住友化学グループの人事サービス会社で、採用から退職に纏わる人事関係業務や教育・研修事業、従業員の給与計算や社宅や・寮その他福利厚生施設の管理、職業紹介事業など人事関係業務を幅広く担っている株式会社住化HRサービス。
同社では、「高品質・低コスト」のサービス提供に向け、これまで注力していなかった「工数管理」に取り組むことになりました。「クラウドログ」導入の背景やツール選定時の決め手、そして得られた成果について、ご担当者様にお話を伺いました。
課題
- 「高品質・低コスト」のサービス提供に向け、工数管理を見直す必要があった
- Excelでは管理・運用が難しかった
- 従業員の年齢層が幅広く、誰でも簡単に使えるツールが必要だった
課題
- SaaSで工数管理に特化していたこと
- 無料トライアルで導入後のイメージを掴むことができたこと
- 利用方法の不明点に対するサポート体制に満足できたこと
効果
- 工数の可視化により、アウトソーシング検討など、客観的数値での意思決定を実現
- 繁忙期など季節変動や個人単位での業務の偏りを可視化
- 従業員の生産性や効率性に対する意識が向上
サービスの「高品質・低コスト化」を目指し、工数管理に着手
工数管理に着手することになったきっかけをお聞かせください。
久我 様(以下、敬称略):住友化学グループの当社は2018年4月に、もともとグループ内で人材派遣事業を中心に行っていた会社と、給与計算等を受託していた会社とが統合して現在の形になりました。それまでは業務委託契約でさまざまな人事管理業務のサービス提供を行ってきましたが、それをサービスレベル契約(Service Level Agreement 以下、SLA)に変えていくということを全社目標としています。
それにはサービスレベルに対するコストを意識しなければなりません。「高品質・低コスト」のサービス提供を目指すための第一歩として、これまで注力していなかった「工数管理」に取り組むこととなりました。 当社の従業員数は100人弱ですので、最初はExcelのマクロ機能で管理することを考え、Excelによる運用をされている他のグループ会社の状況を確認しましたが、データ量が膨大となり、少人数の当社とはいえ管理やメンテナンスが困難。工数管理に特化したソリューションが必要だと判断しました。
無料トライアルで、導入後のイメージを掴むことができ、サポート体制にも満足
クラウドログをお知りになったきっかけをお聞かせください。
久我:「工数管理」で検索して目に留まったのがクラウドログだったのです。
決め手は、SaaSで工数管理に特化していた点でした。住友化学グループでは、「必要な機能については、システムを作り込むことなく、適切な外部サービス(SaaS)を選択する」という原則があります。
また、勤怠実績管理といった他の要素もセットになったソリューションが多かったのですが、当社にとって工数管理以外の機能は必要ありませんでした。工数管理に特化したSaaSといえばクラウドログ以外に見つけることはできなかったこともあり、すぐに検討に入りました。
クラウドログの導入を決定した理由をお聞かせください。
久我:無料トライアルがあったことは大きな魅力でした。当社としてはまったく新しいチャレンジだったため、まず利用感を知り、導入後のイメージを掴むことができました。
また、トライアル期間中のサポートでも当社からの問合せについて、かなり融通を効かせていただいた部分もあり、好印象を抱いておりました。
導入後も利用方法の不明点に対するサポート体制には満足感があり、迅速にご対応いただいております。こちらの要望に対しても現時点の機能で対処する活用方法を示してくれ、あるいは要望から機能実装されたものもあります。
マニュアルの作成やマスタの設定。クラウドログが「業務の必需品」になるまで
クラウドログの導入は、どのように進められましたか。
久我:まさに今後の工数分析の基準となりますので、その後のデータ処理のことを念頭にマスタの保持方法を検討するべきだと思っていました。当社クラウドログで工数管理を行うにあたっては、もともと各部門で整理されていた業務プロセスを基本ベースにマスタとして設定しました。
尾野 様(以下、敬称略):各部門では操作性やビジュアル面が好評で、受け入れられやすかったと思います。
導入にあたってマニュアルを準備しましたが、工数管理の考え方とオペレーションを重点ポイントとしました。当社の労務構成は20代から60代後半までと幅広く、いわゆるベテラン層には考え方について理解できても操作については丁寧なフォローを必要としますし、若手層はそれとは真逆になるわけですから、双方の視点を加味したマニュアル作りが非常に重要なポイントでした。
