山田コンサルティンググループ株式会社 1,000名の工数データを経営判断に活かす コンサルティングファームによる生産性向上と働き方改革の挑戦

業種
コンサルティング
企業規模
1000名以上
課題
原価管理 / 生産性改善・働き方改革

山田コンサルティンググループは30年以上にわたり、顧客企業の経営課題解決に取り組んできました。緊急対応も多いため作業工数が見通しにくいこと、また社員1人が複数の案件に同時並行でかかわる業務の特性上、工数を管理しづらいことが課題でした。

現在は全社員1,000名以上にクラウドログを導入し、データに基づく経営判断と生産性向上、そして働き方改革を推進しています。導入決定までの流れや、導入後1年が経過して感じている成果などを詳しくお聞きしました。

経営コンサルティング事業本部 事業再生コンサルティング事業部 事業部長 執行役員 高橋 淳郎様
経営コンサルティング事業本部 事業再生コンサルティング事業部 シニアマネージャー 原田 昂輝様

背景

  • 以前は長時間労働が多かったため、働き方改革に対応した労働環境の整備が急務であった
  • 事業再生コンサルティングは特に突発的な緊急対応が多く、工数の見える化が困難だった
  • 案件別の採算が見えず、適切な価格設定や受注の可否を判断することが難しかった
  • メンバー間の稼働の偏りを是正できず緊急時の対応力を想定しづらい

決め手

  • 複数の案件にアサインされた社員の業務を一度に把握できる
  • スケジューラーから工数入力ができるなど感覚的な操作が可能で、従業員の入力を促しやすいビジュアルデザイン
  • 計画と実績の対比機能があり、予実管理が容易にできる

効果

  • リアルタイムに作業状況が可視化され、若手への適切なサポートや残業超過の防止につながった
  • 実際の稼働データを基に、1on1ミーティングではより具体的な振り返りや計画策定が可能になった
  • 時間当たりの生産性への意識が向上し、採算改善への取り組みにつながった
  • 投入時間の内訳や役職別の傾向・低単価な案件の特徴など、工数データの分析結果から生産性向上のヒントが得られた

広範な企業の経営課題解決に挑むコンサルティングファーム

御社の事業内容をご紹介ください。

高橋 淳郎様(以下、敬称略):弊社は、30年以上の歴史を持つ総合コンサルティングファームです。中堅から中小企業のお客様を中心に、事業再生や事業承継、財務アドバイザリー、経営コンサルティングなどをワンストップで提供しています。

中でも事業再生コンサルティング事業部は、緊急性が高く「企業の救急救命医療」のような役割を担うため、突発的事象に対応する場面も多く、業務の見通しが立てづらい特性がありました。

当初はどのような課題があったか教えていただけますか。

高橋:私たちの業務は、典型的な労働集約型のため、投入された時間がすなわちコストになります。かつては長時間労働が当たり前で「お客様のためなら」と美徳とされた時代もありますが、今はそうではありません。この10年ほどは、働き方改革への対応が求められ、多忙な部署であっても持続可能な就労環境を追及するようになりました。

しかし緊急対応が発生する場合に余力のあるメンバーを把握できなければ、稼働の偏りが生まれてしまいます。また全体の余力や案件ごとの採算性が見えづらいために、新たな受注の可否についての判断、受注価格の妥当性にも課題がありました。

そこで課題解決には工数管理が必要という議論になったのでしょうか。

高橋:そうですね。工数管理によって、メンバーの稼働状況が可視化されれば、稼働の平準化につながります。また管理者は、自身が管理している案件の中でどのメンバーがどのように稼働しているかは把握できますが、兼務している他の案件での状況は分かりませんでした。つまり、すべての案件を俯瞰して捉えられる仕組みが必要でした。

さらに経営者の視点では、全社的な工数を集計して分析できれば、受注判断や生産性改善につなげられる可能性があります。このように、あらゆる視点から工数管理が必要だという機運が高まっていきました。

