの入力率が向上し、リアルタイムで進捗を把握できるようになった
  • 経費データと工数データの一元管理により、事業別損益の算出が可能になった
  • プロジェクトの採算性がリアルタイムで可視化され、社員のコスト意識が向上した

各種製造・試験設備の監視・制御に関するシステムやソフトウェアの構築を行う

御社の事業内容を教えてください。

奥田 律夫様(以下、敬称略):弊社は、計測・制御・情報分野の総合エンジニアリング商社として、各種製造・試験設備の監視・制御システムの設計や構築を行っています。取引先の業種は、石油・化学・食品・医薬品・エネルギー関連など多岐にわたっており、機器販売からソフトウェアの構築・現地据付調整工事・アフターメンテナンスまで、一貫してサービスを提供しています。

お客様に対して最適な製品やソリューションをご提供する目的はすべて共通していますが、要望の内容や現場の規模によって業務の期間や総量は大きく変わってきます。

工数を管理している部署と業務内容を教えてください。

奥田:工数管理に取り組むエンジニアリング本部では、受注の決まった案件を営業部門から引き継ぎ、期日通りに納品する責任を担っています。約200名のスタッフの工数を集計することで、個別の案件にかかっている工数とコストを割り出すことを目的としました。

クラウドログ導入前から工数管理を行われていたとお聞きしました。そもそものきっかけは何だったのでしょうか。

奥田:2005年から工数管理に取り組んでいるのでもう20年近くになりますね。きっかけとしては、工数の単価管理に取り組む必要があったためです。弊社の業務の特徴として、顧客に対してさまざまなソリューションの提供を行う1つひとつを「プロジェクト」と呼んでいます。それぞれの工数を把握することで、プロジェクトごとの採算性を計測しようと考えたのが発端です。

また部署・部門単位の山積管理や、経理が使う仕掛工数の管理も目的の1つでした。さらに間接工数、たとえば教育・研修にかかる工数も見える化し、どの業務にどれくらいの工数がかかっているかを分析し業務改善につなげたいとの思いもありました。

工数管理によって現場にかかる負担が課題となっていた

20年間も継続されていたということは、工数管理はだいぶ定着していましたね。

奥田:おっしゃる通りで、工数管理の概念や意義も社内に浸透していますので、それなりの成果はすでに上がっていたと思います。ただし、課題としては工数の集計方法やデータの取り扱いに改善の余地がありました。

特に大きな課題とされていたのは、次の2点です。1つ目は工数単価、お金の入力についてです。これまで使用していたツールでは、あくまでも時間の入力しかできなかったので、別にある弊社の基幹システムに経費を入力し、工数管理データを出力したうえで突合するという手間が発生していました。

データベースをAccessに統合して、Excel形式でエクスポートしてその後、各部門または部署のマネージャーがそのデータから工数単価を割り出して、再度統合するという今から考えると、余計な作業で現場をひっ迫している状況でした。

工数、つまり時間データからコストへ換算する過程で、かなり人力に頼っていたわけですね。

奥田:それだけではなく、先の2つ目として、工数を入力するフローでも大きな課題がありました。当時使っていたシステムも、入力しやすさ・使いやすさの点では問題なかったのですが、それはあくまでも社内環境に限られた条件だったのです。

弊社の特徴として、顧客の研究所や工場に常駐するケースが少なくありません。数日から数か月、弊社の事務所には出社せずに出張が続くこともあります。従来の工数管理システムは、クラウドログとは違いオンプレミス環境だったため、社外から工数を入力する際にはその都度VPN接続を通じて社内のシステムにアクセスする必要があったのです。建設中で通信インフラが整っていない現場には、モバイルのWi-Fiを持ち込まなくてはならず、過酷とも言える環境です。

現場の社員からすれば頻繁に工数の入力を行おうとすれば負担が増しますし、管理する側としては、できるだけリアルタイムで、進捗を確認したいのにかないません。業務効率の面からも大きな課題でした。

その中で、課題を解決できる工数管理システムを探されたのですね。

奥田:システム変更のきっかけとなったのは、基幹システムの更新時期が訪れたことでした。システムの入れ替えにあわせて、これまで社内で使われていたさまざまなツールの統合や、より時代にあったもの、機能が適したものを採り入れようという方針が示されました。

工数管理の更新に関しても社内でプロジェクトチームが結成され、5社ほどのツールの比較検討が始まりました。機能や費用をはじめさまざまな項目の比較表を作成し、半年程度の検討期間を経てクラウドログの採用を決めたという流れです。

クラウドログを選んだ決め手を教えていただけますか。

奥田:先ほどお話しした課題を解決できると判断したことが最大の要因です。経費を入力できる機能があるので、1つのツールの中でコストの算出まで完結できるのはもちろんですが、集計したデータの取り出しやすさ、抽出できるデータの種類の多さからも今後の拡張性を感じました。