クラウドログ導入時に時間がかかった業務をお聞かせください。
久我:最も苦労したのは『従業員の皆さんに日々きちんと入力をしていただく』という点です。入力する彼らにしてみれば、業務を進めていくなかでクラウドログにも画面展開させて入力するという“作業”が加わることになりますので、少なからず抵抗感はあったと思っております。
このため、まず各部門のライン長に対し、そもそもクラウドログを導入した目的であるSLAへの変革をあらためて理解・認識していただくことから始めました。そのうえでメンバーにその重要性を説きながら、入力を徹底させていきました。入力状況についてはクラウドログのタイムシート未入力チェック機能があったので効率的に確認できました。
おかげをもちまして現在は日々の業務のひとつとしてクラウドログが馴染んできております。当初は給与計算サービスと福利厚生サービスを担う部門に限定して導入しましたが、非常にスムーズに運用できましたので、当面先での導入を考えていた他の部門でも半年程度で展開ができ、現在は全部門で利用しています。
仕組み化で運用にかかる手間を削減。クラウドログとExcelを組み合わせた活用術とは
クラウドログ活用における工夫があればお聞かせください。
尾野:レポートについては、当社で把握・確認したい項目を集計するために、データをエクスポートしてExcelでの管理を実施しています。
・部署ごとの「人×実工数比較」
・プロジェクトごとの「直接業務」「間接業務」それぞれの工数確認
・個人単位で、1部署のなかでの業務の偏りを確認
・季節的な繁忙期の工数確認
など、多様な角度からクラウドログを利活用しています。
山崎 様(以下、敬称略):人事異動等による「メンバー作成」やデータの「バックアップ」といった部分を手作業で行うのではなくマクロを活用し自動化しています。小さなことかもしれませんが、我々としても効率化を図りたいという一心から、自動化に向けた勉強から始めました。 いったん仕組み化してしまえば、運用にかかる手間も削減できます。こうしたことも、クラウドログを活用していく「コツ」だと思います。
工数管理の「見える化」を実現。従業員の負担を、データによって客観的に数値で把握できるように
クラウドログ導入によって、どのような成果が得られましたか。
久我:クラウドログを導入したメリットとして、各部門では従業員の生産性や効率性に対する意識に変化が見られています。各人が前月や前年と比較して自身の作業における効率化を考えるきっかけにもなりますし、各人の作業実績を上位者等が客観的に見ることができることによる意識の向上もあるでしょう。
導入を担当した者としては、工数管理において「見える化」ができたことが最大のメリットです。たとえば、当社の事業として所得税年末調整の時期等の繁忙期がありますが、その負担を単に「多忙である」という感覚値だけでなく、クラウドログからのデータによって客観的に数値で把握することができるようになりました。
また、ある業務をアウトソーシングする際の検討としてのコスト判断にも非常に効果的でした。実際に「何人で何時間かけていたのか」というクラウドログの実績データをもとにしてその仕事全体の労務コストが把握できました。実際に労務コストとして金額を算出したのですが、想像していた以上にコスト負担があったことが把握でき、大変驚きました。
工数ごとに内容や負担の度合いを把握し、具体的な対策に取り組んでいきたい
今後の展望をお聞かせください。
小野:今後の展開として、工数ごとに内容や負担の度合いを把握したうえで、たとえば手作業で負荷の大きな業務についてはシステム化・RPA化を検討するなど、具体的な対策に取り組んでいきたいと考えています。
それには年度単位でのデータの比較検討が必要ですので、まずは2~3年分のデータを蓄積させることで、そういった改革にも着手できると思っています。
また、作業量の把握やコスト意識が高まることからも、当初の目的であるSLAへの展開にもつなげていけると確信しています。
株式会社住化HRサービス
https://www.sumika-hrservice.co.jp/
創立:2018年4月1日
事業内容:採用、異動、退職等の人事に関する業務の受託、就業、給与、旅費およびそれに付随する業務の委託、社宅、寮その他福利厚生に関する業務の受託、など
社員数:104人
資本金:40,750,000円