工数管理ツール選定のため必須機能を定義した

導入する工数管理ツールの選定の流れをご説明いただけますか。

原田 昂輝様(以下、敬称略):実際にいくつかの工数管理ツールを比較検討する前に、弊社内でツールに必要な要素を決定しました。

第一の条件が、現場に対して導入のハードルを極力下げることでした。そのために社員が感覚的に操作できるビジュアルのきれいさ、UIのわかりやすさを最も重視しました。

次に弊社の業務の特徴でもある、複数の案件にアサインされているメンバーの工数入力や表示が可能であることも重要でした。メンバーの稼働予測を正確に行うため、工数計画の可視化機能や実績との対比機能も必須条件となりました。

また機密情報を多く扱うので、弊社のセキュリティ基準を満たしていなければ、どれだけ優れたシステムでも導入できません。

社内の負荷を下げるうえでは、導入済みの既存システムとの同期が可能であることも望ましかったので、特にスケジューラーや受注管理のソフトウェアとの相性をチェック項目に加えて選定を進めました。

クラウドログを採用いただいた決め手を教えていただけますか。

原田:デスクリサーチでは10社ほど洗い出し、最終的には3つのシステムの試験運用を1~2週間程度行いましたが、必須条件をすべて満たしていたのはクラウドログだけでした。

弊社のように1名がいくつかの案件を兼任で担当するような仕組みにフィットするツールは少なく、ほとんどが1つの案件に専属でスタッフをアサインする想定になっていたのです。そのため案件別の入力が困難ですが、複数案件にアサインすることが前提の弊社では、同じ日の午前と午後で別の案件を進めるといったケースがあります。したがってクラウドログのように、スケジュールで登録ができる形式であれば集計作業に余計な労力がかかりません。

高橋:試験運用の評価が最も高かったクラウドログは、操作性が高くて入力しやすいだけでなく、管理者機能として表示される集計画面も見やすいと評判でした。求められる機能を満たし、使いやすいツールを採用するのは自然な流れでした。

段階的に運用範囲を拡大し全社的な工数データ収集へ

その後1年ほどかけて、導入単位を全社にまで拡大されました。

原田:当初は2部門の100名ほどでプレ運用を行ってから、本格導入するというステップを踏んで利用範囲を拡大しました。この際に、社員向けの操作説明会をはじめ、導入に向けてクラウドログのみなさんに伴走していただいたのは心強かったです。

高橋:全社的な生産性向上を目指すなら、全社で同じツールを使って蓄積したデータをもとに議論すべきだと考えていました。当初は対象外だったコーポレート部門やコンサルティングのサポート部門の工数ももれなく収集することで間接的な業務も含めて、業務効率化やワークシェアの可能性を検討できるようになります。たしかなデータに基づいて経営改善につなげていくには、クラウドログの全社導入は必須だったと思います。

現在はどのように活用されているか解説いただけますか。

高橋:入力された工数は案件別、間接業務および直接業務別などドリルダウンした状況での把握を容易にしています。またメンバーを一覧表示すると、業務の偏在状況が一目瞭然となります。一方で、工数を入力しているメンバーも自身の振り返りにデータを活用する側面と、管理もしっかりチェックしていることを理解してもらうことも重要です。メンバーと管理画面を一緒に見ながら、業務状況を確認する機会も増えています。

管理者の方々の活用はいかがでしょうか。

高橋:プロジェクトマネージャーによる会議が毎週行われており、メンバーのアサインを調整しています。ここでもたしかなデータに基づいて議論することでスムーズに調整できます。

クラウドログではメンバー毎に案件別・作業別で工数データが入力されており、販売管理システムとも同期しているので、単純な手続きで顧客別の時間採算を算出できるようになりました。年200件ほどの案件で採算性がよくないものが特定されやすく、原因や改善方法について検討できるようにもなっています。

全社運用開始までにはさまざま課題もあったかと思います。

高橋:やはり定着させるまでの苦労はありました。管理側がチェックすると伝えているにもかかわらず、当初は工数がゼロ、つまりまったく何の情報も入力しない社員がいたのも事実です。全員に入力を徹底させるまでは思ったより時間がかかりました。

