ヤマハ発動機グループの基盤業務(※1)を担うヤマハ発動機ビズパートナー株式会社。およそ650名の社員がグループ全体の人事や総務、財務・経理、ロジスティクス、間材調達、保険業務など、多種多様の専門領域からヤマハ発動機グループを支えています。
同社では、全体最適の視点からグループの業務集約、また業務の標準化や工数削減、サービス品質の向上を目指しています。これらの実現においては、工数管理を含む業務の見える化は必須施策です。「クラウドログ」導入の背景にはどのような課題があり、どのような成果がもたらされたのでしょうか。 (※1)企業活動を遂行する上で土台となる間接業務・管理業務等の包括的な総称
背景
- 利用しているツールや工数管理の実施が部門ごとにバラバラだった
- 業務や工程ごとの工数把握ができていない
- 問題点が特定できず、効果的な改善につながっていなかった
決め手
- 「業務工数の可視化」という目的に沿ったツールであること
- 入力方法がシンプルであり、入力作業そのものが負担にならないこと
- 他ツールと比較してコストが安いこと
効果
- 導入決定後、1ヶ月でスピーディに全社に展開
- クラウドログは操作がシンプル、画面もわかりやすく利用しやすいとの声
- 業務に紐づく工数を「見える化」、問題点を抽出し改善活動へ
コーポレート部門の業務を集約し、さらなる効率化と品質向上、新たな価値の提供が企業のミッション
貴社の事業内容をお聞かせください。
山田:弊社の事業の一つはヤマハ発動機グループの基盤業務を担う、シェアードサービス(※2)です。グループ各社のコーポレート部門の定常的な業務を弊社に集約しており、基盤業務のプロフェッショナル集団として業務の効率化と品質向上を目指しています。
またヤマハ発動機本社の総務や財務などのコーポレートの統括機能も担っています。ヤマハ発動機グループの事業競争力強化に貢献することを大きなミッションとしています。
原口:ただ業務を削減するのではなく、定常的な業務の工数を圧縮し、そこから産み出された時間や人的リソースをより高付加価値な業務に取り組めるようにすること、そして働きやすい環境を実現していくことが重要です。そのためにも集約した業務のプロセスの標準化やITツールの導入と活用にも取り組んでいます。
山田:生産性向上を目指したプロジェクトの1つに「業務の見える化」があり、今回のクラウドログの導入もその一環です。1年単位、3年単位での中期的な数値目標を掲げて取り組んでいます。
(※2)複数のグループ会社や事業部から成る企業の間接部門で行われている業務の一部を一か所に集約させた企業
工数管理のやり方が全社で統一できておらず、改善後の効果を測定する方法が定まっていなかったことが課題
工数の管理は、以前どのように行われていたのでしょうか。
原口:各課各部門でそれぞれに管理していたり、そもそも管理していなかったりとバラバラの状態で、管理していない部門のほうが大半でした。
工数管理をしている部門は、Excelで工数をまとめていたり、Accessを使って管理したりと、それぞれの目的と手段・ツールもバラバラだったのです。
山田:これまで会社全体で工数管理に取り組めていなかったことが背景にあります。弊社は2019年にグループ会社3社が合併する形でスタートしたのですが、合併直後の時期は以前の会社の進め方が部門内に残っており、部門を横断しての工数管理はなかなか進みませんでした。
しかし、会社として中期的な工数削減の数値と生産性向上の目標を掲げたことで、改めて全社的な業務の可視化や工数管理を進めていくことになったのです。
プロジェクトや工数の管理では、どのような課題があったのでしょうか。
山田:多くの部門で業務毎の工数が十分に可視化されておらず、詳細まで把握できていませんでした。
部門ごとの業務を大・中・小・作業の4段階に分け、作業内容まで把握できていることが弊社にとって理想的な状態です。それらをありたい状態を設定しながら分析することによって、各部門の課題と改善案を探し出していく。これまでは、次のアクションにつなげていくための下地が整っていない状態でした。
原口:4段階の粒度としては、例えば給与業務部の場合、大項目が「給与」、中項目が「給与計算」、小項目が「給与レポート作成」、そしてその下に作業項目の「データ入力」「会議」が並んでいくイメージです。
使い勝手の良さとコスト、そして導入のスピード感がクラウドログ選定の決め手
クラウドログをお知りになったきっかけをお聞かせください。
原口:シェアードサービス企業同士で開催している研究会に参加した際に、利用されている会社がいくつかあって、そこでご紹介いただいたことがきっかけです。シェアードサービス企業はお互い似た課題を持っていることが多く、ツール活用など解決策の情報をシェアすることが珍しくないのです。