またクラウドログはクラウド環境なので、スマホさえあれば誰でも、どこからでも入力ができます。従来、社外の環境で苦労していた社員にとって使いやすくなるのは明白でした。リアルタイムに工数を入れてもらえれば、管理する側の精度が向上することも見込めます。

入力や集計業務の効率化にとどまらない導入による成果とは

すでに使用しているシステムがある中で、クラウドログへの移行作業はいかがでしたか。

福山 浩様(以下、敬称略):データの移行には、予想以上に苦労したというのが本音です。旧システムのデータをCSVで出力し、クラウドログでインポートできるフォーマットに変換する作業が必要でした。

ただし、移行作業をしている間にも、業務は継続しているため旧システム内ではデータが更新されていきます。あえて段階的に移行することで少しずつチェック工程を加えたり、独自のチェックツールをExcelマクロで作ったりして工夫しました。それでも新旧システム内にデータの差異が生じてしまうため、奥田部長や私を含めたチームで集中的に作業を行いました。その結果、なんとか期限ぎりぎりで移行を完了できたときには胸をなでおろしたものです。

苦労して移行を完了された後の、工数管理や集計の業務に関しての負担はいかがですか。

福山:おかげさまで全く問題はありませんでした。仕掛工数に関する経理グループでの算出の手間もなくなりましたし、工数管理や集計業務に自動で全て出力できるようにマクロやRPAを組み込んで自動化の実現に努めています。

社外の環境から工数を入力する手間も改善されましたか。

奥田:入力環境は大きく改善しました。スマホからの入力は、これまでの運用では考えられなかったので、現場の社員も助かっています。また以前使っていたオンプレミスのシステムでは、どことなく反応が遅かったのですが、現在のクラウドログのほうがスピーディに動く印象があります。1回につき数秒から数十秒程度の差ですが、トータルで考えると入力時間の削減は大きなメリットだと考えています。

勤怠と工数をきちんと入力しているか、従業員別に状況をチェックできる機能があります。一覧で各人の様子がわかるので、異常が見つかった際にはすぐに修正をできるようにもなり、データの即時性が増したので、最新状況の把握が簡単にできるようになったのは良かったです。

現場でも工数への意識に変化が見られるとお聞きしました。

奥田:現場の各メンバーも、従来以上に各プロジェクトの採算性をクラウドログでリアルタイムに確認できるようになったので、工数への意識は高まっているように感じます。工数単価を意識せざるを得ない状況になったおかげで、結果的に工数単価も着実に改善しつつあります。1年ほどでこのような効果が得られるとは予想していませんでした。

当然ながら、各プロジェクトには決められた工数内に収めることが求められます。加えて、工数単価をどのくらい改善できるか、それぞれが目標に掲げています。常に数字が見えた結果、各々の従業員がより「自分ごと」に思うようになったのは大きな変化です。

意識の変化を感じた具体的な場面を教えていただけますか。

奥田:細かい話かもしれませんが、顧客との打ち合わせを設定する場合も、オンライン会議にすれば往復の移動時間を削減できます。もちろん直接顔を合わせるオフライン型が必要な場面もあります。こうしたケースバイケースの状況をよく考えて、削減できるところで効率を優先するのは、今までにはあまり見られませんでした。

単純にツールを更新しただけでなく、あらゆる業務を見直して業務改善できたことは大きな収穫です。やはり当たり前にやっている日常の業務の中にこそ、気付きにくい改善点が隠れているものですね。

さらなる効率化に向けた未利用機能の活用

今後に向けての課題や展望をお聞かせください。

奥田:まだまだクラウドログの機能で利用できていない内容が多いように思っています。たとえばガントチャートを利用したプロジェクトの工程管理ですが、現在は他のシステムで管理しています。また現在、管理しているのは受注したプロジェクトのみですが、今後は受注予定の業務も取り込みたいと計画しています。受注前の案件についても山積を管理できれば、より精緻な負荷調整を行なうことが可能となるでしょう。

これらの範囲まで一度に導入すると現場にかかる負担や混乱が大きいと予測したため、当時は採用を見送りました。今後、ぜひ取り組みたい課題として考えています。

最後に、クラウドログの導入を検討している企業に向けたメッセージをお願いいたします。

奥田:「リアルタイムにデータを入力させるのは難しい」「負担が大きい」と考えている企業も多いかもしれません。ただ弊社の場合は、工数管理を続けたことで、社内全体の工数への意識、つまりコスト感覚が向上しました。大事な生命線である見積もりの精度も向上し、工数の見通しのずれも減ったように思います。

工数管理による成果を得るには、継続して取り組む必要があるので、データの精度や現場の負担に懸念があるなら、入力や集計が簡単なクラウドログを試してみてはどうでしょうか。さまざまなツールの中で比較すれば、自社に適したサービスが見つかるはずです。

向洋電機株式会社

https://www.koyoelec.co.jp/

1956年12月
事業内容:工業計器、電子計測器、分析機器等の販売及び計測・制御・情報システムのエンジニアリングならびにメンテナンス
社員数:295名(2023年9月末現在)
資本金:7,920万円(2023年9月末現在)

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