原田:部署によっては工数管理の必要性を感じづらい傾向も見られました。しかし、入力しない部署やメンバーがいれば、集計データが実態とは異なるものとなり、大半の意味が失われてしまいます。「生産性向上につながる重要な取り組みである」ことを、継続して呼びかけました。多少は大雑把なデータでも入力してもらうこと、またデータがどのように活用されるかを説明する啓発活動の重要性を認識しました。

取り組みの結果、どのような成果が得られているでしょうか。

原田:まずリアルタイムにメンバーの稼働状況を把握できるようになりました。月半ばの時点である残業が超過しそうなメンバーが見通せるため、早めに対策を打てるようになったと、チーム長たちからは好評です。

プロジェクトマネジメントの質という点でも、若手メンバーの作業状況が可視化されて、適切なタイミングでサポートできるようになりました。リモートワークが増えた昨今、常に隣の席で見ているわけではないので、この機能は非常に役立っています。

また、管理者とメンバーが定期的に行う1on1ミーティングの質の向上にも寄与しています。クラウドログに入力された実際の稼働データをもとに会話するため、振り返りの精度が高まり、今後の計画策定もしやすくなっています。

さらに個人レベルで時間当たりの生産性を意識する動きが広がっています。自身がかかわっている案件ごとの採算性が可視化されるため、自然に改善する取り組みにつながっています。

当初の狙いにあった経営判断への貢献という点ではいかがですか。

高橋:経営層の視点で大きなトピックとしては、1年間で8万時間の工数データを集計できたことです。案件の販売実績データと紐付けて、新規顧客と継続顧客の単価構造の違いなど、経営判断に活用できる貴重なデータが得られました。加えて、直接業務と間接業務の配分も可視化され、業務改善や人材投資の判断材料としても活用されています。

役職別や経験年数別に投下している時間の違いの分析からは、キャリアプランニングにも活用できています。若手メンバーに対して、将来のキャリアパスをより具体的に示せるようになりました。

クラウドログを導入する前後で比較すると、生産性向上を狙った施策の効果が定量的に測定できるようになったことは大きな成果です。全社的に目指している生産性向上の進捗度を数字で確認できるようになりました。

今後の課題や注力したい点を教えてください。

高橋:今後は、以下の3点に注力したいと考えています。

まずは見積もり精度の分析と改善です。クラウドログの導入により、工数管理の物差しが全社で統一されつつあります。導入2年目で蓄積されてきた時系列のデータを活用することで、プロジェクトによって差が生まれる見積もり精度を向上させたいと考えています。

2つ目は、業務の質の向上です。工数管理の仕組み化によって集まったデータをもとに、より効果的な施策立案を推進するつもりです。

3つ目は、引き続き工数管理の定着に注力することです。全員が日常的に使いこなすため、使い方の周知や、データ入力の習慣化に向けた取り組みを継続していきます。人事系のシステムとの連携により、より包括的な人材マネジメントが可能になると期待しています。

最後に、工数管理に取り組もうと検討している企業へアドバイスをお願いします。

原田:工数管理ツールの導入の前に、まず自社の業務特性をよく理解することをお勧めします。コンサルティング会社に限らず、私たちのように複数案件を同時に進行する業務形態では、クラウドログはフィットする可能性が高いと思います。

また、あくまでツールの導入はゴールではなく、スタートです。導入して工数データが集まるようになってからも継続的な改善と、データの活用方法の検討が必要です。やはり現場にかかる負担軽減も重要ポイントで、ある程度の時間をかけて段階的に取り組みを進めていくことが成功の鍵だと考えています。

自社に必須な機能を明確にしたからこそ、最適なツールを選定できたことがよくわかりました。今回は、貴重なお話をありがとうございました。

山田コンサルティンググループ株式会社

https://www.yamada-cg.co.jp/

1989年7月
事業内容:コンサルティング事業、投資事業
社員数:1,071名(2024年4月1日現在)
資本金:15億9,953万円

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