ツールを比較検討する上で、どのような要素や機能を重視していたのでしょうか。
山田:3つあります。一つは、私たちの目的に合うかです。さまざまな工数管理ツールがあると思いますが、プロジェクト進捗に特化していたり、多機能すぎてしまったりと、今回私たちが目指していた「業務工数の可視化」という目的に沿わないツールは選定から除外しています。2つ目は使い勝手です。多くの部門が利用するため、入力方法がシンプルであり、入力作業そのものが負担にならないことが必須条件でした。
3つ目がコストです。さまざまな企業のツールをリサーチし、どれくらいの費用がかかるのか、最低契約期間はどれくらいか、といった情報を調べられる範囲で比較しています。
目的への合致と使い勝手、コスト、そして導入スピードの速さが決め手となり、クラウドログの導入を決定しました。
導入決定から1ヶ月で希望部門にクラウドログを浸透。推進メンバーの配置といった工夫も
クラウドログ導入決定後、社内でのセッティングが完了するまでの期間をお聞かせください。また、社内に浸透する上で工夫されたこともお聞かせください。
原口:クラウドログの設定自体は、1ヶ月もかかっていません。セッティング後も、皆さんにすぐ入力していただけたことに驚きました。
各部門にクラウドログを浸透させるにあたっては、職場ごとに任命している業務改善の「推進メンバー」が中心となって、利用展開してくれました。推進メンバーの具体的な業務は、クラウドログへの工数入力状況を確認していただき、入力を忘れている社員にメールや口頭でリマインドすることです。
クラウドログの使い勝手はもちろん、推進メンバーの協力もあり、工数入力の習慣化はかなり早かったと思います。
山田:弊社で使用しているコミュニケーションツール内に、「業務の見える化」という全社員への公開チャネルを作成しています。そのチャネル内で、クラウドログの活用方法や各部門の工夫などを共有することも、取り組んできたことの1つです。
クラウドログの入力に関して、目標数値はどのように定めていますか。
原口:実際の勤務時間と入力された作業時間を完全に一致させるレベルまでの厳しいルールは設けていません。入力率はおよそ8割超えは担保して入力してもらうように伝えています。休憩時間や雑談、短い時間で済むような雑務など、業務項目に直接的に紐づかない業務までは入力しなくてもよいと伝えているためです。
業務に紐づく工数を「見える化」。ツールの使い勝手の良さが、高い入力率を実現
現場の社員から、クラウドログの感想をどのようにお聞きしていますか。
原口:選定理由でもありますが、使い勝手については高く評価しています。マニュアルを見なくても使用できるツールだと思いますし、感覚的に使用できているとの声もありました。
また、弊社ではメーラーにOutlookを使用しているのですが、Outlookのスケジュール機能とクラウドログの入力方法が似ているため、スムーズに導入できたのだと思います。
山田:今回、事務局が中心になって推進メンバーの困りごとをヒアリングしながら、利用部門にツールの紹介をしてきたことも、スムーズに導入できた背景だと思います。また、要望があれば、管理職と推進メンバー双方にデモンストレーションして、利用イメージを共有できるようにしたことも効果的でした。
クラウドログ導入の成果をお聞かせください。
原口:入力率8割以上は現在クリアできていますので、業務に紐づく工数は見える化できていると言えます。計測したデータを使って部門毎にそれぞれの課題を抽出し、具体的な改善策につなげていくことが、今後のステップですね。
クラウドログのレポート機能を活用し、工数の見える化から工数削減、サービスの向上へ
今後の展望をお聞かせください。
山田:工数の削減はもちろんのこと、サービスクオリティの改善、さらにその先の新たな価値提供につなげていきたいですね。そのためにも、クラウドログのレポート機能はぜひ今後活用していきたいと考えています。
クラウドログの導入を検討されている方へ、コメントをお願いいたします。
山田:生産性向上のためには、まずは業務工数を見える化することが第一歩だと思います。
クラウドログはシンプルで使い勝手がよく、大きな負担にはなりません。これから業務効率化に取り組もうとしている企業はぜひ検討してみてください。
ヤマハ発動機ビズパートナー株式会社
https://www.yamaha-motorbiz.co.jp/
設立:1982年9月1日
事業内容:人事/総務/財務・経理/物流/間材調達/保険
従業員数:656名( 2022年1月1日 現在)
売上高:114億円(2021年度)